美容室向けヘアケア関連3社・2026年12月期中間期、利益回復の勝者と成長格差
3社とも増収増益となり、価格改定や高付加価値品、構造改革が利益を押し上げました。なかでもミルボンは海外販売とヘアケア製品が伸び、収益性でも存在感を示します。一方、純利益の伸びには前年の評価損の反動も含まれ、利益回復の中身に差が出ました。各社は事業範囲が異なるため、規模だけでなく成長要因と利益の質を見極める必要があります。
今期の総括
全社増益も利益回復の中身に差
業界全体の動き
結論として、3社の売上高と営業利益はそろって前年同期を上回りました。ただし、伸びを支えた要因は海外販売、価格改定、構造改革と分かれ、同じ「化粧品関連」でも事業の姿は異なります。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| ミルボン | 269億円、+8.3% | 33億円、+72.7% | 海外・新製品がけん引 |
| 資生堂 | 4,990億円、+6.2% | 419億円、+131.8% | 構造改革と利益率改善 |
| 花王 | 8,719億円、+7.8% | 958億円、+38.5% | 価格改定・高付加価値化 |
- 高付加価値化: ミルボンはオージュアなどが店販で好調。花王も価格改定と高付加価値品への移行が増収に寄与しました。
- 利益改善: 資生堂は構造改革費用の縮小やブランドミックス改善が寄与。花王では化粧品事業が黒字転換しました。
- 海外の存在感: ミルボンの海外売上高は前年同期比24.7%増。花王も円安を受け、海外売上高比率が上昇しました。
売上高の単純比較では、日用品や総合化粧品を含む花王・資生堂と、美容室向けが主力のミルボンで事業規模が大きく異なります。成長率の差には、製品構成や為替、事業展開地域の違いも表れています。ヘアサロン向け市場を見る際は、各社の連結業績だけでなく、どの事業が利益を生んだかを合わせて読むことが重要です。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
3社比較では、ミルボンが売上成長と営業利益率の両面で目立ちます。一方、資生堂は営業利益の回復幅こそ大きいものの、売上成長率と営業利益率は3社の中で相対的に低く、欧州事業の赤字も残ります。ここでの「苦戦」は前年割れを意味せず、あくまで3社内の比較です。
- ミルボン: 売上高は前年同期比+8.3%、営業利益率は12.5%。海外売上高の伸びに加え、ヘアケア用剤や新製品が販売を押し上げました。
- 資生堂: 売上高は+6.2%、営業利益率は8.4%。米州・アジアパシフィックの黒字化など改善材料がある一方、欧州事業は営業赤字でした。
- 花王: 売上高は+7.8%、営業利益率は11%。価格改定や高付加価値品の拡販が利益を支え、化粧品事業も黒字に転じました。
ミルボンの強さは、ヘアサロンを通じた製品販売と海外成長が利益率の改善にもつながった点にあります。花王は為替の追い風と価格効果を含み、資生堂は構造改革の成果が出始めています。各社の営業利益の伸びを比べるだけでなく、為替や一時的な費用の変化を分けて見ることが、投資判断では欠かせません。
- 好調
- ミルボン
- 苦戦
- 資生堂


営業利益ランキング
営業利益率ランキング
順位変化と構造トレンド
純利益の伸びはミルボンが突出しますが、営業段階の改善と同じ強さで基礎収益が伸びたとは限りません。前年同期に計上した投資有価証券評価損の反動が、純利益の前年同期比を大きく押し上げています。
- ミルボン: 営業利益も増えましたが、純利益の高い伸びには前年の評価損の反動が含まれます。営業利益率の改善が続くかが、成長の持続性を測る材料です。
- 資生堂: 純利益は大幅に増加しました。コスト削減やブランドミックス改善、構造改革費用の縮小が利益回復を支えています。
- 花王: 純利益も前年同期を上回りました。第1四半期には土地売却益を計上しており、営業面の改善と一時的な要因を切り分ける必要があります。
