株式会社インターネットイニシアティブ の会社詳細
株式会社インターネットイニシアティブ
インターネットイニシアティブ
2026年3月期 第3四半期

IIJ・2026年3月期第3四半期、営業利益17.9%増の244億円——法人向けDX需要が拡大、ストック型収益が成長を牽引

増収増益
インターネットイニシアティブ
DX
サイバーセキュリティ
ストック型収益
クラウド
IIJmio
増配
IoT
ITインフラ
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

2,493億円

+8.7%

通期予想

3,400億円

進捗率73%

営業利益

244億円

+17.9%

通期予想

365億円

進捗率67%

純利益

163億円

+18.0%

通期予想

230億円

進捗率71%

営業利益率

9.8%

インターネットイニシアティブ(IIJ)が6日に発表した2026年3月期第3四半期累計(2025年4〜12月)の連結決算(IFRS)は、営業利益が前年同期比 17.9%増244億1,200万円 と大幅な増益を記録した。企業のDX化を背景にクラウドやセキュリティ関連の需要が堅調に推移し、月額支払いのストック型収益が利益を押し上げた。売上収益も 8.7%増2,493億3,100万円 と過去最高を更新しており、通期の業績予想は据え置いたものの、底堅い成長軌道を維持している。

業績のポイント

当第3四半期の累計業績は、主力である法人向けサービスが牽引し、増収増益を達成した。売上収益は 2,493億3,100万円 (前年同期比 +8.7% )、営業利益は 244億1,200万円 (同 +17.9% )、親会社の所有者に帰属する四半期利益は 162億7,400万円 (同 +18.0% )となった。

増益の背景には、企業のネットワーク構成の変化がある。従来の社内閉域網からクラウドやAI活用を前提とした複雑なネットワークへの移行が進んでおり、同社の強みであるクラウド、セキュリティ、システム運用保守を組み合わせたサービスが奏功した。特に、一時的な「システム構築売上」に依存せず、継続的な「月額ストック売上」が前年同期比12.0%増と高い伸びを示したことが、収益の安定性と利益率の向上に寄与している。

指標2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上収益2,293億円2,493億円+8.7%
営業利益207億円244億円+17.9%
税引前四半期利益206億円246億円+19.6%
親会社所有者帰属利益138億円163億円+18.0%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力のネットワークサービス及びSI事業は、売上収益が 2,471億600万円 (前年同期比 +8.8% )、営業利益が 234億8,000万円 (同 +18.4% )と極めて好調であった。法人向けインターネット接続サービスでは、IoT用途向けのモバイルサービスや高帯域なIPサービスが伸長し、法人向けサービス全体の契約総帯域は前年同期末から約 3,961Gbps 増加した。

システムインテグレーション(SI)分野では、運用の効率化やアウトソース需要の高まりにより、システム運用保守の売上が前年同期比 15.9%増 と大きく伸びた。一方で、システム構築売上については前年同期に約 50億円 の大型案件があった反動により 3.5%減 となったものの、受注残高は前年同期比 22.1%増1,409億円 に達しており、次期以降の成長に向けた仕込みは順調に進んでいる。

個人向けモバイルサービス「IIJmio」も底堅く推移している。競争環境が激化するなか、データ容量の拡充や端末販売の強化により、回線数は 139.5万回線 (前年同期末比約 11万回線増 )に拡大した。これにより個人向け接続サービスの売上高は前年同期比 7.2%増213億1,700万円 となり、利益貢献度も高まっている。

サービス区分売上高(百万円)前年同期比利益(百万円)前年同期比
ネットワークサービス132,121+10.0%35,766 (総利)+6.2%
システム構築45,104△3.5%17,362 (総利)+22.1%
SI運用保守69,854+15.9%(SI全体として算出)-
ATM運営事業2,252+2.5%932 (営利)+7.3%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ネットワークサービス及びSI事業2,471億円99%235億円9.5%
ATM運営事業23億円1%9億円41.4%

財務状況と資本政策

財務基盤は安定的に推移しており、総資産は前連結会計年度末比 236億円 増の 3,360億円 となった。主な増加要因は、データセンター関連資産の取得に伴う有形固定資産の増加( 63億円 増)や、現金及び現金同等物の増加( 80億円 増)である。親会社所有者帰属持分比率は 45.2% と、健全な水準を維持している。

株主還元については、当初の計画通り年間配当を前期の35円から 4円増配39円 (中間19.5円、期末予想19.5円)とする方針を維持した。利益成長に伴う増配は投資家への積極的な還元姿勢を示すものであり、配当性向は連結業績予想ベースで約 30% を維持する見込みだ。また、自己株式の処分などを通じた資本効率の改善にも継続的に取り組んでいる。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想について、同社は期初予想を据え置いた。売上収益は前期比 7.3%増3,400億円 、営業利益は 21.2%増365億円 を見込む。第3四半期時点での営業利益の進捗率は約 66.9% となっており、年度末にかけてのSI案件の検収集中を考慮すれば、計画達成に向けた進捗は概ね順調といえる。

項目前期実績今期予想(修正なし)前期比
売上収益3,169億円3,400億円+7.3%
営業利益301億円365億円+21.2%
親会社帰属当期利益199億円230億円+15.4%

リスクと課題

好調な業績の裏で、同社はいくつかの外部環境リスクを注視している。まず、インフレ等による全般的なコスト増加基調が続いており、特にエンジニアなどの人件費や電力料金の上昇が売上原価を押し上げる要因となっている。同社は規模拡大によるスケールメリットと、サービス単価への適切な価格転嫁によってこれらの影響を相殺する構えだ。

また、地政学リスクの高まりや米国の通商政策の変化による景気の下押しリスクも懸念材料として挙げている。ICT投資は景気動向に左右されやすい側面があるため、顧客企業の予算執行状況に変化がないか注視が必要である。加えて、Vmware製品の実質的な値上げといった外部ベンダーのコスト構造変化についても、顧客への価格転嫁を概ね完了させているものの、今後の動向に注意を払っている。

AIアナリストの視点

IIJの決算で特筆すべきは、単なる増収増益以上に、収益構造の「質的な向上」が鮮明になっている点です。かつてのSI企業は労働集約的な「構築」が収益の柱でしたが、同社はネットワーク、セキュリティ、運用保守という「ストック型」の月額売上を主軸に据えることに成功しています。

  • 特にSI運用保守の売上が 15.9%増 と伸びている点は、顧客が一度構築したシステムを継続的にIIJに委託していることを示しており、高い顧客粘着性を裏付けています。
  • SI構築の反動減(前期大型案件の欠落)を他のセグメントで余裕を持ってカバーできている点は、事業ポートフォリオの分散が機能している証左です。
  • 今後の注目点は、好調な受注残高( 22.1%増 )がいつ、どの程度の利益率で計上されるかでしょう。人件費上昇というコスト圧力を、高い付加価値サービスでどこまで吸収し続けられるかが、次期以降の営業利益率2桁維持への鍵となります。