名古屋銀、2027年3月期第1四半期決算、経常利益35.8%増
名古屋銀の2027年3月期第1四半期決算は、経常収益が前年同期比25.2%増の385億円、経常利益が35.8%増の99億円、純利益が28.8%増の67億円となり、増収増益でした。貸出金利息の増加が収益を押し上げた一方、預金利息や国債などの債券売却損も膨らみました。決算分析では、金利上昇を背景にした利ざや改善と、調達コストの増加が併存する点が焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 385億円 | +25.2% | 1,428億円 | 27% |
| 営業利益 | 99億円 | +35.8% | 337億円 | 29% |
| 純利益 | 67億円 | +28.8% | 230億円 | 29% |
この決算のポイント
- 1銀行業務の経常収益は前年同期比29.1%増、セグメント利益は33.3%増と全体をけん引
- 2貸出金残高は2026年3月末比675億円増加し、地元企業や住宅ローンの資金需要に対応
- 3通期の経常利益予想は337億円で据え置き、第1四半期の進捗率は約29.5%
- 4年間配当予想は株式分割後の前期実績170円から200円へ増配する計画
業績のポイント
名古屋銀(名古屋銀行)の2027年3月期第1四半期は、経常収益が前年同期比25.2%増、経常利益が35.8%増、親会社株主に帰属する純利益が28.8%増となりました。経常収益の増加額が経常費用の増加を上回り、貸出金利息の伸びが増益をけん引しました。
- 収益の伸び: 経常収益は前年同期から77億円増加。貸出金利息は前年同期比で約35%増え、資金運用収益の拡大につながりました。
- 費用の増加: 経常費用は前年同期から51億円増加。預金利息の増加に加え、国債などの債券売却損が膨らみました。
- 利益の伸び: 経常利益は前年同期から26億円増加し、純利益も15億円増えました。
国内経済は雇用・所得環境の改善や企業業績を背景に緩やかな回復が続く一方、物価上昇や為替、米国の通商政策など不透明要因も残ります。利息収入の増加は追い風ですが、預金金利の上昇や債券運用の損益が利益を左右する局面に入っています。
セグメント別動向
銀行業務は、経常収益が前年同期比29.1%増、セグメント利益が33.3%増となり、グループの増益を主導しました。貸出金利息の増加が収益を押し上げた一方、預金利息や債券売却損の増加もあり、金利環境の変化が収益と費用の両面に表れています。
- リース業務: 経常収益は前年同期比10.3%増、セグメント利益は27.0%増。収益、利益ともに前年を上回りました。
- カード業務: 経常収益は前年同期比7.4%増、セグメント利益は9.7%増となりました。
- その他業務: 経常収益は前年同期比18.4%減となり、セグメント損益は赤字に転じました。医療システム事業やICT支援事業などを含む区分です。
銀行業務の伸びがグループ全体を支え、リース・カードも増益でした。一方、「その他」は利益が悪化しており、主力の銀行業務に収益が偏る構図です。貸出金の増加が続くなか、今後は金利収入の伸びと信用コストのバランスが重要になります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業務 | 311億円 | 81% | 104億円 | 33.5% |
| リース業務 | 62億円 | 16% | 1億円 | 2.3% |
| カード業務 | 6億円 | 2% | 2億円 | 36.0% |
| その他業務 | 5億円 | 1% | -113百万円 | -20.8% |
通期見通し
名古屋銀は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。経常収益は1,428億円、経常利益は337億円、純利益は230億円を見込み、経常利益の第1四半期進捗率は約29.5%です。
| 項目(百万円) | 前期実績(概算) | 前回予想 | 今回予想 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 約124,500 | 142,800 | 142,800 | +14.7% |
| 経常利益 | 約28,083 | 33,700 | 33,700 | +20.0% |
| 純利益 | 約20,264 | 23,000 | 23,000 | +13.5% |
前期実績は、短信に記載された予想前年比から逆算した概算です。会社は2026年5月12日公表の予想から変更しておらず、今回の第1四半期増益を受けた上方修正はありません。貸出金利息が伸びる一方で預金利息や債券売却損も増えており、通期予想の達成には、金利収入の拡大が費用増をどこまで吸収できるかが焦点です。
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前年度末比1.1%減の6兆2,053億円、自己資本比率は5.1%でした。貸出金は前年度末から675億円増えた一方、預金は40億円減少しています。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の現金収支は短信から確認できません。
- 資本の健全性: 連結総自己資本比率は2026年3月末の12.93%から6月末に13.09%へ上昇しました。短信の自己資本比率5.1%とは算定方法が異なります。
- 貸出金と預金: 貸出金残高は地元企業や住宅ローンなどの資金需要に対応して増加。預金は前年度末比で小幅に減少しました。
- 配当: 2027年3月期は中間・期末各100円、年間200円を予想。株式分割後換算の前期年間配当170円から増配する計画です。
- 自社株買い: 今回の短信に自社株買いの実施・決定に関する記載はありません。
貸出金の積み上がりは利息収入の基盤になる一方、預金調達コストの上昇には注意が必要です。年間配当予想は前期から引き上げられていますが、業績予想と配当予想はいずれも今回修正されていません。
リスクと課題
会社は、景気の先行きについて地政学リスクや物価上昇、米国の通商政策、為替などの不確定要素を挙げています。銀行業務では、金利変化が貸出収益だけでなく預金調達費用や保有債券の評価・売却損益にも影響します。
- 金利・調達コスト: 預金利息が増えており、調達コストの上昇が貸出金利息の伸びを上回れば利ざやを圧迫する可能性があります。
- 債券運用: 国債などの債券売却損が前年同期から増加しました。金利や市場価格の変動が、今後の収益を左右します。
- 景気・信用リスク: 物価高が個人消費や企業活動に影響すれば、資金需要や借り手の返済状況が変化し、与信費用の増加につながるおそれがあります。
- 外部環境の不透明感: 地政学リスク、米国の通商政策、為替相場の変動などが国内景気や金融市場に波及する可能性があります。
貸出金の増加は収益機会を広げますが、景気変化による信用コストの上昇を伴う場合があります。貸出の伸びだけでなく、預金金利の動きや債券損益、不良債権の推移をあわせて確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/4)
6,450円
最新終値(2026/10/23)
5,720円-11.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#名古屋銀#決算#決算分析#四半期決算#銀行業#増収増益#金利上昇#配当
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コメント
貸出金利息の増加を背景に、銀行業務が収益と利益の両面で伸びた点は好材料です。一方、預金利息と債券売却損も増えており、金利上昇の恩恵がそのまま利益に残るわけではありません。
通期予想は据え置きで、配当は分割後換算で前期より増やす計画です。今後は貸出金の伸びに加え、預金調達コストと債券損益が利益予想の達成を左右するため、次の四半期でそのバランスを見極めたいところです。
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