業界ダイジェスト
株式会社ゼンショーホールディングス の会社詳細
株式会社ゼンショーホールディングス
ゼンショーホールディングス
2026年3月期 通期

ゼンショーHD・2026年3月期通期、売上高1.2兆円で過去最高——はま寿司が成長を牽引、すき家はコスト増で減益

ゼンショー
すき家
はま寿司
外食業界
最高売上
増配
原材料高
海外展開
決算分析
就活
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1.3兆円

+11.2%

通期予想

1.4兆円

進捗率89%

営業利益

814億円

+8.4%

通期予想

920億円

進捗率89%

純利益

458億円

+16.6%

通期予想

500億円

進捗率92%

営業利益率

6.4%

外食最大手のゼンショーホールディングスが発表した2026年3月期通期連結決算は、売上高が前期比11.2%増1兆2,640億円となり、過去最高を更新しました。主力業態の「はま寿司」が国内外で大幅な増収増益を記録し全体を牽引した一方、看板の「すき家」は原材料高や戦略的な値下げにより営業利益が62.0%減と苦戦しました。同社は「食のインフラ」としての使命を優先し、物価高局面での客数維持を狙う経営判断を下しています。

業績のポイント

2026年3月期の連結業績は、売上高が1兆2,640億53百万円(前期比+11.2%)、営業利益は814億40百万円(同+8.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は458億12百万円(同+16.6%)となりました。売上高は初めて1.2兆円の大台を突破し、積極的な店舗展開と既存店売上の伸長が奏功しています。

利益面では、コメ価格の高騰や輸入牛肉・水産物の原材料コスト上昇、エネルギー価格の増加が大きな押し下げ要因となりました。しかし、徹底したオペレーションの効率化や、堅調な「はま寿司」および「レストラン」部門の収益貢献により、連結ベースでは増益を確保しています。コストプッシュ型のインフレ環境下にありながら、規模のメリットを活かした収益構造の維持に努めた形です。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

今期から海外テイクアウト寿司事業を「グローバル中食」として独立させるなど、事業構造の明確化を図っています。特筆すべきは「はま寿司」が売上規模で「すき家」を逆転した点です。

報告セグメント売上高 (百万円)営業利益 (百万円)前年比 (売上高)利益率
グローバルすき家314,4549,317+6.3%2.9%
グローバルはま寿司320,27726,771+28.9%8.3%
グローバル中食221,89527,376+5.7%12.3%
レストラン171,28112,998+9.7%7.5%

グローバルすき家セグメントは、既存店売上高が104.3%と堅調でしたが、営業利益は62.0%減と大幅な赤字に近い水準まで落ち込みました。これは原材料費やエネルギーコストが上昇する中、消費者の生活を支えるため「牛丼の値下げ」を断行したことが直接的な要因です。対照的に、グローバルはま寿司は国内および中国展開が加速し、既存店売上高115.5%と爆発的な伸びを記録。ゼンショーグループの新たな稼ぎ頭としての地位を固めました。

グローバル中食は、欧米市場でのテイクアウト需要を確実に取り込み、セグメント利益率12.3%とグループ内でも極めて高い収益性を維持しています。レストラン事業も「ココス」や「ジョリーパスタ」が季節メニューの導入で客単価を上げ、営業利益は前期比14.1%増と好調に推移しました。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
グローバルすき家3,145億円25%93億円2.9%
グローバルはま寿司3,203億円25%268億円8.3%
グローバル中食2,219億円18%274億円12.3%
レストラン1,713億円14%130億円7.5%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比1,472億円増の9,603億62百万円となりました。主に、第1回社債型種類株式の発行に伴う預金の増加や、積極的な新規出店による有形固定資産の積み増しが要因です。自己資本比率は前期の29.5%から35.5%へと大きく改善しており、財務基盤の強化が進んでいます。

キャッシュフロー面では、営業活動により1,011億77百万円の現金を創出し、これを780億89百万円の投資活動(新規出店・改装)に充てるという健全な循環を維持しています。配当については、前期の70円から5円増配となる年間75円を実施しました。さらに次期(2027年3月期)は80円への増配を見込んでおり、株主還元への積極的な姿勢を示しています。

リスクと課題

同社が経営上の主要なリスクとして挙げているのは、以下の3点です。

  • 原材料・エネルギーコストの変動: 牛肉、コメ、水産物などの価格高騰は利益率を直接圧迫します。特にコメ価格の動向は国内事業に大きな影響を与えます。
  • 為替相場の変動: 海外での積極的な展開と原材料の輸入を並行しているため、円安の進行は仕入れコストの増大に直結します。
  • 地政学的リスク: 中東情勢や米国の通商政策など、グローバルな供給網を脅かす外部環境の変化を注視しています。

これらの課題に対し、同社は食材調達から製造・物流・販売までを自社で一貫して行う「マス・マーチャンダイジング・システム(MMD)」のさらなる強化で対抗する方針です。

通期見通し

2027年3月期の業績予想は、売上高が1兆4,240億円(前期比+12.7%)、営業利益は920億円(同+13.0%)と、引き続き二桁の成長を見込んでいます。物価高の影響は続くものの、店舗網の拡大とはま寿司を中心とした高収益モデルの横展開により、増収増益のトレンドを維持する計画です。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想増減率
売上高1兆2,640億円1兆4,240億円+12.7%
営業利益814億円920億円+13.0%
当期純利益458億円500億円+9.1%
AIアナリストの視点

ゼンショーHDの決算で最も注目すべきは、「稼ぎ頭の交代」です。長年グループを支えてきた「すき家」が、インフレ下での価格抑制という戦略的選択により利益を削る一方で、「はま寿司」と海外の「中食」が高い収益性を発揮し、グループ全体の増益を守り切りました。

就職活動中の学生にとっては、同社が掲げる「食のインフラ」という理念が、単なるスローガンではなく「利益を削ってでも価格を下げる」という実利的な経営判断に結びついている点が興味深いポイントでしょう。一方で、コメ価格や牛肉価格といった外部要因への感受性が高く、MMDシステムがいかにこれらを吸収できるかが今後の焦点となります。

投資家の視点では、自己資本比率の向上と継続的な増配、そして売上高1.4兆円を目指す強気な来期予想から、グローバル展開への強い自信が伺えます。特に海外の寿司テイクアウト事業の利益率(12.3%)は極めて高く、この分野の成長が将来のバリュエーションを左右することになりそうです。