南都銀行、2027年3月期第1四半期決算、経常利益16%増で純利益も伸長
南都銀行の2027年3月期第1四半期決算は、資金運用収益と役務取引等収益の増加を受け、経常収益が前年同期比21.7%増、経常利益が15.9%増となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益も28.7%増で、貸出金利息や有価証券利息配当金の伸びが増益を支えました。一方、債券売却損や貸出金償却など費用も膨らみ、通期予想は据え置いています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 340億円 | +21.7% | — | — |
| 営業利益 | 65億円 | +15.9% | 325億円 | 20% |
| 純利益 | 49億円 | +28.7% | 220億円 | 22% |
| 営業利益率 | 19.2% | |||
この決算のポイント
- 1資金運用収益の増加などで経常収益は前年同期比21.7%増、340億31百万円となった
- 2経常利益は前年同期比15.9%増の65億42百万円、純利益は28.7%増の48億50百万円
- 3貸出金は前年6月末比1,867億円増の4兆6,779億円、預金等は1,254億円増
- 4通期予想は経常利益325億円、純利益220億円で据え置き、1株配当予想は年56円
- 5国債等債券損益の悪化や与信関連費用の増加が、金利収益の伸びを一部相殺
業績のポイント
南都銀行(株式会社南都銀行)の第1四半期は、経常収益が前年同期比21.7%増、経常利益が15.9%増、親会社株主に帰属する四半期純利益が28.7%増となりました。増収増益の一方で、収益の伸びの一部は費用増加に吸収されています。
- 資金運用収益: 貸出金利息や有価証券利息配当金の増加を背景に、前年同期比23.5%増の234億59百万円
- 役務取引等収益: 前年同期比2.7%増の69億16百万円
- 経常費用: 国債等債券売却損や貸出金償却の増加などで、前年同期比23.3%増の274億88百万円
- 営業経費: 人件費などを含み、前年同期比6.8%増の118億89百万円
資金利益の伸びが収益を押し上げた一方、預金利息の増加や債券関連損失が利益の伸びを抑えました。会社は第2四半期累計の予想に対する進捗を「概ね順調」と説明しており、金利収益の拡大が今後も続くか、調達コストや信用コストの増加をどこまで吸収できるかが焦点です。
セグメント別動向
銀行業務がグループ収益の中心で、利益も前年同期から増加しました。リース業務は収益が減ったものの利益は伸び、「その他」も増益となっています。
| セグメント | 経常収益の前年比 | セグメント利益の前年比 |
|---|---|---|
| 銀行業務 | +25.3% | +12.3% |
| リース業務 | -6.8% | +26.6% |
| その他 | +1.8% | +27.3% |
銀行業務は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加が収益を押し上げました。単体のコア業務純益も前年同期から増加しており、債券損益を除いた本業の収益力が改善しています。ただし、国債等債券損益の悪化や与信関連費用の増加もあり、利益の伸びは収益の伸びを下回りました。
リース業務は外部顧客向けの経常収益が減った一方、セグメント利益は増加しました。その他には信用保証、不動産賃貸・管理、ソフトウエア開発、クレジットカード、証券業務などが含まれ、利益の伸びがグループ全体の増益を補っています。
- 銀行業務+12.3%
- リース業務+26.6%
- その他+27.3%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業務 | 302億円 | 89% | 65億円 | 21.1% |
| リース業務 | 30億円 | 9% | 81百万円 | 2.7% |
| その他 | 8億円 | 3% | 8億円 | 42.7% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前期末比3.8%増の6兆9,308億円、自己資本比率は4.4%で前期末と同水準でした。預金や貸出金、有価証券の残高がいずれも前期末から増えています。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 6兆9,308億円 | 前期末比+3.8% |
| 純資産 | 3,057億円 | 前期末比+1.9% |
| 自己資本比率 | 4.4% | 前期末と同水準 |
| 年間配当予想 | 56円 | 分割調整後の前期比+30.2% |
預金は個人・法人ともに増加し、貸出金では住宅ローンと企業向け貸出が伸びました。有価証券残高も拡大しており、資産運用の規模が大きくなっています。なお、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の営業・投資・財務キャッシュフローは確認できません。
2026年4月1日付で1株を5株とする株式分割を実施しました。前期の年間配当215円は分割前の金額で、分割後に換算すると43円となるため、今期予想の年間56円は実質的な増配見通しです。自社株買いの発表はなく、自己資本比率は銀行の規制上の自己資本比率とは異なる指標である点にも注意が必要です。
通期見通し
南都銀行は2027年3月期の連結業績予想を変更していません。第1四半期の利益は年間予想に対しておおむね2割強の進捗で、会社は第2四半期累計の予想に対しても「概ね順調」としています。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 | 前期実績 |
|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 325億円 | 325億円 | +30.9% | 決算短信に記載なし |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 220億円 | 220億円 | +28.9% | 決算短信に記載なし |
第2四半期累計の予想は経常利益135億円、純利益90億円です。第1四半期の実績はそれぞれの累計予想に対して48.5%、53.9%に相当します。前回予想からの修正がない理由について、会社は業績が概ね計画通りに進んでいると説明しています。
経常収益の通期予想は開示されていません。金利収益の増加が続く一方で、預金金利や債券損益、与信関連費用の動きによって利益の進み方が変わるため、今後の四半期で費用増を吸収できるかが見通しの確認点です。
リスクと課題
金利環境の変化は貸出金利息の増加につながる一方、預金金利や保有債券の評価・売却損にも影響します。第1四半期の実績では、こうした収益拡大と費用増加の両面が表れました。
- 預金金利の上昇: 預金利息は前年同期比で増加しており、調達コストの上昇が資金利益の伸びを抑える可能性があります。
- 債券運用の損失: 国債等債券損益が悪化し、その他業務費用も増加しました。金利変動が続けば、売却損や評価損が利益を圧迫するおそれがあります。
- 信用コスト: 貸出金償却や不良債権処理額が増加しました。一方、開示債権比率は2026年6月末に1.19%と、前年同月末の1.36%から低下しています。
- 利益予想の前提: 業績予想は一定の前提に基づくもので、会社も実際の業績はさまざまな要因で大きく異なる可能性があるとしています。
貸出金の増加は利息収入の拡大につながりますが、貸出先の経営環境が悪化すれば信用コストが膨らむ可能性もあります。金利上昇による利ざや改善だけでなく、預金調達費用と債券運用の損益を合わせて確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/28)
1,894円
最新終値(2026/10/23)
1,713円-9.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#南都銀行#決算#決算分析#四半期決算#銀行業#増収増益#金利上昇#配当#貸出金
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コメント
資金利益の伸びを背景に増益となり、住宅ローンや企業向け貸出の増加も地域金融機関としての基盤を支えています。一方で、預金利息の増加や債券関連損失、与信費用の増加が同時に表れており、収益拡大がそのまま利益に結び付く局面ではありません。
金利上昇の恩恵とコスト増が併存しているため、次の四半期では貸出金利息の伸びが預金コストや債券損益を上回るかに注目したいところです。通期予想は据え置きで、現時点では計画線上の進捗ですが、増益の持続性は資金利益の質と信用コストの推移で見極める必要があります。
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