北海道電力・2026年3月期Q3、営業利益22.7%増の791億円——燃料費調整の期ずれ改善で増益、年間配当は30円へ増配
売上高
6,177億円
-4.4%
通期予想
8,670億円
営業利益
792億円
+22.7%
通期予想
590億円
純利益
488億円
-10.7%
通期予想
280億円
営業利益率
12.8%
北海道電力が発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)決算は、売上高が前年同期比 4.4%減 の 6,177億円 、営業利益は同 22.7%増 の 791億円 となりました。燃料価格の下落に伴い電気料金の燃料費調整額が減少したことで減収となった一方、燃料価格下落による「期ずれ差益」の拡大や水力発電量の増加が利益を大きく押し上げました。好調な利益成長を背景に、年間配当予想は前期から10円増の 30円 を維持し、株主還元を強化する姿勢を鮮明にしています。
業績のポイント
当第3四半期の連結累計期間における売上高は、前年同期比 4.4%減 の 6,177億円 となりました。これは燃料価格の低下に伴い、燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費等調整額」が減少したことが主な要因です。一方で、本業の儲けを示す営業利益は同 22.7%増 の 791億円 と大幅な伸びを記録しました。背景には、燃料価格の下落ペースが料金反映を上回ることで生じる「燃料費調整制度の期ずれ差益」の拡大があります。
経常利益についても、労務費や物価、金利の上昇といったコスト増要因をこなし、同 19.7%増 の 679億円 と好調に推移しました。しかし、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期に計上した「核燃料売却益」という一時的な特別利益が減少した影響により、同 10.7%減 の 488億円 となりました。純利益は微減したものの、電力事業の本業における収益力の回復が際立つ内容となっています。
| 項目 | 2025年3月期 Q3 | 2026年3月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,464億円 | 6,177億円 | △4.4% |
| 営業利益 | 644億円 | 791億円 | +22.7% |
| 経常利益 | 568億円 | 679億円 | +19.7% |
| 四半期純利益 | 546億円 | 488億円 | △10.7% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力の「北海道電力」セグメント(発電・小売事業)の外部顧客向け売上高は、前年同期比 7.1%減 の 4,860億円 、セグメント利益は 574億円 (前年同期は507億円)となりました。燃料価格の低下による調整額の減少が減収要因となりましたが、水力発電の増加に伴う燃料消費の抑制が利益を押し上げました。厳しい経営環境下でも、電源構成の最適化が進んだことが収益の安定に寄与しています。
送配電事業を担う「北海道電力ネットワーク」セグメントは、外部顧客向け売上高が前年同期比 11.0%増 の 1,019億円 、セグメント利益は 28億円 (前年同期は0億円)と黒字化を果たしました。他社からの受電費用の変動などはありましたが、ネットワーク利用の安定により収益が改善しています。また、ITサービスや工事、不動産などを含む「その他」セグメントも、売上高 296億円 、セグメント利益 107億円 を確保し、連結業績を下支えしています。
| セグメント | 売上高(外部) | 前年同期比 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 北海道電力(発電・小売) | 4,860億円 | △7.1% | 574億円 |
| 北海道電力NW(送配電) | 1,019億円 | +11.0% | 28億円 |
| その他(IT・不動産等) | 296億円 | △4.4% | 107億円 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道電力(発電・小売) | 4,861億円 | 79% | 574億円 | 11.8% |
| 北海道電力ネットワーク(送配電) | 1,020億円 | 17% | 28億円 | 2.8% |
財務状況と資本政策
総資産は、前連結会計年度末比で 1,342億円増 の 2兆3,782億円 となりました。これはカーボンニュートラルの実現に向けた固定資産への投資や、電力需要の増加に対応するための設備投資が継続しているためです。負債についても有利子負債が 818億円増加 し、 1兆9,184億円 となりましたが、将来の成長を見据えた前向きな資金調達としての側面が強いと見られます。
自己資本比率は、四半期純利益の積み上げにより、前連結会計年度末の 17.5% から 18.7% へと 1.2ポイント改善 しました。特筆すべきは株主還元の方針です。同社は今期の年間配当について、前期(20円)から10円増配となる 30円 (中間15円・期末予想15円)を据え置いています。これは、財務体質の強化と株主還元の両立を重視する経営判断の表れと言えます。
通期見通し
2026年3月期の通期業績予想については、前回発表の数値を据え置いています。売上高は前期比 3.9%減 の 8,670億円 、営業利益は同 22.2%減 の 590億円 を見込んでいます。第3四半期までの利益進捗は良好ですが、通期では燃料価格の変動リスクや年度末にかけての諸経費の発生を見込み、慎重な見通しを維持しています。
| 項目 | 前期実績(2025/3) | 今回予想(2026/3) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 9,022億円 | 8,670億円 | △3.9% |
| 営業利益 | 758億円 | 590億円 | △22.2% |
| 経常利益 | 641億円 | 43,000億円 | △32.9% |
| 当期純利益 | 642億円 | 28,000億円 | △56.4% |
リスクと課題
今後の懸念点として、会社側は以下のリスクに言及しています。
- 燃料価格・為替の変動: 燃料費調整制度による期ずれ影響は、価格上昇局面では逆に利益を圧迫する要因となります。
- 物価・金利の上昇: 労務費や資材価格の上昇は、電力設備の維持更新コストに直結します。
- 電力需給の安定性: 北海道における再生可能エネルギーの導入拡大や、原子力発電所の再稼働に向けたプロセスの進展が、長期的なコスト構造を左右する重要な経営課題となります。
今回の決算で最も注目すべきは、燃料価格の下落を追い風にした営業利益の伸長と、それに伴う増配の断行です。多くの地方電力会社が燃料価格の乱高下に苦しむ中、北海道電力は「期ずれ」の恩恵をしっかりと利益に反映させています。
一方で、通期予想が対前期で大幅な減益を見込んでいる点は、保守的な見積もりとも取れますが、第3四半期時点ですでに営業利益 791億円 に達しており、通期予想の 590億円 を大きく上回っています。年度末に向けた一時的な費用計上を考慮しても、上方修正の期待が持てる進捗状況と言えるでしょう。
就職活動中の学生にとっては、同社が「カーボンニュートラル実現」に向けた巨額の投資を継続しており、自己資本比率を改善させながらも攻めの姿勢を崩していない点は、将来性を評価する上で重要なポイントとなります。インフラ企業としての安定性と、環境変化への対応力の両面を確認できる決算内容です。
