関東電化、2027年3月期第1四半期決算、精密化学品がけん引し営業利益5倍
関東電化の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、精密化学品事業の販売増と価格修正が業績を押し上げ、売上高は前年同期比30.6%増、営業利益は同410.7%増となりました。親会社株主に帰属する純利益も同509.3%増え、大幅増益で通期予想を上方修正。一方、原燃料価格の上昇や半導体材料の販売数量減少など、利益成長の持続性を見極める材料も残ります。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 198億円 | +30.6% | 950億円 | 21% |
| 営業利益 | 40億円 | +410.7% | 113億円 | 35% |
| 純利益 | 32億円 | +509.3% | 76億円 | 43% |
| 営業利益率 | 20.1% | |||
この決算のポイント
- 1精密化学品事業の増収が寄与し、営業利益は前年同期比410.7%増の大幅増益
- 2精密化学品の売上高は前年同期比38.3%増、営業利益は同549.7%増
- 32027年3月期の通期業績予想を修正、年間配当予想は前期比16円増の36円
- 4総資産は前期末から94億11百万円増加、自己資本比率は55.1%から54.1%へ低下
業績のポイント
関東電化(関東電化工業)の第1四半期は、売上高が前年同期比30.6%増、営業利益が同410.7%増、親会社株主に帰属する四半期純利益が同509.3%増となりました。営業利益の増加額は前年同期から32億円で、増収効果が大きく寄与しました。
- 売上高の増加: 前年同期から46億31百万円増加。主に精密化学品事業の販売増と価格修正が押し上げました。
- 営業利益の増加: 前年同期から32億円増加。原燃料価格は大幅に上昇したものの、精密化学品の増収効果が上回りました。
- 経常利益の増加: 前年同期から38億30百万円増加。為替差益の計上も利益を支えました。
- 純利益の増加: 前年同期から27億4百万円増加。利益の伸びを受け、1株当たり四半期純利益は前年同期の9円24銭から56円41銭に上昇しました。
精密化学品の増収が利益を押し上げた一方、半導体用特殊ガスでは品目によって販売数量が減っています。原燃料高を吸収できる価格転嫁と、電池材料を含む販売数量の回復が、今後の利益成長を左右するポイントです。為替差益など営業外要因も経常利益を押し上げており、営業段階の収益力と分けて確認する必要があります。
セグメント別動向
売上高と営業利益の伸びを主導したのは精密化学品事業です。基礎化学品、鉄系事業も増収増益となった一方、設備事業は減収に転じて営業赤字となりました。
精密化学品事業部門は、売上高が前年同期比38.3%増、営業利益が同549.7%増となりました。六フッ化タングステンや六フッ化リン酸リチウムは価格修正と販売増が寄与し、硫化カルボニルも販売数量が増加しました。一方、三フッ化窒素は価格修正があったものの販売数量が減少し、品目ごとの差が見られます。
基礎化学品事業部門は、売上高が前年同期比6.0%増、営業利益が同81.9%増でした。か性ソーダや塩酸は販売数量が増え、塩酸では価格修正も寄与しました。トリクロールエチレンは販売数量が減少しました。
- 鉄系事業: 売上高は前年同期比3.3%増、営業利益は同54.2%増。キャリヤーと鉄酸化物の販売増が支えました。
- 商事事業: 売上高は前年同期比19.5%増でしたが、営業利益は同20.6%減。化学工業薬品の販売は増えたものの、利益は減少しました。
- 設備事業: 売上高は前年同期比21.7%減となり、前年同期の営業黒字から営業損失に転じました。プラント建設の請負工事減少が響きました。
精密化学品の利益寄与が大きく、他事業の伸び悩みを補う構図です。半導体材料の需要回復だけでなく、販売数量が減った製品の動向や、工事案件の受注状況も次の四半期の確認材料になります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 基礎化学品事業 | 21億円 | 11% | 71百万円 | 3.4% |
| 精密化学品事業 | 165億円 | 84% | 38億円 | 22.7% |
| 鉄系事業 | 6億円 | 3% | 1億円 | 18.9% |
| 商事事業 | 2億円 | 1% | 39百万円 | 18.7% |
| 設備事業 | 4億円 | 2% | -15百万円 | -3.6% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から94億11百万円増え、自己資本比率は前期末から1.0ポイント低下しました。2027年3月期の年間配当予想は36円で、前期実績から16円増やす計画です。
