くら寿司、2026年10月期第3四半期決算、増収も営業利益45%減、コスト高が重荷
くら寿司の2026年10月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比4.4%増の1,896億円となった一方、営業利益は45.2%減の28億円、純利益は41.3%減の20億円と減益でした。海外出店や北米・アジアの売上拡大が増収を支えたものの、原材料価格や人件費の上昇が利益を圧迫しています。会社は通期予想を据え置き、国内では商品や店舗体験の強化、海外では出店拡大を進めます。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,897億円 | +4.4% | 2,570億円 | 74% |
| 営業利益 | 28億円 | -45.2% | 50億円 | 57% |
| 純利益 | 20億円 | -41.3% | 30億円 | 68% |
| 営業利益率 | 1.5% | |||
この決算のポイント
- 1北米売上高は前年同期比22.2%増。12店舗を出店し、コラボ企画も集客に寄与
- 2アジアは売上高が15.1%増、セグメント利益は42.0%増と増収増益
- 3国内売上高は1.2%減。高価格帯フェアやQRクーポンで来店機会の拡大を図る
- 4通期予想は売上高2,570億円、営業利益50億円で変更なし。営業利益の進捗率は56.9%
- 5期末配当予想は株式分割後で1株15円。分割を考慮しない年間配当は30円
業績のポイント
くら寿司(くら寿司)は、2026年10月期第3四半期累計で増収減益となりました。売上高は前年同期比4.4%増の1,896億84百万円、営業利益は45.2%減の28億45百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は41.3%減の20億30百万円です。売上成長が利益増に結び付かず、営業利益率は前年同期の約2.9%から約1.5%に低下しました。
利益を押し下げた背景は、外食業界で続く原材料価格や人件費の上昇です。売上原価は前年同期から約38億円増え、販売費及び一般管理費も約66億円増加しました。売上高の伸びに対し費用の増加が大きく、営業利益は前年同期より約23億円減っています。
- 増収要因: 北米・アジアで出店を進め、両地域の売上が伸びました。グループ全体では国内外で25店舗を出店しています。
- 利益面の重荷: 米価はピークアウト感があるものの高水準で、人件費やエネルギー価格の変動も続いています。
- 利益以外の指標: 経常利益は前年同期比37.7%減の34億69百万円、1株当たり四半期純利益は25円54銭でした。1株利益は5月の株式分割を考慮した数値です。
国内では商品設計を通じた原価率の管理を続け、北米・アジアでは店舗展開と販促を強めています。ただし、売上の拡大だけで利益回復を実現できるかは、今後の原材料費や人件費の吸収力が焦点です。
セグメント別動向
海外事業の伸びが全体の増収を支えた一方、利益面では地域ごとに明暗が分かれました。以下の売上高はセグメント間の内部売上を除く外部顧客向けで、セグメント利益は短信の注記に基づく経常利益ベースです。
日本は売上高1,306億34百万円で前年同期比1.2%減、セグメント利益は33億94百万円で40.8%減でした。インバウンド需要がある一方、実質賃金の低下などで消費者マインドは停滞しています。国産天然本まぐろや極上かにのフェア、アニメなどとのコラボ、QRクーポンで集客を図り、商品ごとの設計で原価率を管理しました。
北米は売上高372億4百万円で22.2%増えましたが、セグメント損失は6億45百万円と、前年同期の5億96百万円から赤字幅が広がりました。たまごっちや「崩壊:スターレイル」との企画が売上を後押しし、12店舗を新設した一方、関税による原材料価格上昇が利益の重荷となりました。
アジアは売上高218億45百万円で15.1%増、セグメント利益は7億92百万円で42.0%増でした。台湾で期間限定フェアや価格帯を広げた商品展開が集客に寄与し、タイでの事業基盤づくりに向けた現地法人も設立しています。
| 地域 | 売上高の前年比 | セグメント利益の前年比 |
|---|---|---|
| 日本 | -1.2% | -40.8% |
| 北米 | +22.2% | 赤字幅拡大 |
| アジア | +15.1% | +42.0% |
国内の利益減少が大きく、海外の増収が連結売上を押し上げる構図です。北米は出店による成長を続ける一方で、関税や店舗投資を含むコスト管理が課題となります。
- 日本-1.2%
- 北米+22.2%
- アジア+15.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 1,306億円 | 69% | 34億円 | 2.6% |
| 北米 | 372億円 | 20% | -645百万円 | -1.7% |
| アジア | 218億円 | 12% | 8億円 | 3.6% |
財務状況と資本政策
7月末の総資産は前期末比130億22百万円増の1,690億38百万円でした。自己資本比率は前期末の40.0%から38.4%に低下しています。資産増加の中心は店舗などの有形固定資産で、出店と設備投資が進んだことがうかがえます。
| 項目 | 2026年7月末・予想 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,690億38百万円 | 前期末比+8.3% |
| 自己資本比率 | 38.4% | 前期末40.0%から低下 |
