業界ダイジェスト
株式会社カプコン の会社詳細
株式会社カプコン
カプコン
2026年3月期 通期

カプコン・2026年3月期通期、営業利益14.5%増の752億円——13期連続の最高益、主力「バイオ」好調で成長持続

カプコン
増収増益
最高益更新
バイオハザード
モンスターハンター
配当増額
自己資本比率向上
人的資本投資
ゲーム業界
13期連続増益
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1,954億円

+15.2%

通期予想

2,100億円

進捗率93%

営業利益

753億円

+14.5%

通期予想

830億円

進捗率91%

純利益

546億円

+12.7%

通期予想

580億円

進捗率94%

営業利益率

38.5%

カプコンが5月13日に発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比 15.2%増1,953億65百万円 、営業利益が同 14.5%増752億95百万円 となり、13期連続の営業増益を達成しました。主力タイトルである『バイオハザード レクイエム』のヒットに加え、収益性の高いリピート(旧作)販売がグローバルで伸長したことが寄与しました。同社は積極的な人的資本投資を継続しながらも、業界最高水準の利益率を維持しており、盤石な経営基盤を示しています。

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、主力事業であるデジタルコンテンツ事業が牽引し、売上高・各利益項目ともに過去最高を更新しました。売上高は 1,953億65百万円 (前期比 +15.2% )、営業利益は 752億95百万円 (同 +14.5% )、親会社株主に帰属する当期純利益は 545億87百万円 (同 +12.7% )となりました。特筆すべきは、売上高営業利益率が 38.5% という極めて高い水準を維持している点です。これは、デジタル販売の比率向上や、過去に発売した人気タイトルのリピート販売が安定した収益源となっていることを意味します。

同社は、世界244の国・地域で累計 5,907万本 (前期は5,187万本)のゲームソフトを販売しました。背景には、世界的なゲーム市場の拡大と、マルチプラットフォーム戦略の徹底があります。最新のハードウェアだけでなく、旧来の機種やPC向けにも幅広く展開することで、ユーザー層の裾野を広げることに成功しました。また、人的投資として基本年収の大幅な引き上げ(2022年3月期比で 38.2%増 )を実施しながら、増益を達成した点は、成長と分配の好循環を象徴しています。

項目2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)前年同期比
売上高169,604百万円195,365百万円+15.2%
営業利益65,777百万円75,295百万円+14.5%
経常利益65,635百万円74,134百万円+12.9%
当期純利益48,453百万円54,587百万円+12.7%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力であるデジタルコンテンツ事業は、売上高 1,442億77百万円 (前期比 +15.3% )、営業利益 706億18百万円 (同 +8.4% )と大幅な増収増益を記録しました。2月に投入したシリーズ最新作『バイオハザード レクイエム』が世界累計 600万本 を突破するヒットとなったほか、リピート販売では『モンスターハンターワイルズ』が 1,100万本 を超えるなど、ブランドの根強い人気が利益を押し上げました。新作が話題を呼ぶ一方で、安定感のあるリピートタイトルの販売本数が全体の約8割を占める構造は、同社の収益安定性を支える大きな武器となっています。

アミューズメント施設事業は、売上高 256億56百万円 (前期比 +12.8% )、営業利益 32億1百万円 (同 +31.6% )となりました。既存店での堅実な店舗運営に加え、台湾への海外初出店などの積極的な店舗展開が奏功しました。消費行動の変化に対応した新業態店舗やイベントの実施により、リアル店舗ならではの体験価値を提供し、他事業とのシナジー効果を追求しています。

アミューズメント機器事業(パチスロ)も、売上高 177億80百万円 (前期比 +13.9% )、営業利益 100億33百万円 (同 +49.7% )と、利益面で大きく貢献しました。スマートパチスロ(スマスロ)の普及という追い風を受け、『新鬼武者3』などの新機種が市場で高く評価されました。人気IP(知的財産)をパチスロ機にも展開することで、開発コストを抑えつつ高い収益性を確保しています。

セグメント名売上高前期比営業利益前期比
デジタルコンテンツ1,442億円+15.3%706億円+8.4%
アミューズメント施設256億円+12.8%32億円+31.6%
アミューズメント機器177億円+13.9%100億円+49.7%
その他事業76億円+25.2%36億円+46.7%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
デジタルコンテンツ事業1,443億円74%706億円48.9%
アミューズメント施設事業257億円13%32億円12.5%
アミューズメント機器事業178億円9%100億円56.4%

財務状況と資本政策

財務の健全性はさらに向上しており、自己資本比率は前期末の72.3%から 78.8% へと上昇しました。総資産は前期末比 263億円 増の 3,393億円 となり、投資有価証券や土地の増加が主な要因です。流動負債は減少傾向にあり、借入金の返済が進むなど、無借金経営に近い非常に安定した財務構造を構築しています。

株主還元については、累進的な配当政策を継続しています。2026年3月期の年間配当は前期から5円増配の 45円 とし、次期(2027年3月期)も 46円 とさらに増配する計画を公表しました。配当性向は 34.5% となっており、利益成長に合わせた還元を徹底しています。また、当期は 179億円 の配当支払いを行う一方で、将来の成長に向けた開発環境の整備や人的資本への投資にも十分な資金を充当しています。

通期見通し

2027年3月期の連結業績予想については、売上高 2,100億円 (前期比 +7.5% )、営業利益 830億円 (同 +10.2% )を見込み、14期連続の営業増益を目指します。完全新規IPである『プラグマタ』や、人気シリーズの最新作『鬼武者 Way of the Sword』の投入を予定しており、さらなるユーザー層の拡大を狙います。

項目前期実績(2026/3)今期予想(2027/3)前期比
売上高195,365百万円210,000百万円+7.5%
営業利益75,295百万円83,000百万円+10.2%
純利益54,587百万円58,000百万円+6.3%

リスクと課題

今後の懸念材料として、同社は生成AIの普及やデバイスの多様化といった技術革新への急速な変化を挙げています。これらはビジネスチャンスである一方、対応が遅れれば競争力の低下を招くリスクとなります。また、グローバル展開を加速させる中で、地政学的なリスクや各国・地域の法規制への対応、サイバーセキュリティの強化も重要な課題となっています。開発費の高騰が続くゲーム業界において、いかに効率的に高品質なコンテンツを継続投入できるかが、中長期的な焦点となります。

AIアナリストの視点

カプコンの決算で最も驚異的なのは、38.5%という営業利益率の高さです。一般的にゲーム業界はヒット作に左右される「水物」の側面が強いですが、同社はリピート販売(旧作)を利益の柱に据えることで、安定した高収益体質を確立しています。

就職活動中の学生にとっても、単なるゲーム会社としてではなく、基本年収を38%以上引き上げるなど「人への投資」を営業増益と両立させている点は、非常に魅力的な経営判断と言えます。eスポーツやハリウッド実写映画化など、IP(知的財産)を多角的に活用する「ワンコンテンツ・マルチユース」戦略が着実に実を結んでおり、コンテンツホルダーとしての強みが一段と際立つ内容でした。