かんぽ生命、2027年3月期第1四半期決算、経常利益は増益も純利益は減少
かんぽ生命の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、経常収益は前年同期比4.9%減の1兆3,643億円、経常利益は2.8%増の692億円でした。保険金などの支払いが減り、資産運用収益も伸びた一方、保有契約の減少などから純利益は1.5%減の341億円となりました。収益減でも経常増益を確保しましたが、通期予想は減収減益を見込んでいます。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.4兆円 | -4.9% | 5.1兆円 | 27% |
| 営業利益 | 693億円 | +2.8% | 2,500億円 | 28% |
| 純利益 | 341億円 | -1.5% | 1,410億円 | 24% |
| 営業利益率 | 5.1% | |||
この決算のポイント
- 1資産運用収益は前年同期比44.1%増の4,192億円となり、経常収益の減少を一部補いました。
- 2保険金等支払金は前年同期比16.6%減の9,762億円。経常利益の増加を支えました。
- 3有価証券売却損は前年同期の566億円から1,672億円に拡大し、資産運用費用を押し上げました。
- 4年間配当予想は株式分割後で50円。分割調整後の前期実績41.33円に対し、約21%の増配相当です。
- 5自己株式3,065万株を消却。これは株式数を減らす措置で、当四半期の自社株買いの発表ではありません。
業績のポイント
かんぽ生命(かんぽ生命保険)の第1四半期は、経常収益が前年同期比4.9%減の1兆3,643億円、経常利益が2.8%増の692億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が1.5%減の341億円でした。
経常収益の減少を、経常費用の縮小が上回り、経常利益は増加しました。増減の金額は下の図に示した通りです。
資産運用収益は金銭の信託運用益や為替差益などを背景に伸びました。一方、その他経常収益は責任準備金戻入額の減少などから縮小し、有価証券売却損の増加で資産運用費用も膨らみました。純利益には保有契約の減少などが影響しており、経常増益と最終減益が分かれた決算です。
- 前年同期674億円
- 経常収益減-697億円
- 経常費用減+716億円
- 当期693億円
セグメント別動向
かんぽ生命は国内の生命保険事業のみの単一セグメントで、決算短信ではセグメント別の売上高や利益の内訳を開示していません。事業全体では保険料等収入が前年同期比0.7%減の5,725億円となる一方、資産運用収益は44.1%増の4,192億円でした。
- 保険料等収入: 保有契約の動向などを反映し、前年同期を下回りました。
- 資産運用収益: 金銭の信託運用益や為替差益などが増加し、収益を下支えしました。
- 保険金等支払金: 前年同期比16.6%減の9,762億円となり、経常利益の増益に寄与しました。
- 資産運用費用: 有価証券売却損の増加などにより、前年同期比149.5%増となりました。
運用収益が大きく伸びても、売却損などの費用が同時に増えるため、運用環境の変化が利益に与える影響は一方向ではありません。保険料収入の伸び悩みと契約の減少をどう補うかが、今後の収益力をみるうえで重要です。
- 保険料等収入-0.7%
- 資産運用収益+44.1%
- その他経常収益-34.2%
- 保険金等支払金-16.6%
- 資産運用費用+149.5%
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前年度末比0.3%減の58兆2,868億円でした。純資産は有価証券の評価差額金の増加などを受けて12.3%増の4兆6,633億円となり、自己資本比率は前年度末の7.1%から8.0%に上昇しました。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末・予想 |
|---|---|---|
| 総資産 | 58兆4,422億円 | 58兆2,868億円 |
| 純資産 | 4兆1,536億円 | 4兆6,633億円 |
| 自己資本比率 | 7.1% | 8.0% |
| 年間配当 | 124円 | 50円(予想) |
配当は2026年4月の1株を3株とする株式分割を踏まえて比較する必要があります。前期の年間配当124円を分割後に換算すると約41.33円で、今期予想の50円は約21%の増配相当です。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の営業・投資・財務キャッシュ・フローは短信から確認できません。
会社は4月に自己株式3,065万株を消却しました。消却は発行済み株式数を減らす措置ですが、今回の短信に新たな自社株買いの発表はありません。
通期見通し
2027年3月期の会社予想は、経常収益が前期比8.8%減の5兆1,300億円、経常利益が8.1%減の2,500億円、純利益が16.5%減の1,410億円です。直近の業績予想から修正はありません。
| 指標 | 通期予想 | 前期比 | 第1四半期進捗率 |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | 5兆1,300億円 | -8.8% | 26.6% |
| 経常利益 | 2,500億円 | -8.1% | 27.7% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 1,410億円 | -16.5% | 24.2% |
進捗率は第1四半期実績を通期予想で割って算出しています。四半期時点では経常利益の進捗が約28%に達した一方、純利益は約24%にとどまりました。通期では各利益が前期を下回る計画であり、運用損益や保有契約の動向が予想達成の焦点となります。
リスクと課題
今回の決算では運用収益が伸びた一方、売却損など運用費用も大幅に増えました。会社は将来の業績が経営環境の前提条件の変化などにより予想と異なる可能性があるとしています。
- 保有契約の減少: 会社は純利益が前年同期を下回った要因として保有契約の減少などを挙げています。保険料収入や将来の収益基盤を押し下げるおそれがあります。
- 有価証券の価格変動: 有価証券売却損の増加が資産運用費用を押し上げました。市場価格の変動や売却判断によって、運用収益と費用の振れが大きくなる可能性があります。
- 金利・為替など運用環境の変化: 金銭の信託運用益や為替差益が収益を支えた一方、利益の構成は市場環境に左右されます。好調な運用益が続くとは限らず、通期計画に対する下振れ要因となり得ます。
- 通期減益計画の達成: 会社予想は経常利益、純利益とも前期比で減少する見通しです。第1四半期の利益進捗だけで年間の達成を判断せず、契約動向と運用損益を継続して確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
1,750.5円
最新終値(2026/10/23)
1,691円-3.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#かんぽ生命#決算#決算分析#四半期決算#生命保険#資産運用#配当#株式分割
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コメント
保険金等支払金の減少と運用収益の伸びで経常増益を確保したものの、売却損の膨らみや保有契約の減少が表面化しています。利益の押し上げ要因に市場環境の影響が含まれるため、増益の持続性は慎重に見たいところです。
投資家は、株式分割後の配当予想と、自己株式消却を自社株買いと混同しないことがポイントです。就職活動中の学生にとっては、国内の生命保険事業を基盤とする会社が、契約者基盤の維持と資産運用の収益安定化を同時に求められている点が注目材料です。
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株式会社かんぽ生命保険
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