物語、2026年6月期通期決算は増収増益、売上高22%増で利益も大幅伸長

物語の2026年6月期決算は、売上高が前期比22.4%増、営業利益が31.4%増、純利益が42.0%増となり、増収増益でした。焼肉きんぐなど主力ブランドの既存店売上高が伸び、国内外で計122店舗を出店したことが成長を支えました。2027年6月期も増収増益を見込む一方、利益の伸びは小幅となる予想です。

決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 今期予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,517億円 | +22.4% | 1,731億円 |
| 営業利益 | 121億円 | +31.4% | 139億円 |
| 純利益 | 87億円 | +42.0% | 88億円 |
| 営業利益率 | 8.0% | ||
この決算のポイント
- 1国内既存店売上高は直営が前期比5.0%増、フランチャイズ店が3.3%増。
- 2焼肉きんぐの直営売上高は12.8%増、ゆず庵は23.8%増と伸長。
- 3海外売上高は202.1%増。ただし米国子会社の損益連結開始が押し上げ。
- 4年間配当は43円で前期比7円増、2027年6月期は46円を計画。
- 52027年6月期の純利益予想は前期比0.1%増と、利益成長はほぼ横ばい。
業績のポイント
物語(物語コーポレーション)は2026年6月期、売上高1,516億89百万円(前期比22.4%増)、営業利益121億45百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する純利益87億43百万円(同42.0%増)と増収増益でした。売上高の伸びを営業利益の伸びが上回り、営業利益率は前期の7.4%から8.0%に上昇しました。
- 既存店の伸長: 国内既存店売上高は直営店が前期比5.0%増、フランチャイズ店が3.3%増。商品やサービスの改善、価格改定、販促強化などが寄与しました。
- 店舗網の拡大: 国内で63店舗、海外で59店舗を出店し、期末の店舗数は919店舗。国内外での新規出店が売上拡大を支えました。
- 利益率の改善: 売上総利益は前期比23.5%増となり、営業利益の伸びが売上高の伸びを上回りました。一方、人件費や賃借料、減価償却費も増加しています。
- 純利益の伸び: 税引前利益は前期比32.2%増。法人税等調整額が前期の1億32百万円の費用から当期は7億1百万円の利益となったことも、純利益の伸びを押し上げました。
既存店と出店の両輪で増収増益となった決算です。主力ブランドの集客に加え、新規出店が売上を押し上げ、営業利益率も改善しました。ただし外食業界では原材料や人件費の上昇が続いており、価格改定や店舗DXを通じて利益を確保する取り組みが欠かせません。純利益の増加率には税金費用の変動も含まれるため、今後は営業利益の成長が続くかが焦点です。
セグメント別動向
物語は飲食店事業の単一セグメントで、決算短信ではカテゴリー別に売上高の一部や前年比を開示しています。2026年6月期からカテゴリーの区分を従来の7部門から6カテゴリーに再編しており、過年度との単純比較には注意が必要です。また、焼肉・ラーメン・ゆず庵などの金額は直営店売上高で、カテゴリー全体の売上高や営業利益ではありません。
- 焼肉カテゴリーは直営売上高が695億99百万円(前期比12.8%増)。焼肉きんぐを21店舗出店し、期末店舗数は369店舗となりました。
- ラーメンカテゴリーは直営売上高が250億88百万円(同15.2%増)。丸源ラーメンなどを出店し、期末店舗数は251店舗でした。
- ゆず庵カテゴリーは直営売上高が256億9百万円(同23.8%増)。10店舗を出店し、期末店舗数は116店舗に拡大しました。
- 専門店・新業態カテゴリーは直営売上高が93億51百万円(同20.2%増)。焼きたてのかるび、果実屋珈琲に加え、うどん業態の新店も出しました。
- フランチャイズカテゴリーの売上高は78億9百万円(同6.3%増)。加盟店の出店は13店舗でした。
- 海外カテゴリーの売上高は142億30百万円(同202.1%増)。59店舗を出店し、期末店舗数は111店舗となりました。
主力ブランドと海外が成長をけん引しました。特に海外は高い増加率ですが、米国の「HIBACHI STEAK HOUSE」を運営する子会社などの損益を当期から連結した影響が含まれます。国内では焼肉きんぐ、丸源ラーメン、寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵を軸に、既存店の魅力向上と出店を進めています。新業態の育成や海外展開は将来の成長機会である一方、店舗数の拡大に見合う人材確保や収益性の確認も重要です。
財務状況と資本政策
期末の総資産は869億97百万円(前期末比17.5%増)、自己資本比率は54.1%(同0.2ポイント低下)でした。営業活動で資金を確保しながら新規出店への投資を続け、現金及び現金同等物は前期末から46億54百万円増加しています。
| 項目 | 2026年6月期 | 前期または前期末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 869億97百万円 | 前期末比17.5%増 |
| 営業活動CF | 160億33百万円 | 前期の118億39百万円から増加 |
| 投資活動CF | マイナス109億27百万円 | 前期のマイナス139億54百万円から支出縮小 |
| 財務活動CF | マイナス4億94百万円 | 前期のプラス27億7百万円から減少 |
| 現金及び現金同等物 | 169億93百万円 | 前期末比46億54百万円増 |
| 配当 | 2025年6月期 | 2026年6月期 | 2027年6月期予想 |
|---|---|---|---|
| 中間配当(1株) | 18円 | 20円 | 23円 |
| 期末配当(1株) | 18円 | 23円 | 23円 |
