しずおかFG、2027年3月期第1四半期決算、経常利益51%増で通期予想上方修正

しずおかFGの2027年3月期第1四半期決算は、大幅増収増益を達成した。経常収益が前年同期比 49.0% 増の 1,368億2百万円、経常利益が同 51.0% 増の 469億68百万円、親会社株主に帰属する純利益が同 45.0% 増の 327億40百万円 と、いずれも二桁台の伸びを示した。貸出金利息や有価証券利息配当金の増加に加え、株式等売却益の拡大が収益を大きく押し上げた。好調な業績を受け、通期の業績予想を上方修正し、年間配当を108円に増配するとともに、最大 300億円 の自社株買いも発表した。金利上昇環境下で本業の資金利益が堅調に推移する一方、預金利息などの調達費用も増加しており、利益構造の持続性が注目される。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,368億円 | +49.0% | — | — |
| 営業利益 | 470億円 | +51.0% | 1,670億円 | 28% |
| 純利益 | 327億円 | +45.0% | 1,150億円 | 28% |
| 営業利益率 | 34.3% | |||
業績のポイント
しずおかFG(しずおかフィナンシャルグループ)の2027年3月期第1四半期は、経常収益 1,368億2百万円(前年同期比 49.0% 増)、経常利益 469億68百万円(同 51.0% 増)、親会社株主に帰属する純利益 327億40百万円(同 45.0% 増)と、全ての利益段階で二桁の大幅な増益となった。特に経常収益は貸出金利息の増加(前年同期比 72億円 以上の増加、貸出金利息 480億46百万円)や有価証券利息配当金の増加(前年同期比 26億円 増、200億15百万円)など資金運用収益の拡大に加え、株式等売却益などの「その他経常収益」が前年同期の 67億円 から 361億34百万円 へと大きく膨らんだことが寄与している。
一方で、経常費用も前年同期比 290億93百万円 増加し 898億33百万円 となった。資金調達費用は預金利息の上昇(前年同期比 32億19百万円 増の 148億55百万円)により増加し、その他業務費用も国債等債券売却損の増加で 242億42百万円 と前年同期の 14億12百万円 から急増している。それでも収益の伸びが大きく、経常利益は 51.0% 増を達成した。
この好決算を受け、しずおかFGは通期業績予想を上方修正し、経常利益を従来予想の 1,520億円 から 1,670億円 へ 150億円 引き上げ、親会社株主に帰属する当期純利益も 1,050億円 から 1,150億円 へ 100億円 増額した。さらに、年間配当を前期実績の 80円 から 108円 に増配する見込みで、株主還元姿勢を強めている。
セグメント別動向
当四半期より、新しい連結子会社として東京ガスリース株式会社が「リース業」セグメントに加わったほか、静銀モーゲージサービスと静銀ビジネスクリエイトの合併によりしずぎんビジネスパートナーズが発足するなど、組織再編も行われた。
セグメント別の外部顧客経常収益とセグメント利益は下表の通り。
| セグメント | 外部顧客経常収益 | セグメント利益 |
|---|---|---|
| 銀行業 | 1,209億20百万円 | 436億5百万円 |
| リース業 | 102億40百万円 | 5億6百万円 |
| その他 | 56億41百万円 | 309億19百万円 |
(注)銀行業のセグメント利益は前年同期比 137億61百万円 増、リース業は前年同期比 1億21百万円 増。その他セグメント利益にはセグメント間取引消去前の内部利益が含まれている。
中核の銀行業では、貸出金が前年度末比 193億円 増加し 11兆2,047億円 となったほか、国債等債券売却益や株式売却益が利益を押し上げた。預金等は前年度末比 743億円 減少し 12兆3,123億円 となったが、金利上昇を背景に資金運用収益は堅調に拡大している。リース業では新規連結の東京ガスリースの寄与もあり増収増益を確保した。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業 | 1,219億円 | 88% | 436億円 | 35.8% |
| リース業 | 105億円 | 8% | 5億円 | 4.8% |
| その他 | 345億円 | 4% | 309億円 | 89.7% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は 15兆9,229億円 と前連結会計年度末比 930億円 減少した。現金預け金が大幅に減少した一方、有価証券は 3兆744億円 と 769億円 増加し、貸出金は 193億円 増加した。純資産は 1兆2,795億円 と同 476億円 増加し、その他有価証券評価差額金の拡大(前年度末比 292億円 増の 2,132億円)が寄与した。自己資本比率は 8.0% と前期末の 7.7% から改善している。
資本政策では、2026年8月6日付の取締役会決議に基づき、上限1,000万株・300億円 の自己株式取得を発表した。取得期間は2026年8月7日から9月18日までと短期間で、機動的な資本政策を打ち出した。また、年間配当は前期実績の 80円 から 108円 へ 28円 の大幅増配を予定しており、株主還元を加速させている。
リスクと課題
しずおかFGが直面するリスクとして以下の点が挙げられる。
- 金利動向と預金コスト: 日銀の利上げ基調が続く中、預金利息などの資金調達費用は前年同期比 32億19百万円 増加し 238億60百万円 となった。今後さらに預金金利が上昇した場合、資金利益の押し下げ要因となる。
- 有価証券運用のボラティリティ: 当期は株式等売却益や債券売却益が利益を大きく押し上げたが、こうした一時的な売却益に依存する収益構造は不安定で、市場環境の悪化時には逆に損失を計上する可能性がある。
- 地元経済の減速: 静岡県経済は緩やかに回復しているものの、住宅投資の弱さや中東情勢の影響が懸念材料として挙げられている。与信費用が想定以上に増加するリスクにも注意が必要である。
- 競争環境: メガバンクやネット銀行との競合、フィンテック企業の台頭により、伝統的な銀行ビジネスの収益性が低下する可能性がある。
通期見通し
2026年5月12日に公表した通期連結業績予想を、第1四半期の好調な実績を踏まえて上方修正した。修正の主因は、株式等売却益の拡大と資金利益の堅調な推移である。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 経常利益 | 1,520億円 | 1,670億円(+150億円) | 1,303億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,050億円 | 1,150億円(+100億円) | 903億円 |
(注)前期実績は2026年3月期の数値。経常利益は前期比 28.2% 増、当期純利益は同 27.1% 増の見込み。
戦略トピック
2026年8月6日、取締役会の書面決議により、上限1,000万株・取得総額300億円 の自己株式取得を決定した。取得期間は約1か月半と短期集中型で、株主価値向上への強いコミットメントを示している。今回の決算発表と同時に増配予想も発表しており、資本効率の改善と株主還元の強化を加速させる意図がうかがえる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
3,267円
最新終値(2026/10/23)
2,894円-11.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#しずおかFG#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#上方修正#自社株買い#増配#地方銀行#銀行業績
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
しずおかFGの決算は、金利上昇局面における資金利益の拡大と戦略的な有価証券売却益の計上により、目を見張る好決算となった。コア業務純益の持続力は今後の金利動向次第だが、現在のところ収益力は盤石に見える。ただし、今回の増益は一時的な株式売却益に大きく依存しており、その持続性には疑問符が付く。預金コストの上昇を吸収できるだけの貸出金利の転嫁が進んでいるかも注視したい。自社株買いと増配は株主還元への強い意志の現れだが、一層のROE改善と資本効率向上が求められる。静岡県の地域経済も底堅いが、住宅投資の弱さなど懸念材料は残る。全体として、地方銀行の中ではトップクラスの収益性を誇るが、投資判断には今後のコア収益のトレンドを見極める必要がある。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/shizuoka-fg/report/2027-Q1







