大手SIer・ITサービス4社・2026年3月期決算——日立が独走、NEC・富士通は高収益化、NRIは海外減損で明暗
2026年3月期は、各社が長年進めた脱ハードウェアの成否が鮮明になりました。日立製作所が営業利益1兆円超えで独走する一方、NECと富士通は利益率10%の大台へ到達。一方で野村総合研究所は海外事業の減損が響き、最終利益が激減。国内の旺盛なDX需要を背景に、稼ぐ力の格差が広がる結果となりました。
今期の総括
脱ハードで利益率10%が標準に。海外戦略が明暗を分かつ。
業界全体の動き
- DX需要の質的変化: 単なるシステム導入から、経営課題を解決するコンサル型へシフトしました。
- ハード離れの完遂: サーバー等の製造から、高利益なサービス業への転換が各社で進みました。
- 社会インフラのデジタル化: 電力網や公共サービスなど、大規模な更新投資が追い風となりました。
- 株主還元の強化: 業績好調を背景に、増配や大規模な自社株買いを発表する企業が相次ぎました。
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
今期の「勝者」は、圧倒的な規模と稼ぐ力を見せた日立製作所です。売上高は10兆5,868億円と他を圧倒。営業利益率も11.3%と、グローバル水準の10%超えを達成しました。独自のIT基盤「Lumada」が利益を牽引しています。
対照的に「苦戦」が目立ったのは野村総合研究所です。売上高は8,147億円(前年比+6.5%)と過去最高を更新。しかし、海外M&A案件の不調で975億円の減損を出しました。その結果、純利益は153億円(同-83.7%)と沈み、海外戦略の課題が浮き彫りとなりました。
- 好調
- 日立製作所
- 苦戦
- 野村総合研究所

売上高ランキング
営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
- 日立製作所: 家電などの「聖域」を売却し、ITと制御技術を融合した事業へ資源を集中しました。
- 日本電気(NEC): 不採算案件を徹底排除。ITサービス部門の利益率は13%を超え、収益性が劇的に向上しました。
- 富士通: デバイス事業を切り離し、身軽な体質へ。1,500億円の自社株買いで資本効率を追求しています。
- 野村総合研究所: 国内事業は極めて堅調です。不振の海外拠点の「膿」を出し切り、次期以降の回復を狙います。
業界共通のリスク
- IT人材の不足: 専門スキルのある人材争奪戦が激化し、採用・教育コストが上昇しています。
- グローバル経済の不透明感: 欧米の景気後退により、海外拠点の収益が計画を下回る恐れがあります。
- AI技術への対応遅れ: 生成AIなどの新技術を自社サービスに組み込めない場合、競争力を失います。
就活生・転職希望者へ
現在のIT業界は「作る」だけでなく「経営を支える」役割へ変わりました。日立のようなグローバル企業か、NEC・富士通のような構造改革の完遂者か、NRIのような国内屈指の専門集団か。各社のポートフォリオの変化を追うことで、自分に合った挑戦の場が見えてくるはずです。
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