スルガ、2027年3月期第1四半期決算、経常利益3倍超で純利益も急伸

スルガの2027年3月期第1四半期決算は、経常収益が前年同期比42.6%増の371億500万円、経常利益は207.7%増の205億2100万円、純利益は158.5%増の140億8600万円となりました。貸出金利息の増加に加え、貸倒引当金戻入益の計上と国債等債券償還損の減少が利益を押し上げました。通期予想は据え置きで、大幅増益の一方、与信費用の戻入益が利益を押し上げた決算です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 371億円 | +42.6% | — | — |
| 営業利益 | 205億円 | +207.7% | 475億円 | 43% |
| 純利益 | 141億円 | +158.5% | 320億円 | 44% |
この決算のポイント
- 1貸出金利息の増加と貸倒引当金戻入益により、経常利益は前年同期比138億5400万円増
- 2銀行セグメントの経常収益は前年同期比46.1%増、利益は3倍超に拡大
- 3通期経常利益予想は475億円で据え置き、純利益予想は前期比7.8%減
- 4年間配当予想は前期と同額の60円、4月には自己株式2500万株を消却
- 5貸出金残高は前年同期末比9.2%増、金融再生法開示債権比率は6.02%に低下
業績のポイント
スルガ(スルガ銀行)の第1四半期は、経常収益が前年同期比42.6%増の371億500万円、経常利益が207.7%増の205億2100万円、親会社株主に帰属する純利益が158.5%増の140億8600万円でした。経常利益の増加額は138億5400万円です。
主な増減要因は次の通りです。
- 貸出金利息: 前年同期の162億2100万円から187億5900万円へ増加。貸出金の増加と貸出金利回りの上昇が寄与しました。
- 貸倒引当金戻入益: 単体で81億7100万円を計上。前年同期には計上がなく、利益を大きく押し上げました。
- 経常費用: 前年同期比27億6900万円減の165億8300万円。国債等債券償還損の減少などが背景です。
貸出金利息の増加は金利上昇局面での収益力改善を示す一方、今期の利益には貸倒引当金の戻入益という変動要因も含まれます。前年同期比の大幅増益だけで基礎収益の伸びを判断せず、今後は貸出金利息の伸びと与信費用の動きを分けて見る必要があります。
セグメント別動向
銀行セグメントが全体の増収増益をけん引し、その他事業も増益でした。外部顧客向け経常収益の前年比とセグメント利益の前年比は、開示値から算出しています。
| セグメント | 経常収益(百万円) | 前年比 | 利益(百万円) | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行 | 34,787 | +46.1% | 20,228 | +212.2% |
| その他 | 2,303 | +4.2% | 320 | +48.8% |
銀行は貸出金利息の増加や貸倒引当金戻入益の計上などを背景に、経常収益と利益が大きく伸びました。セグメント利益の伸びが経常収益の伸びを大きく上回っており、信用コストの改善が収益を押し上げたことがうかがえます。
その他は貸金、リース、事務処理代行、クレジットカード、保証などを含み、経常収益、利益ともに前年同期を上回りました。ただし規模は銀行セグメントに比べ小さく、連結業績への寄与の中心は引き続き銀行です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行 | 348億円 | 94% | 202億円 | 58.1% |
| その他 | 23億円 | 6% | 3億円 | 13.9% |
通期見通し
通期業績予想は2026年5月14日の公表値から変更されていません。第1四半期の経常利益は通期予想の43.2%に達しましたが、純利益の進捗率は44.0%で、会社予想は前期比で減益を見込んでいます。
| 指標(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 経常利益 | 47,500 | 47,500 | +33.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 32,000 | 32,000 | -7.8% |
第2四半期累計の予想は経常利益250億円、純利益170億円です。会社は予想を据え置いており、第1四半期の好調を理由とする上方修正はありません。利益増加には貸倒引当金戻入益が影響しているため、下期も同水準の収益が続くと決めつけず、貸出金利息の増勢や与信費用の変化を確認したいところです。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比0.5%増の3兆5611億3100万円、連結自己資本比率は9.2%で前期末の9.1%から上昇しました。銀行規制上の連結自己資本比率はバーゼルⅢ最終化ベースで12.02%です。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較対象 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 3,561,131 | 前期末 3,543,585 | +17,546 |
| 貸出金(百万円) | 2,410,864 | 前期末 2,398,794 | +12,070 |
| 預金(百万円) | 3,190,303 | 前期末 3,197,222 | -6,919 |
| 連結自己資本比率(規制基準) | 12.02% | 前期末 11.40% | +0.62ポイント |
| 年間配当(円) | 60 | 前期実績 60 | 増減なし |
年間配当予想は中間30円、期末30円で、前期実績と同額です。取締役会決議に基づき自己株式2500万株を消却しており、これは新たな自社株買いではなく、保有する自己株式の消却です。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の現金収支はこの短信から確認できません。
リスクと課題
第1四半期は大幅増益となりましたが、そのすべてが継続的な本業収益の伸びを示すわけではありません。預金金利の上昇や与信費用の変化が、今後の利益を左右します。
- 戻入益の反動: 貸倒引当金戻入益が利益を押し上げました。今後、戻入益が縮小したり貸倒引当金の繰入れに転じたりすれば、利益の伸びが鈍る可能性があります。
- 預金金利の上昇: 預金利回りは前年同期比0.16ポイント上昇して0.35%となりました。貸出金利回りの上昇が資金利益を支えていますが、預金金利の上昇が続けば調達コストも増加します。
- 開示債権の残存: 金融再生法ベースの開示債権比率は前年同期末の8.22%から6.02%に改善しましたが、開示債権は1453億4900万円あります。信用状況の変化が与信費用に及ぼす影響には注意が必要です。
- 通期純利益の減益予想: 第1四半期の純利益は大きく増えた一方、通期予想は前期比7.8%減です。会社予想を上回る利益が続くかは、戻入益を除く収益力と下期の信用コストが焦点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
2,746円
最新終値(2026/10/23)
2,680円-2.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#スルガ#決算#決算分析#四半期決算#銀行業#貸倒引当金戻入益#貸出金利息#配当#自己株式消却
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コメント
本業面では貸出金利息が伸び、貸出金利回りも上昇しているため、金利環境の変化を収益に取り込めている点は前向きです。一方、利益急増には貸倒引当金戻入益の寄与が大きく、見出しの増益率をそのまま持続的な成長率とみなすのは早計です。
投資家は貸出金の伸びと預金調達コスト、与信費用の正常化をセットで追う必要があります。就職活動中の学生にとっては、銀行の収益が貸出金利回りだけでなく、信用コストの変化にも大きく左右されることが読み取れる決算です。
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