日本通運、2026年12月期第2四半期決算、営業利益56.7%増で通期予想を上方修正

日本通運(NIPPON EXPRESSホールディングス)の2026年12月期第2四半期(中間期)決算を分析すると、売上収益が前年同期比6.7%増の1兆3,566億円、営業利益が56.7%増の447億円、親会社株主に帰属する中間純利益が186.8%増の242億円と、大幅な増収増益となった。国際物流の回復と料金改定に加え、事業再編の効果が寄与し、通期業績予想を上方修正。営業利益を20%上方修正し、過去最高益更新に向けた加速が鮮明だ。
決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.4兆円 | +6.7% | 2.8兆円 | 49% |
| 営業利益 | 448億円 | +56.7% | 1,200億円 | 37% |
| 純利益 | 243億円 | +186.8% | 700億円 | 35% |
| 営業利益率 | 3.3% | |||
業績のポイント
当中間期の世界経済は緩やかな回復基調が続いたが、中東情勢の悪化やサプライチェーンの混乱が不透明感を強めた。こうした中、日本通運は国際物流の荷動き底堅さと料金改定、事業再編効果により、全社で増収増益を達成した。
売上収益は1兆3,566億円(前年同期比6.7%増)、営業利益は447億円(同56.7%増)、税引前中間利益は373億円(同75.7%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は242億円(同186.8%増)と、大幅な利益改善を実現した。特に営業利益率は前年の2.2%から3.3%へと上昇し、収益性が顕著に改善した。
通期連結業績予想についても、2026年5月13日公表の前回予想から上方修正した。売上収益を2兆7,500億円(前回比1.9%増)、営業利益を1,200億円(同20.0%増)、税引前利益を1,050億円(同16.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益を700億円(同16.7%増)へと引き上げた。国際物流の回復に加え、低収益不動産の売却益の計上も寄与する見込みだ。
セグメント別動向
8つの報告セグメントのうち、主力のロジスティクス5地域と重量品建設が増収増益をけん引した。
日本は、航空貨物と倉庫貨物の増加に加え、料金改定とコスト削減が奏功し、売上収益は6,434億円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益は278億円(同44.3%増)。米州は、倉庫貨物の増加で売上は704億円(同1.7%増)と微増も、航空貨物の減少が響き利益は20億円(同41.0%減)と減益。
欧州は、自動車・EC関連の航空貨物が伸び、売上収益3,011億円(同20.6%増)、利益41億円(同17.8%増)。東アジアは、EC関連の航空貨物増で売上は935億円(同16.0%増)も、コスト増で利益は26億円(同0.5%減)と横ばい。南アジア・オセアニアは、航空・海運貨物がともに増え、売上971億円(同31.6%増)、利益42億円(同116.2%増)と急成長した。
専門事業では、警備輸送は料金改定とコスト削減で売上351億円(同2.0%増)、利益14億円(同3.6%増)。重量品建設は風力発電工事等が増え、売上280億円(同13.1%増)、利益37億円(同62.7%増)。物流サポートは石油取扱減で売上2,086億円(同7.2%減)も、価格調整で利益は94億円(同26.6%増)となった。
全セグメントの利益合計は556億円(前年同期比32.0%増)と大幅改善。特に南アジア・オセアニアと重量品建設の利益倍増が目立つ。
| セグメント | 売上収益(億円) | 前年同期比 | セグメント利益(億円) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 6,434 | +2.8% | 278 | 4.3% |
| 米州 | 704 | +1.7% | 20 | 2.9% |
| 欧州 | 3,011 | +20.6% | 41 | 1.4% |
| 東アジア | 935 | +16.0% | 26 | 2.9% |
| 南アジア・オセアニア | 971 | +31.6% | 42 | 4.4% |
| 警備輸送 | 351 | +2.0% | 14 | 4.2% |
| 重量品建設 | 280 | +13.1% | 37 | 13.5% |
| 物流サポート | 2,086 | -7.2% | 94 | 4.5% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本(ロジスティクス) | 6,252億円 | 46% | 278億円 | 4.5% |
| 米州(ロジスティクス) | 611億円 | 5% | 21億円 | 3.4% |
| 欧州(ロジスティクス) | 2,939億円 | 22% | 41億円 | 1.4% |
