業界ダイジェスト
株式会社システナ の会社詳細
株式会社システナ
システナ
2026年3月期 通期

システナ・2026年3月期通期、営業利益27%増の153億円で過去最高——次世代モビリティ好調、次期は18円へ大幅増配

システナ
2317
増収増益
過去最高益
大幅増配
株主還元
次世代モビリティ
DX投資
ストックオプション
ITサービス
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

944億円

+12.9%

通期予想

980億円

進捗率96%

営業利益

154億円

+27.3%

通期予想

160億円

進捗率96%

純利益

113億円

+33.4%

通期予想

106億円

進捗率106%

営業利益率

16.3%

ITコンサルティング・開発を手掛ける株式会社システナが13日に発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前年比12.9%増944億円、営業利益が同27.3%増153億円となり、過去最高業績を更新した。自動車業界のSDV(ソフトウェア定義車両)化加速や企業のDX投資拡大が追い風となった。また、次期2027年3月期の年間配当を前期比4円増の18円とする方針を示し、株主還元を大幅に強化する姿勢を打ち出している。

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、主力とするソフトウェア開発ビジネスが総じて堅調に推移し、全利益項目で大幅な増益を達成した。売上高は94,400百万円(前年比+12.9%)、営業利益は15,367百万円(前年比+27.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,312百万円(前年比+33.4%)と、高い成長率を記録している。

好調の背景には、プロジェクトごとの稼働率や収益性をリアルタイムに可視化する「データ経営」の徹底がある。これにより最適なリソース配分が可能となり、売上高営業利益率は前期の14.4%から16.3%へと1.9ポイント改善した。また、技術者教育の内製化により若手層の戦力化が進み、外注費を抑制しながら高付加価値な案件を受注できる体制が整ったことも利益を押し上げた。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績前年比営業利益率
売上高83,621百万円94,400百万円+12.9%-
営業利益12,067百万円15,367百万円+27.3%16.3%
経常利益11,855百万円16,145百万円+36.2%-
純利益8,480百万円11,312百万円+33.4%-

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

2026年3月期より、専門性を高め成長を加速させるためセグメントの組替を実施した。最も高い成長を示したのは次世代モビリティ事業で、売上高は7,569百万円(前年比+36.6%)、営業利益は3,219百万円(前年比+63.9%)となった。自動車メーカーとの直接取引が順調に拡大したほか、最上流の企画・定義段階から参画する体制が評価され、利益率が劇的に向上している。

ビジネスソリューション事業は、2025年10月のWindows 10サポート終了に伴うPCリプレース特需を背景に、売上高35,584百万円(前年比+19.4%)、営業利益2,957百万円(前年比+30.0%)と大きく伸長した。一方で、自社サービスの「Canbus.」を展開するDX&ストック型ビジネス事業は、将来の契約拡大を見据えた開発機能の強化やサポート体制への先行投資が重なり、営業利益は251百万円(前年比45.3%減)と減益を余儀なくされた。

セグメント名売上高前年比営業利益前年比
次世代モビリティ7,569+36.6%3,219+63.9%
プロジェクトマネジメント15,295▲2.4%3,342+29.4%
デジタルインテグレーション10,406+18.1%2,476+26.7%
IT&DXサービス22,356+7.7%3,146+10.5%
ビジネスソリューション35,584+19.4%2,957+30.0%
DX&ストック型2,892+3.9%251▲45.3%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
次世代モビリティ事業76億円8%32億円42.5%
ビジネスソリューション事業356億円38%30億円8.3%
IT&DXサービス事業224億円24%31億円14.1%

財務状況と資本政策

当期末の総資産は前期末比93億円増の610億円となった。現預金が83億円増加し298億円に達するなど、キャッシュ創出力が極めて高い。自己資本比率は前期末の62.7%から64.9%へ上昇し、財務基盤はさらに強固になっている。

特筆すべきは株主還元の強化だ。2026年3月期の配当は期末を2円増額し年間14円とした。さらに、次期2027年3月期については、連結配当性向の目標を従来の40%以上から60%以上へと引き上げ、年間18円(中間9円・期末9円)を予想している。また、役員の意欲向上と株主との利益共有を目的として、業績目標の達成を条件とした有償ストック・オプションの発行を決定。発行済株式数の5.00%に相当する規模であり、中長期的な企業価値向上への強い意志を示している。

通期見通しと戦略トピック

2027年3月期の連結業績予想は、売上高98,000百万円(前期比+3.8%)、営業利益15,960百万円(前期比+3.9%)を見込む。営業利益ベースでは増益を維持する一方、純利益は10,630百万円(前期比6.0%減)となる見通しだ。これは今回発行を決めた新株予約権に関連する株式報酬費用(約8.4億円)の計上を織り込んだものであり、事業自体の収益性は引き続き底堅い。

戦略面では、2026年1月に「AIデータセンター推進室」を新設し、次世代の成長に向けたインフラ整備に着手した。また、車載ソフトウェア分野でのSDV化は一過性のトレンドではなく、今後も国内主要完成車メーカーからの受注継続が見込まれる。人件費上昇や技術者不足という業界共通のリスクに対し、人材の内製化教育と生成AIの活用による生産性向上で対抗する構えだ。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想前期比
売上高94,400百万円98,000百万円+3.8%
営業利益15,367百万円15,960百万円+3.9%
純利益11,312百万円10,630百万円▲6.0%

リスクと課題

経営陣は今後のリスク要因として、以下の点を挙げている。

  • IT人材の確保と育成: 業界全体での技術者不足が深刻化する中、採用競合の激化や人件費の高騰がコスト増につながるリスクがある。
  • 情報セキュリティリスク: 高い秘匿性が求められる開発業務が多く、機密情報の漏洩は直接的な損害賠償だけでなく、社会的信用の失墜と受注減少を招く可能性がある。
  • 法的規制の変更: 2026年1月施行の「中小受託取引適正化法(取適法)」など、下請取引に関する法規制への対応が求められる。
AIアナリストの視点

システナの今決算は、ITサービス業界の中でも特筆すべき収益性の高さ(営業利益率16.3%)が光る内容でした。特に「次世代モビリティ事業」の営業利益率が42.5%という極めて高い水準に達しており、単なる開発受託から最上流の企画・コンサルティングへとビジネスモデルの転換に成功していることが伺えます。

注目すべきは配当政策の変更です。配当性向を40%から一気に60%に引き上げる判断は、稼いだキャッシュを株主へ還元しつつ、資本効率(ROE)を意識した経営へとシフトしているサインです。2027年3月期の純利益減益予想は、ストックオプション発行に伴う会計上の費用計上が主因であり、キャッシュアウトを伴わない一過性の要素が強いため、実質的な稼ぐ力は損なわれていないと判断できます。

就職活動中の学生にとっても、若手を戦力化する内製教育体制が整っており、かつ営業利益率が高い(=付加価値が高い仕事をしている)点は、キャリア形成において大きな魅力となるでしょう。