極東証券、2027年3月期第2四半期決算、純利益22%減で債券取引益が縮小
極東証券の2027年3月期第2四半期決算を分析すると、営業収益は前年同期比4.3%減の41億33百万円、営業利益は同21.3%減の13億62百万円、純利益は同22.0%減の19億11百万円でした。株式売買や投資信託販売の手数料は伸びたものの、債券トレーディング損益が大きく減少し、投資有価証券売却益も前年を下回りました。通期予想は開示していません。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高金融費用控除後 40億円-5.1% | 41億円 | -4.3% |
| 営業利益 | 14億円 | -21.3% |
| 純利益 | 19億円 | -22.0% |
| 営業利益率 | 33.0% |
この決算のポイント
- 1受入手数料は投資信託の販売や信託報酬が伸び、前年同期比47.5%増の26億61百万円
- 2トレーディング損益は債券等の利益縮小で同69.1%減の4億84百万円
- 3投資有価証券売却益は前年同期比28.3%減の11億8百万円となった
- 4総資産は前期末比83億69百万円増の889億69百万円、自己資本比率は60.3%
- 5中間配当は前年同期と同じ1株50円、通期業績予想は市場変動を理由に非開示
業績のポイント
極東証券(極東証券)は、2027年3月期中間期に営業収益が前年同期比4.3%減、営業利益が21.3%減、親会社株主に帰属する中間純利益が22.0%減となりました。手数料増をトレーディング減が打ち消す形となり、利益を押し下げました。
主な収益項目は次の通りです。
| 項目 | 当中間期(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 受入手数料 | 2,661 | +47.5% |
| トレーディング損益 | 484 | -69.1% |
| 金融収益 | 951 | +1.5% |
| 純営業収益 | 4,039 | -5.1% |
受入手数料の増加には、株式委託手数料や投資信託の販売手数料、信託報酬の伸びが寄与しました。一方、債券等のトレーディング損益は前年同期比61.5%減となり、株券等の損益も損失が拡大しました。販売費・一般管理費も前年同期比5.9%増えたため、手数料収入の伸びが営業利益の回復にはつながりませんでした。
- 受入手数料+47.5%
- トレーディング-69.1%
- 金融収益+1.5%
- 純営業収益-5.1%
セグメント別動向
短信では、事業セグメント別の売上高や利益は開示されていません。証券業務の主な収益源として受入手数料、トレーディング損益、金融収支などを示しており、収益の種類ごとの動きから中間期の特徴を確認できます。
- 受入手数料: 26億61百万円で前年同期比47.5%増。株券委託手数料は40.5%増、投資信託の募集・売出し等の取扱手数料は36.6%増、その他の受入手数料は77.6%増でした。
- トレーディング損益: 4億84百万円の利益で前年同期比69.1%減。債券等の利益は61.5%減り、株券等は1億24百万円の損失でした。
- 金融収支: 金融収益から金融費用を差し引いた収支は8億57百万円で、前年同期比2.1%減。金融費用が53.5%増えました。
株式市場の上昇を背景に委託手数料や投資信託関連の収入は増えましたが、トレーディング損益の縮小が全体の収益を圧迫しました。会社は顧客の多様なニーズに応える「特色ある旬の商品」の提供に努めており、手数料収入の拡大が収益の安定化につながるかが今後の焦点です。
- 委託手数料+41.6%
- 募集取扱+36.6%
- その他手数料+77.6%
- 引受関連-15.4%
第2四半期は営業赤字に転落
中間期累計では営業黒字を確保した一方、2026年7〜9月の第2四半期単独では営業損失となりました。第1四半期の利益を第2四半期の減益が大きく削り、四半期ごとの収益変動の大きさが表れています。
| 項目(百万円) | 第1四半期 | 第2四半期 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 2,899 | 1,233 |
| トレーディング損益 | 947 | -463 |
| 営業利益 | 1,524 | -161 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 1,528 | 383 |
第2四半期はトレーディング損益が4億63百万円の損失となり、純営業収益も第1四半期の28億60百万円から11億78百万円に減少しました。受入手数料は第1四半期から大きく崩れていないものの、市場環境に左右される売買収益の振れが、四半期単位の利益を大きく変える構造です。
