地域・独立系証券5社、2027年3月期中間決算比較、株式活況の勝者と利益格差の理由
5社中4社が増収となり、岡三証券は受入手数料の急増を背景に営業利益を2倍超へ伸ばした。一方、極東証券は投資信託などの手数料が伸びても、債券取引益の縮小が響き減益。同じ株高でも収益構成で明暗が分かれた。投資家は増益の再現性、就活生は相場依存を抑える収益づくりに注目したい。
今期の総括
同じ株高でも収益構成で明暗
業界全体の動き
5社のうち4社が増収で、業界平均の売上高は289.4億円、前年比は+19.1%でした。株式市場の活況が手数料収入を押し上げた一方、トレーディング損益や債券収益の差が各社の明暗を分けました。
- 株式売買の活発化: 岡三証券では受入手数料が44.9%増、東海東京FGでは株式委託手数料が53.7%増となりました。
- 手数料収入の広がり: 丸三証券は投資信託の募集手数料が28.8%増、信託報酬が24.9%増。極東証券も受入手数料を47.5%伸ばしました。
- 市場収益のばらつき: 岩井コスモは株券トレーディング損益が21.9%増えましたが、極東証券はトレーディング損益が69.1%減りました。
- 費用も増加: 岡三証券の販管費は11.8%増、岩井コスモは13.5%増。増収を利益に結びつける力も問われました。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 丸三証券 | 120億円 +25.0% | 32億円 +88.7% | 投信・株式手数料増 |
| 東海東京FG | 537億円 +17.3% | 107億円 +77.0% | 株式委託手数料増 |
| 岡三証券 | 568億円 +31.9% | 150億円 +136.6% | 受入手数料増 |
| 極東証券 | 41億円 -4.3% | 14億円 -21.3% | 債券取引益縮小 |
| 岩井コスモ | 181億円 +25.5% | 79億円 +44.3% | 手数料・株券益増 |
共通の追い風は株式取引の活発化ですが、収益源の構成によって利益への波及は異なります。市場の売買が鈍った場合にも収益を維持できるかが、業界全体の課題です。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
増益の勢いでは岡三証券が先行し、極東証券は5社で唯一の減収減益でした。営業利益の業界平均は76.4億円、営業利益率の平均は29.9%ですが、上位企業の利益成長は手数料や市場収益の取り込み方で差がつきました。
- 岡三証券: 営業利益は前年比136.6%増。受入手数料が44.9%増え、販管費の伸び11.8%を上回りました。
- 極東証券: 営業利益は21.3%減。受入手数料は47.5%増えたものの、トレーディング損益が69.1%減りました。
- 岩井コスモ: 営業利益は44.3%増で、中間期の主要利益が過去最高。株券トレーディング損益も21.9%増えました。
- 丸三証券: 営業利益は88.7%増。投資信託の手数料と信託報酬が伸び、残高収入も拡大しました。
岡三証券は手数料収入が費用増を上回り、利益を大きく伸ばしました。極東証券は手数料の伸びを債券などの取引収益の縮小が打ち消し、利益率の高さだけでは減益を防げませんでした。岩井コスモのように手数料とトレーディングの双方が伸びた例もあり、収益源の分散が結果を左右しています。
- 好調
- 岡三証券
- 苦戦
- 極東証券

営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社は株式市場の追い風を取り込むだけでなく、顧客基盤や収益源を広げる動きも進めています。株主還元では複数社が中間配当を増やす一方、通期予想や期末配当を未定とする会社もありました。
- 丸三証券: 中間配当は1株36円で、前年同期から4円増。特別配当15円を継続し、投資信託の信託報酬など残高収入も伸ばしました。
- 東海東京FG: 中間配当を22円から25円に増額。事業譲渡益28億円を計上し、調査機能の強化やデジタル資産運用提案にも取り組みます。
- 岡三証券: 地方銀行向け証券プラットフォームを初展開し、運営会社も経営統合。中間配当や期末配当の普通配当は、通期見通しと合わせて不透明です。
- 極東証券: 中間配当は前年同期と同じ1株50円。投資信託の販売手数料や信託報酬が受入手数料を押し上げました。
- 岩井コスモ: 中間配当を60円から65円に増額。米国株の提案営業や、初心者向けから先端技術関連までの投資信託を扱います。