3社の利益回復には、前年の特殊要因、為替、構造改革と異なる要素が混在します。特に純利益の伸び率だけを横並びにすると、収益力の変化を読み違えるおそれがあります。投資家は営業利益率や事業別の採算も確認し、就活生は企業ごとに利益を生む事業や改革の進め方が異なる点に注目したいところです。
純利益 前年同期比
注目の動き・戦略比較
各社は成長投資と収益改善を並行して進めています。通期予想への進捗には差があるものの、会計基準や事業構成が異なるため、進捗率だけで達成可能性を判断するのは避けたいところです。
| 会社 | 通期売上予想 | 通期営業利益予想 | 営業利益進捗率 |
|---|---|---|---|
| ミルボン | 556億円 | 66億円 | 51% |
| 資生堂 | 9,900億円 | 590億円 | 71% |
| 花王 | 18,000億円 | 1,900億円 | 50% |
- ミルボン: 通期業績予想を上方修正。年間配当予想は88円を維持し、上限18億円の自己株式取得も決議しました。
- 資生堂: 通期予想は据え置き。人員削減や事業効率化を進める「アクションプラン2025-2026」の効果が表れています。
- 花王: 通期予想を上方修正。中期経営計画「K27」のもと、化粧品事業の収益改善や稼ぐ力の定着を目指します。
ミルボンは製品の拡販と株主還元、資生堂は構造改革、花王は事業全体の収益力向上に軸足を置きます。美容関連企業の競争は、ブランド力だけでなく、販売地域やコスト構造をどう組み合わせるかにも広がっています。企業研究では、通期予想の変更理由と、改革が一時的な利益にとどまらないかを確認することが大切です。
業界共通のリスク
増収増益の一方で、消費者の節約志向や海外市場の変動、為替の影響は引き続き業績を左右します。各社の事業範囲が異なるため、同じ外部環境でも影響の出方には差があります。
- 消費者の節約志向: 物価高を背景に、ミルボンの国内市場では消費者の節約志向が懸念材料です。店販や高付加価値品の販売が続くかが焦点です。
- 中国市場の不透明感: 中国市場の低迷が続く資生堂は、需要変化の影響を受けやすい立場です。中国・トラベルリテール事業の動向を注視する必要があります。
- 為替変動: 円安は花王の売上高を押し上げましたが、為替が反転すれば海外事業の円換算額に影響し得ます。海外売上高の比率が高まるほど変動への注意が必要です。
- 欧州事業の採算: 資生堂は欧州事業が営業赤字です。構造改革の成果が他地域に広がっても、赤字事業の改善が遅れれば全体の利益回復を抑える可能性があります。
リスクを評価する際は、売上高の成長だけでなく、地域別の利益や価格改定後の数量動向も確認したいところです。花王では実質成長のうち数量等の伸びが価格要因を下回り、値上げだけに頼らない販売拡大が課題です。ミルボンは海外の伸びを国内需要の弱さが相殺しないか、資生堂は中国と欧州の改善が進むかが注目点です。
就活生・転職希望者へ
就職先を選ぶ際は、企業規模だけでなく、どの顧客や地域に価値を届ける仕事なのかを見極めたい時期です。今回の決算では、サロン向け製品の海外展開、総合化粧品の構造改革、幅広い消費財事業での価格・製品戦略と、各社の課題が異なります。
- ミルボン: 美容室向けを主軸に、海外売上高を伸ばしています。サロンとの関係づくりや、ヘアケア製品の企画・販売に関心がある人に事業の特徴が見えやすい会社です。
- 資生堂: 地域ごとの採算改善と事業効率化が課題です。海外事業やブランド運営に加え、組織改革が業務に与える影響も企業研究の材料になります。
- 花王: 化粧品に加え、日用品やケミカルを含む多角的な事業を展開します。複数の事業領域を横断して経験を積める可能性がある一方、配属先で業務内容は異なります。
投資家には利益の持続性が問われる一方、働く側には成長分野への人材配置や改革の実行力が重要です。企業説明会や採用情報では、海外展開や製品開発の方針だけでなく、事業再編が人員計画や職種にどう反映されるかも確認しましょう。決算数字からは会社の方向性をつかみ、職場の実態は複数の情報で確かめる姿勢が有効です。
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