コマツ・2026年3月期第3四半期、営業利益10.1%減の4,190億円——円高とアジア市場の販売減が響く

建設機械大手のコマツが30日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 1.4%減 の 2兆9,154億円、営業利益は 10.1%減 の 4,190億円 と減収減益となりました。主力である建設機械・車両部門において、販売価格の改善を進めたものの、前年同期比での円高進行やアジア市場における販売量の減少 が利益を押し下げる要因となりました。一方で、半導体関連の需要を背景とする産業機械部門は大幅な増益を達成しており、事業ポートフォリオによる下支えも見られます。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.9兆円 | -1.4% | 3.9兆円 | 75% |
| 営業利益 | 4,190億円 | -10.1% | 5,000億円 | 84% |
| 純利益 | 2,698億円 | -13.0% | 3,200億円 | 84% |
| 営業利益率 | 14.4% | |||
業績のポイント
当第3四半期の業績は、外部環境の変化が利益率を圧迫する結果となりました。売上高は 2兆9,154億円(前年同期比 △1.4%)、営業利益は 419,015百万円(同 △10.1%)を記録しています。営業利益率は 14.4% と、前年同期の 15.8% から 1.4ポイント低下 しました。
利益減少の主因は、建設機械・車両部門における販売量の減少とコストの増加です。また、為替相場が米ドルに対して1ドル= 148.5円 と、前年同期( 152.2円 )に比べ円高に振れたことも、円換算での収益を押し下げました。純利益についても、営業利益の減少に伴い 2,698億円(前年同期比 13.0%減)に留まりました。
| 指標 | 2025年3月期 Q3実績 | 2026年3月期 Q3実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆9,572億円 | 2兆9,154億円 | △1.4% |
| 営業利益 | 4,660億円 | 4,190億円 | △10.1% |
| 純利益 | 3,100億円 | 2,698億円 | △13.0% |
セグメント別動向
主力である建設機械・車両部門は、売上高が 2兆6,879億円(前年同期比 2.2%減)、セグメント利益が 3,626億円(同 14.7%減)と苦戦しました。地域別では、欧州や中南米、アフリカで需要が堅調だった一方、アジア(日本・中国除く)が 29.3%減 と大幅に落ち込みました。インドネシアでの石炭価格低迷やインフラ予算の削減 が、建設・鉱山機械の需要を冷え込ませたことが背景にあります。
一方、産業機械他部門は売上高 1,627億円(前年同期比 10.9%増)、セグメント利益 273億円(同 81.1%増)と飛躍的な成長を遂げました。自動車産業向けの大型プレスの販売増加に加え、半導体産業向けのエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上 が寄与しました。リテールファイナンス部門も、金利収入の増加や資金調達コストの低下により、利益を 19.1% 伸ばしています。
| セグメント | 売上高 | セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 建設機械・車両 | 2兆6,879億円 | 3,626億円 | 13.5% |
| リテールファイナンス | 930億円 | 259億円 | 27.9% |
| 産業機械他 | 1,627億円 | 273億円 | 16.8% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設機械・車両 | 2.7兆円 | 92% | 3,626億円 | 13.5% |
| リテールファイナンス | 931億円 | 3% | 260億円 | 27.9% |
| 産業機械他 | 1,627億円 | 6% | 273億円 | 16.8% |
財務状況と資本政策
当第3四半期末の総資産は、前期末比 5,344億円増 の 6兆3,079億円 となりました。これは期末為替レートが前期末に比べ円安に振れたことによる資産の目減り回避に加え、棚卸資産(在庫)が増加したことが影響しています。負債面では、短期債務の増加などにより有利子負債残高が 1兆4,481億円(前期末比 2,975億円増)に拡大しました。
株主資本については利益の積み上がりにより 3兆3,593億円 となりましたが、総資産の拡大スピードが上回ったため、株主資本比率は53.3%と前期末から1.7ポイント低下 しました。配当政策については、期末配当予想を 95円 と据え置いており、年間配当は前期と同額の 190円 を維持する方針です。安定的な還元を維持しつつ、成長投資とのバランスを図る経営姿勢が鮮明となっています。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想については、昨年10月に公表した数値を据え置いています。通期では売上高 3兆8,880億円(前期比 5.3%減)、営業利益 5,000億円(同 23.9%減)を見込んでおり、下期にかけても需要の減退や為替の影響による厳しい収益環境が続く との慎重な見方を変えていません。
| 項目 | 前回予想(修正なし) | 前期実績(2025年3月期) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3兆8,880億円 | 4兆1,059億円 | △5.3% |
| 営業利益 | 5,000億円 | 6,576億円 | △23.9% |
| 当期純利益 | 3,200億円 | 4,395億円 | △27.2% |
リスクと課題
コマツが今後直面するリスクと課題は以下の通りです。
- 主要市場の需要変動: 特にアジア市場でのインフラ投資抑制や石炭価格の動向が、建機・鉱山機械の販売に与える影響。
- 為替変動リスク: 北米や欧州市場での売上比率が高いため、ドルやユーロに対する急激な円高は利益を圧縮する要因となる。
- 中国市場の長期停滞: 不動産市況の低迷により、かつての巨大市場であった中国での大型機需要の回復が見通しにくい状況。
- コスト高の継続: 人件費や資材価格の高騰に加え、サプライチェーン維持のためのコスト増が利益率を押し下げる懸念がある。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/1/30)
5,929円
最新終値(2026/10/23)
6,708円+13.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#減収減益#建設機械#半導体関連#円高影響#アジア市場#配当維持#在庫増加#鉱山機械
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コメント
コマツの決算は、世界経済の「踊り場」を象徴する内容となりました。注目すべきは、主力建機部門の落ち込みを、産業機械部門(特に半導体向けエキシマレーザー)が補完している点です。これは単なる建機メーカーから、先端産業のインフラを支える多角化企業への変貌 を示唆しています。
投資家視点では、アジア市場のV字回復が見込みにくい中、北米での一般建機の粘りと、鉱山機械の無人ダンプトラック(AHS)などの高付加価値化がどこまで利益を下支えできるかが焦点となるでしょう。就活生にとっては、景気変動に左右されやすい建機一本足打法ではなく、リテールファイナンスや精密加工機といった多層的な収益構造 を持つ企業の安定性を評価する材料になります。
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