業界ダイジェスト
業界ダイジェストレポート一覧
情報・通信
大手SIer・ITサービス
2026年3月期 通期
4

大手SIer・ITサービス4社・2026年3月期決算——日立が独走、NEC・富士通は高収益化、NRIは海外減損で明暗

大手SIer
ITサービス
日立製作所
日本電気
富士通
野村総合研究所
DX
2026年3月期決算
Lumada
構造改革
海外減損
投資判断

今期の総括

脱ハードで利益率10%が標準に。海外戦略が明暗を分かつ。

2026年3月期は、各社が長年進めた脱ハードウェアの成否が鮮明になりました。日立製作所が営業利益1兆円超えで独走する一方、NEC富士通は利益率10%の大台へ到達。一方で野村総合研究所は海外事業の減損が響き、最終利益が激減。国内の旺盛なDX需要を背景に、稼ぐ力の格差が広がる結果となりました。

業界全体の動き

  • DX需要の質的変化: 単なるシステム導入から、経営課題を解決するコンサル型へシフトしました。
  • ハード離れの完遂: サーバー等の製造から、高利益なサービス業への転換が各社で進みました。
  • 社会インフラのデジタル化: 電力網や公共サービスなど、大規模な更新投資が追い風となりました。
  • 株主還元の強化: 業績好調を背景に、増配や大規模な自社株買いを発表する企業が相次ぎました。

売上高 前年同期比

業界平均

日立が8.2%増と規模に関わらず成長。富士通は不採算事業の切り離し(非継続化)により微減となりました。

純利益 前年同期比

業界平均

富士通は事業再編益で104%増。NRIは負の遺産を一掃する減損計上により、前年から大幅なマイナスです。

勝者と敗者

今期の「勝者」は、圧倒的な規模と稼ぐ力を見せた日立製作所です。売上高は10兆5,868億円と他を圧倒。営業利益率も11.3%と、グローバル水準の10%超えを達成しました。独自のIT基盤「Lumada」が利益を牽引しています。

対照的に「苦戦」が目立ったのは野村総合研究所です。売上高は8,147億円(前年比+6.5%)と過去最高を更新。しかし、海外M&A案件の不調で975億円の減損を出しました。その結果、純利益は153億円(同-83.7%)と沈み、海外戦略の課題が浮き彫りとなりました。

日立

勝者

日立製作所

苦戦

野村総合研究所

売上高ランキング

業界平均

日立製作所が10兆円の大台を突破し、2位のNECに3倍近い差をつける圧倒的な首位を独走しています。

営業利益ランキング

業界平均

日立が1兆円超え。NECと富士通が3,500億円前後で競り合い、サービス化による収益強化が鮮明です。

営業利益率ランキング

業界平均

全社が10%前後を目指す中、日立が11.3%で首位。NRIは海外減損により一時的に7.2%まで低下しました。

注目の動き・戦略比較

  • 日立製作所: 家電などの「聖域」を売却し、ITと制御技術を融合した事業へ資源を集中しました。
  • 日本電気(NEC): 不採算案件を徹底排除。ITサービス部門の利益率は13%を超え、収益性が劇的に向上しました。
  • 富士通: デバイス事業を切り離し、身軽な体質へ。1,500億円の自社株買いで資本効率を追求しています。
  • 野村総合研究所: 国内事業は極めて堅調です。不振の海外拠点の「膿」を出し切り、次期以降の回復を狙います。

業界共通のリスク

  • IT人材の不足: 専門スキルのある人材争奪戦が激化し、採用・教育コストが上昇しています。
  • グローバル経済の不透明感: 欧米の景気後退により、海外拠点の収益が計画を下回る恐れがあります。
  • AI技術への対応遅れ: 生成AIなどの新技術を自社サービスに組み込めない場合、競争力を失います。

就活生・転職希望者へ

現在のIT業界は「作る」だけでなく「経営を支える」役割へ変わりました。日立のようなグローバル企業か、NEC・富士通のような構造改革の完遂者か、NRIのような国内屈指の専門集団か。各社のポートフォリオの変化を追うことで、自分に合った挑戦の場が見えてくるはずです。