ゼンショー、2027年3月期第1四半期決算、営業利益57.5%増で通期予想を上方修正

ゼンショー(ゼンショーホールディングス)が発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高3,248億8百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益248億15百万円(同57.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益151億72百万円(同89.2%増)と、大幅な増収増益となった。海外事業の拡大がけん引し、グローバルすき家が黒字転換。通期業績予想も上方修正された。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,248億円 | +16.8% | 1.4兆円 | 23% |
| 営業利益 | 248億円 | +57.5% | 1,020億円 | 24% |
| 純利益 | 152億円 | +89.2% | 540億円 | 28% |
| 営業利益率 | 7.6% | |||
業績のポイント
当第1四半期(2026年4~6月期)の連結売上高は3,248億8百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益は248億15百万円(同57.5%増)、四半期純利益は151億72百万円(同89.2%増)と、全段階で大幅な増益を達成した。特に営業利益率は7.6%(前年同期は5.7%)に改善し、収益力の向上が鮮明。好調な海外事業に加え、国内の価格転嫁や客数増が寄与した。経営環境は中東情勢や米通商政策の不透明感、物価高による消費者マインドの弱含みなど逆風があったが、主力ブランドの既存店売上高が軒並み前年を上回り、グローバルすき家は前年同期の営業損失から黒字転換した。通期業績予想は、第1四半期の想定以上の進捗を踏まえて上方修正。売上高1兆4,020億円(前期比15.6%増)、営業利益1,020億円(同25.2%増)を見込む。
セグメント別動向
全セグメントの外部顧客売上高と営業利益は下表の通り。
| セグメント | 売上高(百万円) | 前年同期比 | 営業利益(百万円) | 前年同期比 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| グローバルすき家 | 81,075 | 22.7%増 | 2,372 | 黒字転換(前年△768) | 2.9% |
| グローバルはま寿司 | 93,515 | 32.2%増 | 8,808 | 70.4%増 | 9.4% |
| グローバル中食 | 48,102 | 10.7%増 | 8,567 | 10.3%増 | 17.8% |
| グローバルファストフード | 28,728 | 5.8%増 | 604 | 32.2%減 | 2.1% |
| レストラン | 43,147 | 7.5%増 | 2,799 | 5.6%減 | 6.5% |
| 小売 | 19,212 | 0.3%増 | △174 | 赤字縮小(前年△599) | — |
| 本社・サポート | 2,808 | 54.3%増 | 1,719 | 黒字転換(前年△3) | 61.2% |
| その他 | 8,217 | 14.7%減 | △84 | 赤字転換(前年27) | — |
グローバルすき家は、国内牛丼チェーン「すき家」が期間限定商品や価格改定効果で客単価が上昇し、海外も東南アジア・中南米で店舗網を拡大。前年同期の赤字から一転して23億円の営業黒字を確保した。
グローバルはま寿司は、国内外で積極出店し、売上高が32%増と急拡大。100円寿司の競争が激化する中、サイドメニュー強化やデジタル活用で利益率も9.4%と高水準を維持した。
グローバル中食は、欧米のテイクアウト寿司事業が堅調に推移し、売上高481億円、営業利益率17.8%と高い収益性を誇る。なお、当期より一部FC契約の収益を純額表示に変更したため、前年同期比には遡及修正が反映されている。
グローバルファストフードでは、「なか卯」が増収も、原材料高・人件費増が響き営業減益。 レストランは「ココス」などが客数増で増収だったが、コスト上昇を吸収しきれず小幅減益。 小売はスーパーマーケット事業が不振で赤字が続くが、赤字幅は縮小。 本社・サポートはグループ内物流・製造が好調で大幅黒字化した。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| グローバルすき家 | 811億円 | 25% | 24億円 | 2.9% |
| グローバルはま寿司 | 935億円 | 29% | 88億円 | 9.4% |
| グローバル中食 | 481億円 | 15% | 86億円 | 17.8% |
| グローバルファストフード | 287億円 | 9% | 6億円 | 2.1% |
| レストラン | 431億円 | 13% | 28億円 | 6.5% |
| 小売 | 192億円 | 6% | -174百万円 | - |