| 現金及び預金 | 201億18百万円 | 前期末比40億53百万円減 |
| 期末配当予想 | 1株15円 | 株式分割後、前期の分割後換算10円から増配 |
| 自社株買い | 開示なし | 今回の短信に記載なし |
現金及び預金が減る一方、有形固定資産は前期末から約149億円増加し、リース債務も約74億円増えました。出店や店舗運営基盤への投資が資産と負債の双方を押し上げています。四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの内訳は確認できません。
配当予想に変更はありません。1株15円は5月の1株を2株とする株式分割後の金額で、分割を考慮しない場合の年間配当は30円です。自社株買いの発表はなく、店舗網の拡大を続けながら財務の健全性を保てるかが注目点です。
通期見通し
会社は2026年10月期の連結業績予想を据え置きました。通期売上高2,570億円は前期比4.9%増を見込む一方、営業利益50億円は8.4%減、純利益30億円は16.8%減の計画です。
| 指標 | 通期予想 | 前期比 | 3Q累計の進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,570億円 | +4.9% | 73.8% |
| 営業利益 | 50億円 | -8.4% | 56.9% |
| 純利益 | 30億円 | -16.8% | 67.7% |
直近に公表した業績予想からの変更はありません。第3四半期までに売上高は通期計画の約4分の3に達した一方、営業利益の進捗は56.9%にとどまり、利益計画の達成には残る期間での収益改善が必要です。
会社は原材料費や人件費の上昇が続く環境を説明しており、国内では原価率管理と販促、海外では出店を継続します。通期予想には不確実性があり、費用増を吸収できるか、特に北米で出店拡大と採算改善を両立できるかが焦点です。
戦略トピック
くら寿司は国内外で計25店舗を出店し、7月末時点の店舗数は712店となりました。国内では体験型の店舗やプレミアムブランドを広げ、海外では北米の出店継続とタイ進出に向けた準備を進めています。
- 北米の出店: 第3四半期累計で12店舗を新設し、年間16店舗の出店を目指します。コラボ企画も活用し、売上拡大を図っています。
- タイ事業の準備: 2026年7月にKura Sushi (Thailand) Co., Ltd.を設立し、今後の店舗展開と事業基盤の構築を進めます。
- 国内の新業態・店舗体験: なんば千日前店では大阪・関西万博の店舗体験を引き継ぎ、無添蔵新宿店では北海道産の朝〆魚や寿司と日本茶のペアリングを提案しています。
- 商品と販促の強化: 「ビッくらポン!」や人気コンテンツとのコラボ、創業50年祭を通じて、来店動機づくりと利用機会の拡大を狙います。
店舗網の拡大は売上成長の土台となる一方、店舗投資や人員確保、立ち上げ期の採算が利益を左右します。北米で原材料価格の上昇が明記されているため、出店数だけでなく、既存店を含めた収益性の改善も追う必要があります。
リスクと課題
会社は、地政学リスクや物価上昇などを背景に先行きが不透明な環境を挙げています。店舗を国内外で増やすなか、コスト上昇と出店投資を吸収しながら利益を確保できるかが課題です。
- 原材料価格の上昇: 米価はピークアウト感があるものの高水準が続き、北米では関税による原材料価格の上昇も発生しています。原価率が改善しなければ利益を圧迫します。
- 人件費とエネルギー価格: 外食産業では人件費やエネルギー価格の変動が続いています。売上の伸びを上回る費用増が続けば、営業利益率の回復が遅れる可能性があります。
- 消費者マインドの弱さ: 物価上昇や実質賃金の低下傾向が国内消費の重荷となっています。インバウンド需要や販促で補えるかが焦点です。
- 海外出店と採算: 北米は増収でもセグメント損失が拡大しました。急速な出店に伴う投資や運営コストを管理できるかが、海外成長の持続性を左右します。
- 地政学リスクと為替: 中東情勢などの地政学リスクや為替変動は、エネルギー価格や調達コスト、海外事業の業績に影響する可能性があります。
店舗数や売上高の拡大だけでなく、地域別の利益と資本効率を確認することが重要です。会社の業績予想にも、実際の業績はさまざまな要因で大きく異なる可能性があるとの注意書きがあります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/9/10)
1,675円
最新終値(2026/10/23)
1,703円+1.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#くら寿司#決算#決算分析#四半期決算#2026年10月期#回転寿司#海外出店#原材料価格#減益
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コメント
売上高は伸びていますが、営業利益の進捗率は通期計画の56.9%にとどまり、増収の質が問われる決算です。米価や人件費の高止まりに加え、北米では関税による原材料高も表面化しており、出店ペースだけでなく店舗ごとの採算改善を見極めたいところです。
一方、北米・アジアの売上成長や、ビッくらポン!を軸にした体験価値、商品開発力はくら寿司の強みです。海外成長を利益成長につなげられるかが、次の決算で最も注目されます。
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