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は前期末比83億69百万円増の889億69百万円、自己資本比率は65.1%から60.3%に低下しました。中間配当は前年同期と同額の1株50円で、通期配当額は未定です。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 88,969 | 前期末比 +8,369 |
| 純資産(百万円) | 53,609 | 前期末比 +1,099 |
| 自己資本比率 | 60.3% | 前期末 65.1% |
| 中間配当(円/株) | 50 | 前年同期 50 |
| 年間配当(円/株) | 未定 | 前期実績 110 |
資産の増加には預託金や信用取引資産、投資有価証券の増加が影響しました。純資産はその他有価証券評価差額金の増加などで前期末を上回っています。キャッシュフロー計算書の数値はこの短信に記載されておらず、自社株買いの実施も開示されていません。中間配当を維持する一方、通期業績と期末配当は市場環境を見極める必要があります。
通期見通し
極東証券は2027年3月期の連結業績予想を開示していません。業績予想に対する中間期の進捗率や、前回予想からの修正幅を比較することはできません。
会社は、営業収益の多くが株式・債券市場を源泉とし、市場の好不調によって業績が大きく変動すると説明しています。政治・経済情勢や金利、為替などを含む市場動向を的確に予測することは難しく、予想と実績の乖離が大きくなりうるため、予想の公表は行わない方針です。その代わり、期末や四半期末から10営業日目を目途に、業績数値がほぼ確定した段階で速報値を公表するとしています。
リスクと課題
証券会社の収益は市場取引や保有金融商品の評価に影響され、短期間でも振れやすい性質があります。短信で会社が示したリスクに加え、中間期に見られた収益の変動にも注意が必要です。
- 市場価格の変動: 株式・債券市場の変動は、受入手数料やトレーディング損益を通じて収益に影響します。中間期は手数料が伸びた一方、トレーディング損益が前年同期比69.1%減りました。
- 保有金融商品の評価変動: 国内外の市場が急変すると、保有金融商品の評価損益が多額になる可能性があります。会社はこれを業績予想を公表しない理由の一つに挙げています。
- 金利・為替・地政学リスク: 日米欧の金利動向や中東情勢、原油価格の変動は市場心理や債券・為替市場に波及します。金利上昇や円相場の変化が取引環境を変える可能性があります。
- 収益の四半期変動: 第2四半期単独では営業損失となり、累計利益だけでは期間中の収益の振れを把握しにくい状況でした。手数料収入の拡大とトレーディング収益の安定化が課題です。
市場の不確実性が高い局面では、手数料など複数の収益源を確保しながら、金融商品の保有や財務運営を慎重に行えるかが重要です。投資家は累計業績だけでなく、各四半期のトレーディング損益も確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
1,511円
最新終値(2026/10/29)
1,511円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
極東証券をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて証券業界の今
掲載13社極東証券は証券業界の掲載13社中、売上高で12位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +21.6%全業界 +16.0%
- 予想の上方修正
- 1社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 13.8%
- 極東証券−2.4%
- 証券(業界平均)+21.6%
- 全業界+16.0%
- 予想修正今期予想を上方修正したのは1社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのは日本取引所(営業利益+34.3%)。
- 会社計画2027年度の会社計画(2社合計)は営業利益+29.6%。営業利益の伸びは全業界の計画(+11.7%)を上回る。




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この中間決算は、手数料収入の大幅な伸びだけでは証券会社の利益を安定させきれないことを示しています。特に第2四半期単独で営業赤字となった点は、累計の前年同期比だけを見るよりも注目度が高い材料です。
一方、投資信託関連を含む受入手数料の拡大は、収益源を広げる取り組みが一定の成果を上げていることを示します。今後は、この手数料収入の底上げが続くかに加え、債券などのトレーディング損益がどの程度持ち直すかが、利益の回復を見極める焦点です。
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