| 本社・サポート | 28億円 | 1% | 17億円 | 61.2% |
| その他 | 82億円 | 3% | -84百万円 | - |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は9,941億81百万円(前期末比338億円増)。有利子負債の増加により負債は6,391億20百万円(同202億円増)となったが、利益蓄積や為替換算調整勘定の増加で純資産は3,550億60百万円(同136億円増)に拡大。自己資本比率は35.7%(前期末35.5%)と安定を維持している。
キャッシュ・フロー計算書は第1四半期で作成していないが、減価償却費が152億88百万円(前年同期122億78百万円)と拡大しており、積極的な店舗投資を反映していると推察される。
配当は、2027年3月期予想で年間80円(中間40円・期末40円)と前期の75円から5円増配。業績好調に伴う株主還元強化の姿勢が示された。なお、A種優先株式や社債型種類株式などのハイブリッド調達も実施しているが、普通株式の配当には優先配当の影響はない。
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は、第1四半期の好調を受けて上方修正された(修正前の予想数値は非開示)。修正後の予想は以下の通り。
| 項目 | 2027年3月期 新予想 | 2026年3月期 実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,402,000百万円 | 1,213,500百万円(遡及後) | 15.6%増 |
| 営業利益 | 102,000百万円 | 81,400百万円(遡及後) | 25.2%増 |
| 経常利益 | 94,600百万円 | 78,300百万円(遡及後) | 20.9%増 |
| 純利益 | 54,000百万円 | 45,800百万円(遡及後) | 17.9%増 |
(注)2026年3月期実績は、グローバル中食での会計方針変更を遡及適用した数値。
第1四半期の進捗率は売上高23.2%、営業利益24.3%と順調で、為替前提やコスト動向に不透明感はあるものの、国内外の既存店好調とM&A効果が下支えし、達成可能性は高いとみられる。
戦略トピック(M&A)
2026年5月29日、欧州の大手パック寿司製造会社 Sushi & Food Factor Sp. z o.o. (SFF社) を完全子会社化した。取得価額は約81億円(現金)。SFF社は欧州最大級のパック寿司工場を有し、大手小売チェーンに供給している。
この買収により、グローバル中食セグメントの欧州事業基盤が拡大。調達・メニュー開発・物流で既存グループ会社とのシナジーが見込まれ、同セグメントのさらなる収益拡大が期待される。なお、みなし取得日を6月30日としたため、第1四半期の損益には寄与しておらず、第2四半期から連結される。のれんは約70億円を暫定計上。
リスクと課題
決算短信で言及された主なリスク・課題は以下の通り。
- 地政学リスク・通商政策の不透明感:中東情勢の長期化や米国の通商政策の変動が、原材料調達コストや海外事業の収益に影響を及ぼす可能性。
- 為替変動:円安が海外売上高を押し上げる一方、輸入食材価格の上昇要因となり、利益率を圧迫するリスク。
- 原材料・エネルギー価格の高騰:牛肉や米、油などの仕入れ価格が高止まりしており、価格転嫁が追いつかなくなる恐れ。
- 人手不足と人件費上昇:国内飲食業界全体の課題であり、パート・アルバイトの確保難と時給上昇が利益を侵食する可能性。
- 競争激化:牛丼・回転寿司・中食市場で国内外の競合との価格・サービス競争が激しく、差別化の維持が不可欠。
こうしたリスクに対し、同社はグローバル調達網の強化、DXによる省人化、独自商品開発で対応を進めているが、外部環境の急変には引き続き注意が必要だ。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
10,475円
最新終値(2026/10/23)
12,005円+14.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ゼンショー#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#海外展開#配当増額#M&A#上方修正#外食
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コメント
ゼンショーの第1四半期は、海外事業、特にはま寿司と中食の利益率の高さが際立つ。すき家の黒字転換もポジティブだが、国内ファストフードやレストランはコスト増に苦戦しており、セグメント間の二極化が進行している印象だ。
通期上方修正は好感だが、為替や原材料リスクを考慮すると、下期の利益積み上げ余地は限定的かもしれない。SFF社買収のシナジー発揮がフル連結される第2四半期以降の数字が、中期的な成長力を占う試金石となる。
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