株式会社野村総合研究所 の会社詳細
株式会社野村総合研究所
野村総合研究所
2026年3月期 第3四半期

野村総合研究所・2026年3月期Q3、営業利益16%増の1,187億円——金融DXやIT基盤が牽引、収益性大幅改善

野村総合研究所
増収増益
金融IT
DX
AI
クラウド
コンサルティング
配当増額
ITサービス
4307
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

6,023億円

+6.0%

通期予想

8,100億円

進捗率74%

営業利益

1,188億円

+16.0%

通期予想

1,500億円

進捗率79%

純利益

832億円

+15.9%

通期予想

1,040億円

進捗率80%

営業利益率

19.7%

野村総合研究所(NRI)が発表した2026年3月期第3四半期決算は、売上収益が前年同期比 6.0%増6,023億円、営業利益が同 16.0%増1,187億円 となり、大幅な増益を達成した。旺盛なDX(デジタルトランスフォーメーション)需要を背景に、特に金融機関向けのシステム開発やクラウド基盤サービスが好調に推移。IT基盤サービスにおける一時費用の消失も寄与し、営業利益率は 19.7% へと大きく向上している。

野村総合研究所・2026年3月期Q3、営業利益16%増の1,187億円——金融DXやIT基盤が牽引、収益性大幅改善

業績のポイント

国内の企業変革に向けた情報システム投資が活況を呈する中、同社はコンサルティングからITの実装まで一貫して支援する総合力を発揮した。売上収益は 602,333百万円(前年同期比 +6.0%)、営業利益は 118,780百万円(同 +16.0%)と、主要な収益指標で高い成長を実現している。特に、AI等の新技術を活用したビジネスモデルの変革ニーズを的確に捉えたことが、収益の柱となった。

特筆すべきは利益率の劇的な改善だ。売上原価の伸びを 4.3%増 に抑えつつ、売上総利益を 9.0%増 と効率的に伸ばした。また、前年同期に発生したデータセンター設備処分に伴う一時費用の剥落も利益を押し上げる要因となり、税引前利益も 1,195億円(同 +17.7%)と力強い結果を残した。親会社の所有者に帰属する四半期利益は 832億円(同 +15.9%)となり、1株当たり利益(EPS)も 145.21円(前年同期は125.15円)へ着実に上昇している。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

セグメント別では、「金融ITソリューション」と「IT基盤サービス」が全体の成長を強力に牽引した。金融ITは、証券・保険・銀行業向けにシステム開発や運用サービスが拡大し、セグメント営業利益は 547億円(前年同期比 +17.4%)と大幅に伸長した。デジタルの活用による顧客の新規事業創出や、マイナンバー関連の案件も収益に貢献している。

IT基盤サービスは、売上収益が 1,629億円(同 +10.9%)、営業利益が 296億円(同 +31.3%)と全セグメントで最大の成長率を記録した。クラウド事業の好調に加え、前述の一時費用の解消が利益面で大きくプラスに働いた。一方で「産業ITソリューション」は、国内の製造・サービス業向けは堅調だったものの、海外事業の減収が響き、営業利益は 199億円(同 1.1%減)と微減にとどまった。

セグメント名売上収益前年同期比営業利益前年同期比
コンサルティング50,140百万円+6.5%13,858百万円+7.8%
金融ITソリューション299,369百万円+8.0%54,748百万円+17.4%
産業ITソリューション209,863百万円+0.6%19,922百万円▲1.1%
IT基盤サービス162,907百万円+10.9%29,648百万円+31.3%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
コンサルティング501億円8%139億円27.6%
金融ITソリューション2,994億円50%547億円18.3%
産業ITソリューション2,099億円35%199億円9.5%
IT基盤サービス1,629億円27%296億円18.2%

財務状況と資本政策

財務面では、自己資本の充実と安定的な還元姿勢が示された。2025年12月末時点の総資産は 9,485億円 となり、親会社の所有者に帰属する持分比率は前期末の46.7%から 52.9% へと大きく上昇した。これは四半期利益の積み上げに加え、自己株式の取得・処分に伴う調整が影響している。

キャッシュ・フローについては、営業活動により 1,085億円(前年同期比 +13.9%)の現金を創出した。投資活動では、共同利用型システムの開発や定期預金の預入により 833億円 の支出となった。配当については、年間で1株当たり 74円(中間35円、期末予想39円)を計画しており、前期の実績である63円から大幅な増配を継続する方針を維持している。

リスクと課題

経営陣は、先行き不透明な要因として以下のリスクを挙げている。特にグローバル展開において北米・アジア・豪州の3極体制を整備する中、海外景気の不透明感が課題となっている。

  • 米国の政策動向や金融資本市場の変動がもたらす投資抑制リスク。
  • 為替変動が国内景気や海外拠点の業績に及ぼす影響。
  • 物価上昇の継続による人件費やシステム維持コストの増加。
  • 産業ITセグメントで見られた海外事業の収益性低下。

通期見通し

2026年3月期の通期予想については、期初に公表した数値を据え置いた。売上収益 8,100億円(前期比 +5.9%)、営業利益 1,500億円(同 +11.2%)を見込む。第3四半期時点での営業利益の進捗率は約 79% に達しており、通期目標の達成に向けて極めて順調なペースで推移している。

項目今回予想前期実績増減率
売上収益810,000百万円765,115百万円+5.9%
営業利益150,000百万円134,845百万円+11.2%
親会社帰属当期利益104,000百万円93,799百万円+10.9%
1株当たり利益(基本的)181.51円163.63円+10.9%
AIアナリストの視点

野村総合研究所(NRI)の強さは、コンサルティングによって顧客の経営課題に深く食い込み、それをIT実装(金融ITやIT基盤)に繋げる「クロスセル」の仕組みが極めて強力に機能している点にあります。

今回の決算で特筆すべきは、売上高成長率(6.0%)を大きく上回る営業利益成長率(16.0%)です。これは単なる規模の拡大だけでなく、一時費用の剥落や、金融機関向けの共同利用型システムによるスケールメリットが効いている証拠と言えます。

懸念点としては「産業IT」における海外事業の伸び悩みですが、国内の「金融DX」や「クラウド移行」といった高利益率な案件がそれを補って余りある状況です。進捗率の高さから見て、通期予想の達成は非常に現実的であり、今後はAI活用を通じたさらなる生産性向上が焦点となるでしょう。