BIPROGY株式会社 の会社詳細
BIPROGY株式会社
BIPROGY
2026年3月期 第3四半期

BIPROGY・2026年3月期Q3、純利益27.4%増の222億円——旺盛なDX需要で最高益圏、リテールメディア大手を買収

BIPROGY
増収増益
DX投資
M&A
リテールメディア
配当増額
上方修正
システム開発
IT業界
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

3,068億円

+9.9%

通期予想

4,270億円

進捗率72%

営業利益

303億円

+20.6%

通期予想

426億円

進捗率71%

純利益

222億円

+27.4%

通期予想

290億円

進捗率77%

営業利益率

9.9%

IT大手のBIPROGY(旧日本ユニシス)が発表した2026年3月期第3四半期決算は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が前年同期比 27.4%増222億3,600万円 と大幅な増益を記録しました。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が継続する中、システム開発やソフトウェア販売が好調に推移し、全セグメントで利益を伸ばしています。また、リテールメディア大手「カタリナマーケティングジャパン」の買収を完了し、新たな収益基盤の構築を加速させる攻めの姿勢を鮮明にしました。

業績のポイント

当第3四半期の売上収益は、前年同期比 9.9%増3,068億4,400万円 となりました。国内の雇用・所得環境の改善を背景に、企業のソフトウェア投資意欲が衰えず、主力のシステムサービスや製品販売が想定を上回るペースで伸長しました。特に、業務効率化やビジネスモデル変革を目的としたIT投資が追い風となっています。

営業利益についても、人件費の上昇やM&A関連費用の発生といったコスト増を増収効果で跳ね返し、前年同期比 20.6%増303億4,800万円 を確保しました。同社が重視する調整後営業利益は 27.0%増 と、本業の稼ぐ力が一段と高まっています。1株当たりの四半期利益も 227.92円 (前年同期は176.11円)へ大きく改善しました。

項目2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上収益2,792億円3,068億円+9.9%
営業利益251億円303億円+20.6%
税引前利益255億円314億円+22.9%
四半期利益174億円222億円+27.4%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

全ての報告セグメントで増収増益を達成しており、ポートフォリオの強さが際立つ結果となりました。最主力の「システムサービス」は、売上高 1,004億8,100万円 (前年同期比+7.5%)、セグメント利益 355億2,100万円 (同+11.3%)と、デジタルトランスフォーメーション関連の請負開発が牽引しました。

「アウトソーシング」セグメントも堅調で、情報システムの運用受託などが安定的に推移し、利益は 15.8%増155億6,000万円 となりました。また、「ソフトウェア」および「ハードウェア」セグメントでは、企業の設備投資意欲の高まりを受けて製品販売が急増し、それぞれ利益面で前年同期を大きく上回っています。

セグメント名売上収益利益(調整後営業利益)利益率
システムサービス1,004億円355億円35.4%
サポートサービス441億円139億円31.5%
アウトソーシング677億円155億円22.9%
ソフトウェア336億円51億円15.2%
ハードウェア518億円95億円18.5%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
システムサービス1,005億円33%355億円35.4%
サポートサービス442億円14%139億円31.5%
アウトソーシング677億円22%156億円22.9%
ソフトウェア336億円11%51億円15.2%
ハードウェア519億円17%96億円18.5%

戦略トピック:リテールメディア大手を買収

BIPROGYは2026年1月、国内スーパーやドラッグストア向けにマーケティング支援を行う カタリナマーケティングジャパン(CMJ)の全株式取得 を発表しました。CMJは実購買データを活用したリテールメディアネットワーク「AOUMI」を展開しており、業界横断的なプラットフォームに強みを持っています。

今回の買収により、BIPROGYが持つシステム開発力・店舗DXソリューションと、CMJの購買データ分析力を融合させます。これにより、生活者のニーズに合わせた販促の最適化や、発注の自動化など、流通業界全体の課題解決を目指す 「データ・エコシステム」の構築 を加速させます。これは、従来のシステムインテグレーターの枠を超え、データ利活用で稼ぐ新たな収益モデルへの転換を象徴する動きです。

財務状況と資本政策

当第3四半期末の資産合計は 3,195億3,100万円 となり、前連結会計年度末に比べて113億4,400万円減少しました。これは営業債権の回収が進んだことによるものですが、一方で 親会社所有者帰属持分比率は53.3% (前年度末比2.2ポイント上昇)と、財務の健全性はさらに向上しています。

株主還元については、2026年3月期の年間配当を前期の110円から 120円 (中間60円、期末予想60円)へと増額する方針を維持しています。また、CMJ社の買収資金として三井住友銀行から 300億円の借り入れ を実施し、レバレッジを活用しながら機動的な成長投資を行う姿勢を見せています。

通期見通し

通期の業績予想について、売上収益や最終利益の予想は据え置いたものの、調整後営業利益を前回予想から9億円上方修正 しました。足元の好調な受注状況と収益性の改善を反映したものです。通期でも過去最高水準の業績を見込んでおり、中期経営計画の目標達成に向けた順調な進捗を示しています。

項目前回予想今回修正予想前期実績(2025/3)
売上収益4,270億円4,270億円4,039億円
営業利益426億円426億円390億円
調整後営業利益420億円429億円384億円
親会社帰属純利益290億円290億円269億円

リスクと課題

会社側は今後の留意事項として、以下のリスク要因を挙げています。

  • 外部環境の不透明感: 米国の通商政策の影響による景気下振れリスクや、物価上昇が個人消費に与える影響。
  • 人材確保と投資コスト: DX需要に応えるための高度IT人材の確保に伴う人件費の上昇。また、M&A後のPMI(統合プロセス)が計画通り進むかどうかの不確実性。
  • 市場変動リスク: 金融資本市場の変動が顧客企業のIT投資スタンスに与える影響。
AIアナリストの視点

BIPROGYの今回の決算は、ITサービスという安定基盤の上で、果敢に「非IT」領域のデータビジネスへ踏み出した意欲的な内容です。特筆すべきは、調整後営業利益率が前年同期の8.7%から10.0%へと改善している点であり、単なる規模の拡大だけでなく、収益構造の高度化が進んでいることが見て取れます。

カタリナ社という「データの宝庫」を傘下に収めたことは、将来的に同社が受託開発会社からプラットフォーマーへと脱皮するための重要な布石となるでしょう。就活生にとっても、従来のSIerのイメージを覆す「データ利活用企業」としての側面は魅力的に映るはずです。

懸念点としては、300億円の新規借入による金利負担の発生と、M&A後のシナジー発現のスピード感です。第4四半期以降、買収したCMJ社の業績が連結にどう寄与し、調整後営業利益の上方修正分をどれだけ上振れさせられるかが次の焦点となります。