関西地方銀行3社・2027年3月期Q1、金利追い風の勝者と利益格差
関西の地方銀行3社はそろって増収増益となり、貸出金利息など金利収益の伸びが業績を支えました。なかでも京都FGは純利益の伸びが最も大きく、滋賀銀は収益性で存在感を示しました。一方、南都銀行は債券損失や与信費用が利益を抑え、金利上昇の取り込み方に差が表れています。
今期の総括
3社増益も金利収益の生かし方に差
業界全体の動き
3社とも増収増益ですが、収益の伸びを利益に結び付ける力には差が出ました。売上高の業界平均は482億円、前年比の平均は+25.1%で、滋賀銀の伸びが平均を上回りました。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 京都FG | 649億円 +22.9% | 278億円 +57.7% | 金利収益・有価証券改善 |
| 滋賀銀 | 457億円 +30.6% | 143億円 +53.3% | 利息・金融派生商品 |
| 南都銀行 | 340億円 +21.7% | 65億円 +15.9% | 資金利益増、債券損失 |
- 金利収益の拡大: 京都FGはコア業務粗利益が前年同期比78億円増え、貸出金利息を中心に資金利益が伸びました。滋賀銀と南都銀行も貸出金や有価証券の利息収入が増えています。
- 市場関連損益の振れ: 京都FGは有価証券関係損益が前年同期比33億円改善しました。滋賀銀は金融派生商品収益が増えた一方、南都銀行は国債等債券損益の悪化が利益を抑えました。
- 費用増も共通課題: 滋賀銀は経常費用が前年同期比57億円増え、南都銀行は経常費用が23.3%増加しました。預金金利や債券関連費用の増加を、運用収益で補えるかが焦点です。
売上高の規模では京都FGが大きい一方、伸び率では滋賀銀が業界平均を上回りました。3社の増収を支える金利環境は共通していても、有価証券損益や金融派生商品、与信費用の違いが利益成長の差につながっています。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
利益の伸びで最も勢いがあったのは京都FG、相対的に伸びが小さかったのは南都銀行です。営業利益の業界平均は162億円、純利益の前年比平均は+44.0%で、京都FGは純利益の伸びでも平均を上回りました。
- 京都FG: 営業利益は前年同期比+57.7%、純利益は+55.8%。コア業務粗利益の増加に加え、有価証券関係損益の改善も連結経常利益を押し上げました。
- 滋賀銀: 営業利益は+53.3%、営業利益率は31.3%。営業利益率の業界平均25.3%を上回り、利息収入と金融派生商品収益の増加が収益性を支えました。
- 南都銀行: 営業利益の伸びは+15.9%、純利益は+28.7%。国債等債券損益の悪化や与信関連費用の増加が、資金運用収益の伸びを一部相殺しました。
利益成長は市場損益と費用で分かれる点が今期の特徴です。京都FGは連結で大幅増益ですが、京都銀行単体の経常利益は前年同期比44億円減少しており、前年の子会社配当の影響もあります。南都銀行は純利益が増えたものの、3社の中では利益の伸びが最も小さく、営業利益の通期予想に対する進捗率も20%と、京都FGの36%、滋賀銀の34%を下回りました。
- 好調
- 京都FG
- 苦戦
- 南都銀行

営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
3社は貸出や収益基盤の強化に加え、株主還元にも動いています。通期予想に対する進捗は京都FGと滋賀銀が3割台、南都銀行が2割で、四半期の利益だけで通期達成を判断するには慎重さが必要です。
- 京都FG: 中小企業等向け貸出金は前年6月末比+6.3%となりました。年間配当予想は105円で据え置き、前期の特別配当を除く通常配当合計80円を上回る計画です。
- 滋賀銀: 株式配当金の受領が第1四半期に集中し、中間純利益の通期予想に対する進捗率は約69%です。株式分割後の年間配当予想は50円で、前期配当を分割後換算した28円から増配となる見込みです。
- 南都銀行: 貸出金は前年6月末比1,867億円増、預金等は1,254億円増えました。通期予想は据え置き、年間配当予想は56円です。