| 年間配当(1株) | 36円 | 43円 | 46円 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益や減価償却費を背景に増加しました。投資活動の支出は主に新規出店に伴う有形固定資産の取得で、出店を続けながらも営業キャッシュ・フローの範囲内に収まっています。自己株式の取得は5億54百万円で、配当と合わせて株主還元を実施しました。会社は連結配当性向20%以上を目安に累進配当を目指す方針を示しており、次期も年間配当の増額を計画しています。
通期見通し
2027年6月期は売上高1,730億84百万円(前期比14.1%増)、営業利益138億64百万円(同14.1%増)、純利益87億56百万円(同0.1%増)を見込みます。増収と営業増益を計画する一方、純利益は前期並みにとどまる予想です。
| 項目 | 2027年6月期予想 | 2026年6月期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,730億84百万円 | 1,516億89百万円 | +14.1% |
| 営業利益 | 138億64百万円 | 121億45百万円 | +14.1% |
| 経常利益 | 136億19百万円 | 121億22百万円 | +12.3% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 87億56百万円 | 87億43百万円 | +0.1% |
| 1株当たり純利益 | 228円02銭 | 227円23銭 | 記載なし |
会社は、国内消費が堅調に推移する一方、国際情勢や米国の通商政策、為替変動などを不透明要因として挙げています。「物語ビジョン2030」と中期3カ年経営計画に沿って、既存ブランドの強化、新業態の開発、海外事業の拡大を進める方針です。純利益の伸びが営業利益に比べて小さい予想であることから、税金費用などの変動を含めた利益の質と、出店投資を収益につなげられるかを確認したいところです。
戦略トピック
物語は国内の既存ブランド強化と新業態の開発に加え、海外展開を成長戦略の柱に据えています。当期は国内63店舗、海外59店舗を出店し、期末店舗数は919店舗となりました。中期経営計画では「業態開発力×人財力」を競争力の源泉と位置づけています。
- 既存ブランドの強化: 焼肉きんぐ、丸源ラーメン、ゆず庵で看板商品の磨き込みや期間限定フェア、テレビCMなどを実施。価格改定や営業時間の拡大、既存店の改装も進めました。
- 店舗DXと運営効率: 新型特急レーンの開発や配膳ロボットの導入を継続し、サービス向上と店舗運営の効率化を狙います。
- 新業態の育成: 焼きたてのかるびの出店を進めたほか、果実屋珈琲の店舗を拡大。2026年5月には「肉讃岐 もっちりうどん源次郎」の1号店を開きました。
- 海外事業の拡大: 中国で肉肉大米を展開し、シンガポール、台湾、タイにも初出店。焼肉きんぐもフィリピンに海外1号店を出しました。
- 米国事業: 2026年4月に米国の鉄板焼きレストラン「HIBACHI STEAK HOUSE」をグループ化しました。取得価格などの詳細は決算短信に記載されていません。
海外カテゴリーの売上高には米国子会社の損益連結開始が影響しており、前年比の大きさを既存事業の成長だけで説明することはできません。海外出店や新業態は成長余地を広げる一方、現地でのブランド定着や人材育成、投資回収が今後の課題です。人材の採用・育成を成長戦略の一部として掲げている点も、出店を継続するうえで重要な経営判断といえます。
リスクと課題
会社は外食需要が堅調に推移する一方、運営コストの上昇や国際情勢などを先行きの不透明要因として挙げています。出店を加速しながら、利益率と店舗運営の質を維持できるかが課題です。
- 原材料価格と人件費: 仕入れ価格や賃金の上昇が続けば、店舗の利益率を圧迫する可能性があります。価格改定や店舗DXで吸収できるかが焦点です。
- 消費者の節約志向: 物価高を背景に節約志向が続くと、来店頻度や注文内容に影響するおそれがあります。価格に見合う商品・サービスの提供が求められます。
- 為替・海外情勢: 為替相場の変動や米国の通商政策、国際情勢の不確実性は、海外事業の運営や収益に影響する可能性があります。
- 出店と人材の確保: 国内外で店舗を増やすには、採用・育成と店舗運営体制の整備が欠かせません。人材不足や出店後の収益化の遅れは、投資回収を長引かせるリスクです。
- 海外事業の比較可能性: 米国子会社の損益連結開始などで売上高の前年比が大きく変動しています。既存事業の成長と連結範囲の影響を分けて見る必要があります。
売上成長が続いても、コスト上昇を価格転嫁や生産性向上で吸収できなければ利益の伸びは鈍ります。今後は既存店の成長率、営業利益率、海外店舗の収益状況を合わせて確認することが重要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/10)
5,440円
最新終値(2026/10/23)
6,020円+10.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#物語#決算#決算分析#通期決算#外食#焼肉きんぐ#海外展開#店舗出店#増配
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コメント
主力ブランドの既存店売上高が伸び、営業利益率も改善した点は、単なる店舗数の拡大に頼らない成長として評価できます。焼肉きんぐや丸源ラーメンなど、知名度のあるブランドを軸にしながら新業態を試す戦略にも一貫性があります。
一方、海外売上高の急増には米国子会社の連結範囲変更が含まれます。今後の決算では、海外の既存事業がどれだけ成長したか、また出店費用や人件費の増加を吸収して営業利益率を維持できるかを見極めたいところです。
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