共通しているのは、委託手数料に加えて投資信託や残高に応じた収入を育てる方向です。岡三証券の地方銀行向け基盤や、丸三証券の信託報酬の伸びは、相場の売買量だけに依存しない顧客接点づくりとして注目されます。
業界共通のリスク
相場上昇が各社の収益を押し上げた半面、通期の業績を見通しにくい状況は続いています。東海東京FG、岡三証券、極東証券は市場変動を理由に通期予想を開示しておらず、短期の増益だけで先行きを判断しにくい決算です。
- 相場変動: 売買活況の反動で委託手数料が鈍る可能性があります。通期予想を開示していない東海東京FG、岡三証券、極東証券で見通しの不確実性が表れています。
- 債券・トレーディング損益: 金利や市場価格の変化で損益が振れます。債券等のトレーディング損益が大きく減った極東証券は、今回の影響が特に明確でした。
- 費用の増加: 岡三証券や岩井コスモでは販管費が増えました。収益の伸びが鈍化した際に、費用増が利益を圧迫しないかが焦点です。
- 資本指標の変化: 丸三証券の自己資本比率は前期末の58.0%から48.4%に低下しました。自己資本規制比率は530.1%で、両指標の推移を分けて確認する必要があります。
各社の決算には、手数料収入が増えても他の収益項目の変動で利益が減る例が表れました。投資家は収益の内訳と資本指標を、就活生は相場に左右される部門と顧客基盤を育てる業務の双方を見ておきたいところです。
純利益の伸びと利益の質
純利益は岡三証券、東海東京FG、岩井コスモ、丸三証券で増え、極東証券は減少しました。業界平均の前年比は+37.3%ですが、特別損益の違いもあるため、営業利益の伸びと合わせた確認が欠かせません。
| 会社 | 純利益 前年比 | 背景 |
|---|---|---|
| 岡三証券 | 117億円 +89.4% | 手数料増、債券損益が黒字化 |
| 東海東京FG | 102億円 +58.0% | 事業譲渡益28億円を計上 |
| 岩井コスモ | 63億円 +36.8% | 手数料と株券損益が増加 |
| 丸三証券 | 29億円 +24.1% | 特別利益の反動などが影響 |
| 極東証券 | 19億円 -22.0% | 取引損益と売却益が縮小 |
東海東京FGは当期に事業譲渡益を計上し、前年同期には投資有価証券売却益がありました。丸三証券も営業利益の伸びに比べて純利益の増加が緩やかで、前年同期の特別利益の減少や税負担の増加が影響しています。利益成長の持続性を見るには、営業段階の手数料収入と一時的な損益を分けて捉える必要があります。
純利益 前年同期比
就活生・転職希望者へ
今回の決算からは、証券会社の仕事が株式の売買仲介だけではないことが見て取れます。投資信託の提案や運用残高の拡大、地方銀行との連携など、顧客との長期的な接点を収益につなげる動きが各社にあります。
- 営業・顧客提案: 岩井コスモは米国株の提案営業や幅広い投資信託の取り扱いを進めました。丸三証券では投資信託の募集手数料と信託報酬がともに増えています。
- 調査・情報提供: 丸三証券は半導体やデータセンター関連の情報提供に力を入れ、東海東京FGは調査機能の強化を掲げています。
- デジタル・法人連携: 東海東京FGはデジタル資産運用提案に取り組み、岡三証券は地方銀行向け証券プラットフォームを展開しました。
相場が活況な期は手数料収入や取引収益が伸びやすい一方、市況によって業績が変動する会社もあります。就職先を選ぶ際は、顧客提案、調査、デジタル、法人向け基盤など、どの業務が収益の安定化に結びつくのかを各社の取り組みから確認したいところです。
地域・独立系証券を比較
年収・業績・株価を並べて証券業界の今
掲載13社- 業界の株価(1年)
- +20.4%全業界 +14.9%
- 予想の上方修正
- 1社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 13.8%
- 予想修正今期予想を上方修正したのは1社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは日本取引所(営業利益+34.3%)。
- 会社計画2027年度の会社計画(2社合計)は営業利益+29.6%。営業利益の伸びは全業界の計画(+13.0%)を上回る。




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他の期間
2期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期