| 東アジア(ロジスティクス) | 825億円 | 6% | 27億円 | 3.3% |
| 南アジア・オセアニア(ロジスティクス) | 785億円 | 6% | 43億円 | 5.4% |
| 警備輸送 | 347億円 | 3% | 15億円 | 4.2% |
| 重量品建設 | 268億円 | 2% | 38億円 | 14.2% |
| 物流サポート | 1,539億円 | 11% | 94億円 | 6.1% |
財務状況と資本政策
当中間期末の総資産は2兆3,576億円と前期末比2.4%減。現金及び現金同等物は2,234億円と599億円減少した。営業CFは760億円の収入(前年同期比124億円減)も、投資CFは289億円の支出に減少、財務CFは1,105億円の支出と拡大。長期借入金の返済や社債償還、自己株式取得により資金流出が進んだ。
配当は中間配当50円を実施し、通期年間配当は100円を予定。前期の年間100円から据え置きとなる見込み。また、当中間期に自己株式の取得を152億円行い、資本効率の改善と株主還元を強化している。親会社株主帰属持分比率は35.5%(前期末34.3%)に上昇し、財務基盤は安定している。
リスクと課題
会社が認識する主なリスクと課題は以下のとおり。
- 中東情勢の悪化に伴うエネルギー価格高騰とサプライチェーン混乱が、物流コストとサービス安定性に影響を与える可能性
- 人件費や原油価格の高騰など国内物流のコスト上昇圧力が継続
- 国際物流の荷動きはアジア発を中心に底堅いが、世界的な需要減速リスクは残存
- 為替変動が海外事業の業績に影響を与える可能性
- 事業環境の不透明感が設備投資やM&A判断を難しくしている
通期見通し
2026年12月期通期の連結業績予想は上方修正された。アジア発の荷動き回復や国内物流の堅調に加え、低収益不動産の処分益を織り込み、従来予想を上回る。
| 項目 | 前回予想 (2026/5/13) | 今回修正予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,700,000百万円 | 2,750,000百万円 | 2,574,826百万円 |
| 営業利益 | 100,000百万円 | 120,000百万円 | 65,980百万円 |
| 税引前利益 | 90,000百万円 | 105,000百万円 | 44,211百万円 |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 60,000百万円 | 70,000百万円 | 29,564百万円 |
営業利益は前期比133.1%増、当期純利益は前期の大幅赤字から一転して黒字化し、700億円を見込む。上方修正の背景には、航空・海運貨物の取扱増加と、事業再編効果によるコスト削減がある。また、不動産売却益の計上も利益を押し上げる。
戦略トピック
日本通運は、国内ロジスティクス事業の構造改革を推進しており、当中間期も事業再編・機能統合が進展した。料金改定とオペレーション効率化により、日本セグメントの利益率は前年の3.1%から4.3%に大幅改善。さらに、低収益不動産の売却を進め、資産効率の向上とキャッシュ創出を加速させる方針だ。
また、グローバルでの航空・海運フォワーディングが成長ドライバーであることを再確認。南アジア・オセアニアや欧州では30%を超える売上増を記録し、EC物流や自動車物流の取り込みに成功している。今後もM&Aを含めたネットワーク拡充が期待される。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
5,200円
最新終値(2026/10/23)
5,828円+12.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#日本通運#決算#決算分析#四半期決算#上方修正#増収増益#国際物流#海外展開#自社株買い#配当
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コメント
日本通運の第2四半期決算は、国際物流の力強い回復と構造改革の成果が鮮明に出た内容だ。特に南アジア・オセアニアの利益倍増や、国内物流の利益率改善は評価できる。
一方で、米州セグメントの減益や東アジアの利益横ばいなど、地域間でまだら模様の収益力には注意が必要だ。また、通期予想の上方修正には不動産売却益が含まれており、本業ベースの持続力を見極める必要がある。
中東リスクやコスト上昇圧力が不透明要素として残るが、総合力で増収増益トレンドは続くと見る。株主還元では自己株式取得と安定配当を継続しており、資本効率改善の姿勢は投資家にポジティブだ。
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掲載企業

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
東証 9147
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