| 項目 | 2027年3月期1Q・6月末 | 前期末・前期実績 | 増減・比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 140,726 | 131,314 | +9,412 |
| 純資産(百万円) | 77,941 | 74,249 | +3,692 |
| 自己資本比率 | 54.1% | 55.1% | -1.0ポイント |
| 年間配当(円) | 36(予想) | 20(実績) | +16 |
| 中間・期末配当(円) | 18・18(予想) | 9・11(実績) | 各期で増配予想 |
資産の増加には棚卸資産、投資有価証券、売掛金などの増加が影響しました。負債も借入金などを中心に増えていますが、利益剰余金の積み上がりなどで純資産も増加しました。第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作成しておらず、営業キャッシュ・フローの状況は短信から確認できません。自社株買いの発表もなく、今回示された株主還元策は増配予想です。
通期見通し
関東電化は2027年3月期の業績予想を修正しました。今回の通期予想は売上高950億円、営業利益113億円、親会社株主に帰属する当期純利益76億円で、会社が示す前年比はそれぞれ45.3%増、106.2%増、100.8%増です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(短信記載) | 今回予想の前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 記載なし | 95,000 | 72,397 | +45.3% |
| 営業利益(百万円) | 記載なし | 11,300 | 記載なし | +106.2% |
| 経常利益(百万円) | 記載なし | 11,300 | 記載なし | +70.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 記載なし | 7,600 | 記載なし | +100.8% |
短信は5月15日公表の予想を修正したと記していますが、前回予想の数値や修正理由の詳細は本文に掲載していません。第1四半期の進捗は、今回予想に対して売上高20.8%、営業利益35.2%、純利益42.6%です。大幅な増益を実現したものの、会社予想の達成には、精密化学品の販売拡大と原燃料高への対応が続くことが重要です。
リスクと課題
業績は精密化学品の伸びに支えられていますが、外部環境の不透明さや原燃料高、製品ごとの販売数量のばらつきには注意が必要です。会社も、実際の業績はさまざまな要因で予想と異なる可能性があるとしています。
- 原燃料価格の上昇: 第1四半期に原燃料価格が大幅に上昇しました。販売価格への転嫁が遅れれば、増収が続いても利益率を圧迫する可能性があります。
- 半導体材料の数量変動: 三フッ化窒素は販売数量が減少しました。半導体用特殊ガスは製品ごとに販売動向が異なり、需要や顧客の生産計画の変化が業績に影響します。
- 世界経済と地政学リスク: 中東情勢や金融資本市場の変動など、海外の先行きには不透明感があります。需要や為替の変化が販売や原価に波及する可能性があります。
- 設備工事の案件変動: 請負工事の減少で設備事業は営業損失となりました。工事の受注・進捗が不安定な場合、同事業の収益が振れやすくなります。
当面は、精密化学品の販売数量と価格修正の効果が続くか、また設備事業の受注が持ち直すかが焦点です。増益の勢いだけでなく、原価上昇を吸収した後の利益水準も追う必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
2,846円
最新終値(2026/10/23)
1,980円-30.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#関東電化#決算#決算分析#四半期決算#精密化学品#半導体材料#業績予想修正#増配
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コメント
今四半期は精密化学品の増収が利益を大きく押し上げ、前年の低い利益水準から急回復した決算です。ただし、三フッ化窒素の販売数量減少や原燃料価格の上昇があり、増益率だけで持続的な回復と判断するのは早計です。
利益成長の持続性は数量回復が鍵です。通期予想の修正理由や前回予想との比較数値が短信本文では確認できないため、次の決算では会社が示す修正の背景と、半導体材料・電池材料それぞれの需要動向を確認したいところです。
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