東京瓦斯・2026年3月期Q3、純利益が約5倍の1,662億円——電力販売の伸びと資産売却が寄与、通期予想を上方修正
売上高
2.0兆円
+10.6%
通期予想
2.9兆円
営業利益
1,383億円
+87.5%
通期予想
1,850億円
純利益
1,663億円
+395.8%
通期予想
1,940億円
営業利益率
6.8%
売上高は前年比 10.6%増、純利益は前年比 395.8%増 と大幅な増益を達成しました。好調な電力販売に加え、資産売却による特別な利益 が大きく膨らんだことが要因です。業績の拡大を受け、通期の利益予想を引き上げ、年間配当も前期の80円から 100円 へ増やす計画です。
業績のポイント
全体の売上高は 2兆396億円(前年比 10.6%増)となりました。
利益面では、営業利益が 1,382億円(前年比 87.5%増)と大きく伸びています。
特に純利益は 1,662億円 と、前年の 335億円 から約5倍に跳ね上がりました。
この急増は、電力販売が伸びたことに加え、土地や株の売却、為替の影響による 約1,214億円の特別利益 が出たためです。
光熱費の調達コストは上がりましたが、販売価格への反映が進み、利益を守りました。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- エネルギー・ソリューション: 売上高は 1兆8,090億円(前年比 9.3%増)でした。ガス販売量はほぼ横ばいですが、電力販売量が 22.4%増 と大きく伸び、利益をけん引しました。
- ネットワーク: 売上高は 2,203億円(前年比 1.9%増)です。経費の抑制により、前年の赤字から 31億円 の改善を見せました。
- 海外: 売上高は 1,683億円(前年比 41.9%増)と絶好調です。海外の事業が順調に推移し、利益も前年の約3.5倍に拡大しました。
- 都市ビジネス: 売上高は 430億円(前年比 6.4%減)でした。一部の利益が減ったことで、セグメント利益は 18億円(前年比 82.8%減)と苦戦しています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー・ソリューション | 1.8兆円 | 81% | 1,359億円 | 7.5% |
| ネットワーク | 2,204億円 | 10% | -19,057百万円 | -8.6% |
| 海外 | 1,683億円 | 8% | 484億円 | 28.7% |
| 都市ビジネス | 431億円 | 2% | 19億円 | 4.4% |
財務状況と資本政策
総資産は 3兆7,158億円 で、前期末から 1,392億円 減りました。
借入金の返済が進んだ一方で、自己株式の取得(自社株買い)を積極的に行っています。
今年度は約 1,540億円 の自社株買いを実施済み、または実施中です。
配当金は、1株あたり年間 100円 を予定しており、株主への還元を強めています。
リスクと課題
- 原料価格の変動: 原油価格やLNG価格が急騰すると、利益が削られる恐れがあります。
- 為替の影響: 円安が進むと原料の輸入コストが上がり、経営の重荷になります。
- 気温の変化: 暖冬になると暖房用のガス需要が減り、売上に直接響きます。
通期見通し
2026年3月期の通期予想を 上方修正 しました。
売上高は 2兆8,900億円(前年比 9.6%増)、純利益は 1,940億円(前年比 161.5%増)を見込みます。
当初の予想よりも電力事業が好調なことや、資産売却による利益を織り込みました。
下半期も電力販売の拡大とコスト管理を徹底し、高い目標の達成を目指します。
今回の決算で最も目を引くのは、純利益の爆発的な伸びですが、その中身を冷静に見極める必要があります。
利益の多くは不動産や投資有価証券の売却、為替換算調整勘定の取崩といった「一過性の利益」によるものです。投資家としては、これらを除いた本業の稼ぐ力がどれだけ伸びているかに注目すべきでしょう。
好材料は電力販売量の2割を超える成長です。ガス一本足打法からの脱却が着実に進んでいる点は、就活生にとっても「総合エネルギー企業」としての将来性を感じさせるポイントです。
また、大規模な自社株買いと増配を同時に進める姿勢からは、資本効率を強く意識した経営への転換が伺えます。今後は、高騰する電源調達コストをいかにコントロールし、安定的な収益基盤を築けるかが焦点となります。