| 会社 | 営業利益の通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|
| 京都FG | 766億円 | 36% |
| 滋賀銀 | 421億円 | 34% |
| 南都銀行 | 325億円 | 20% |
配当の増額や貸出の拡大は、株主還元と地域企業への資金供給を並行して進める姿勢を示します。ただし、滋賀銀は配当受領の時期が四半期利益を押し上げており、南都銀行は債券損益や与信費用が重荷です。投資家は配当額だけでなく、利益の継続性と通期予想の進捗を併せて見る必要があります。
業界共通のリスク
金利上昇は貸出金利息を押し上げる一方、預金コストや債券損益にも影響します。3社の決算には、追い風とコスト増が同時に表れました。
- 預金金利の上昇: 預金獲得コストが増えれば、貸出金利息の増加が利益に残りにくくなります。滋賀銀は資金調達費用の増加が示されており、利ざや改善が続くかを確認したい局面です。
- 有価証券・市場損益の変動: 京都FGは有価証券関係損益の改善が増益要因となり、滋賀銀は金融派生商品収益の増加が収益を押し上げました。市場関連損益の振れに対する影響は、今回の開示内容からは南都銀行で最も明確です。同社では国債等債券損益の悪化が利益を抑えました。
- 与信費用の増加: 貸出先の信用状況が悪化すれば、貸出金償却などが利益を圧迫します。貸出金償却の増加が示された南都銀行は、与信関連費用の推移が特に注目されます。
- 利益の四半期偏重: 滋賀銀は株式配当金の受領が第1四半期に集中しました。高い中間進捗率がそのまま通期の利益成長を保証するわけではありません。
金利上昇の恩恵が続くかどうかは、貸出金利息の伸びだけでは測れません。預金金利、債券関連損益、信用コストを含めた収益の質が、投資判断での比較軸になります。
純利益 前年同期比
順位変化と構造トレンド
収益規模では京都FGが先行する一方、成長率では滋賀銀が売上高と営業利益の両方で強さを見せました。純利益の伸びは京都FGが最も大きく、指標ごとに上位企業が異なります。
- 規模と成長率の違い: 京都FGは売上高649億円で3社中最大ですが、前年比の伸び率は滋賀銀が上回りました。規模の大きさと成長の速さは、同じ評価軸ではありません。
- 収益性の差: 滋賀銀の営業利益率は31.3%で、南都銀行の19.2%を上回りました。京都FGの営業利益率はデータがなく、3社の比較では確認できる範囲に限りがあります。
- 利益の中身を見極める局面: 京都FGでは有価証券損益の改善、滋賀銀では金融派生商品収益と配当受領時期、南都銀行では債券損失と与信費用が、それぞれ四半期業績に影響しました。
成長率だけでは稼ぐ力を測れないことが、3社の比較から読み取れます。投資家は利益率や通期進捗に加え、貸出・手数料収入など本業の伸びと、市場損益の寄与を分けて見ることが重要です。今回の順位は一四半期の結果であり、今後の金利や費用の動きで変わる可能性があります。
就活生・転職希望者へ
3社の決算は、銀行の仕事が貸出だけでなく、預金調達や市場運用、手数料収入、信用リスク管理にまたがることを示しています。金利環境が変わる局面では、収益機会とコスト管理の両方が求められます。
- 京都FGに関心がある人: 貸出金利息を中心とする資金利益が伸び、中小企業等向け貸出金も前年6月末比で増えました。地域企業への融資や、連結グループ全体の収益構造に関心がある人に注目材料があります。
- 滋賀銀に関心がある人: 利息収入に加え、金融派生商品収益や有価証券関連の動きも業績に影響しました。市場関連業務と、収益変動を管理する役割への理解が重要です。
- 南都銀行に関心がある人: 貸出金と預金等がともに増える一方、債券損失や与信費用も利益に影響しました。営業現場に加え、融資審査や信用リスク管理の視点も欠かせません。
いずれの銀行でも、金利上昇の恩恵を顧客への提案や安定した収益につなげるには、預金者や企業との関係づくりが土台になります。就職先を比べる際は、配属先や人材育成の実態を各社の採用情報で確認し、決算で見える事業上の課題と結び付けて考えるとよいでしょう。
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