セコム、2027年3月期第1四半期決算、売上高過去最高も純利益3.4%減

セコムの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が2,984億円(前年同期比3.6%増)で過去最高を更新した一方、純利益は240億円(同3.4%減)と減益。営業利益は334億円(同3.9%増)と堅調だったが、投資運用益の減少や保険損害が利益を圧迫。主力のセキュリティサービスや防災が成長を牽引した。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,985億円 | +3.6% | 1.3兆円 | 23% |
| 営業利益 | 335億円 | +3.9% | 1,655億円 | 20% |
| 純利益 | 241億円 | -3.4% | 1,058億円 | 23% |
| 営業利益率 | 11.2% | |||
業績のポイント
セコムの2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)決算は、売上高が2,984億円(前年同期比3.6%増)となり、第1四半期として2期連続の過去最高売上高を達成した。営業利益は334億円(同3.9%増)で、セキュリティサービス事業や防災事業の採算改善が寄与し、本業の収益力は堅調に推移した。一方、経常利益は390億円(同0.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は240億円(同3.4%減)と、利益面では前年同期を下回った。これは、米国などの投資事業組合運用益が17億円減少したことや、保険事業で自然災害による損害が増加したことが主因である。
なお、四半期包括利益は363億円(前年同期比94.9%増)と大幅に増加した。保有する有価証券の評価差額が改善したことが背景で、企業価値の裏付けとなる資産面は強化された形だ。国内景気は雇用・所得環境の改善を背景に設備投資や個人消費に回復の動きが見られたが、中東情勢や金融市場の変動リスクは依然として残る。セコムグループは「先回りの安心」を掲げる長期ビジョンと中期ロードマップのもと、事業所向けセキュリティシステム「AZ」や家庭向けの「セコム・ホームセキュリティNEO」の拡販に注力しており、契約収入の継続的な積み上げが業績の下支えとなっている。
セグメント別動向
当第1四半期の報告セグメント別売上高と営業利益は下表のとおり。
| セグメント | 売上高 (億円) | 前年同期比 | 営業利益 (億円) | 営業利益率 | 売上構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| セキュリティサービス | 1,640 | +2.1% | 319 | 19.5% | 55.0% |
| 防災 | 400 | +13.9% | 12 | 3.2% | 13.4% |
| メディカルサービス | 232 | +5.4% | 16 | 7.2% | 7.8% |
| 保険 | 148 | +8.2% | 23 | 15.5% | 5.0% |
| 地理空間情報サービス | 99 | +6.8% | △15 | — | 3.3% |
| BPO・ICT | 317 | △1.6% | 23 | 7.3% | 10.6% |
| その他 | 145 | △2.1% | 21 | 14.7% | 4.9% |
| 調整額・全社費用 | — | — | △66 | — | — |
| 合計 | 2,984 | +3.6% | 334 | 11.2% | 100.0% |
セキュリティサービスは、事業所向けや家庭向けのオンラインセキュリティシステムの販売が堅調で、集配金サービスを手掛ける子会社の増収も寄与し、売上高は1,640億円(前年同期比2.1%増)、営業利益は319億円(同2.6%増)と安定的に成長した。顔認証搭載の「ホームセキュリティNEO」など高付加価値システムの提案強化が続く。
防災は火災報知設備や消火設備の案件が好調で、売上高が400億円(同13.9%増)と大きく伸び、営業利益は原価率改善により12億円(同411.0%増)と急改善した。もっとも、当事業は建設業界の影響を受け、収益が期末に集中する季節性がある。
メディカルサービスは医療機器販売が好調で、インドの総合病院子会社の増収もあり、売上高232億円(同5.4%増)、営業利益16億円(同5.8%増)。
保険は火災保険や自動車保険の販売が堅調で売上高は148億円(同8.2%増)だったが、自然災害による損害増加で営業利益は23億円(同24.3%減)と減益。
地理空間情報サービスは国内公共部門や海外が増収したが、15億円の営業損失(前年同期は17億円の損失)と赤字が続く。主要取引先の官公庁の予算執行期が期末に偏るため、下期に収益が集中する構造だ。
BPO・ICTは前期のサーバー特需の反動減とBPO子会社の減収で売上高317億円(同1.6%減)となったが、原価率改善や販管費削減により営業利益は23億円(同21.1%増)と増益を確保した。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| セキュリティサービス | 1,640億円 | 55% | 319億円 | 19.5% |
| 防災 | 400億円 | 13% | 13億円 | 3.2% |
| メディカルサービス | 233億円 | 8% | 17億円 | 7.2% |
| 保険 | 149億円 | 5% | 23億円 | 15.5% |
| 地理空間情報サービス | 99億円 | 3% | -1,565百万円 | - |
| BPO・ICT | 317億円 | 11% | 23億円 | 7.3% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は2兆1,786億円と、前期末比2.3%減(514億円減)となった。流動資産が6.5%減の9,175億円となった主因は、売掛金や契約資産が期末から34.9%減の1,177億円と大きく減少したことで、これは季節的な回収によるものだ。固定資産は投資有価証券の増加などで1.0%増の1兆2,611億円。負債は支払手形や未払法人税等の減少で5.8%減の6,883億円。純資産は1兆4,903億円で、自己株式取得やその他有価証券評価差額金の増加などにより内容に変動があった。
同社は2026年5月の取締役会で自己株式の取得を決議し、当四半期に224億円の自己株式を取得した。これにより自己株式は2,590億円に積み上がり、1株当たり純資産の向上に寄与している。キャッシュ・フロー計算書は作成されていないが、減価償却費は173億円、のれん償却額は17億円で、ともに前年から増加。設備投資やM&Aを通じた成長投資が継続されていることがうかがえる。
配当予想は第2四半期末50円、期末60円の年間120円(前期比20円増配)と、株主還元の強化が打ち出されている点は評価できる。
リスクと課題
決算短信では、事業全般に影響を及ぼしうるリスクとして、国内外の経済情勢、市場動向、法規制の変更、災害等の発生、販売商品に関するリコール、その他の偶発事象が列挙されている。特に第1四半期では保険事業における自然災害損害の増加が利益を圧迫しており、気候変動に伴う災害リスクは引き続き注視が必要だ。また、地理空間情報サービスは官公庁需要の季節偏重による赤字が慢性化しており、民間需要の開拓や海外展開の加速が黒字化に向けた課題である。投資事業組合運用益の減少に見られるように、市況悪化時の金融収益変動リスクも利益を左右する要因であり、本業の収益力強化が求められる。
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想は、2026年5月12日公表値から変更されていない。売上高は前期比4.5%増の1兆3,135億円、営業利益は同3.2%増の1,655億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同6.1%増の1,058億円を見込む。第1四半期の進捗率は売上高で22.7%、営業利益で20.2%と順調な滑り出しであり、防災事業の下期偏重などを踏まえれば、通期達成の蓋然性は高い。
| 項目 | 前期実績 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,256,000百万円 | 1,313,500百万円 | +4.5% |
| 営業利益 | 160,300百万円 | 165,500百万円 | +3.2% |
| 純利益 | 99,700百万円 | 105,800百万円 | +6.1% |
(注)前期実績は2026年3月期の数値を百万円単位に換算。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
6,839円
最新終値(2026/10/23)
6,760円-1.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#セコム#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#自社株買い#増配#防災#セキュリティ#保険
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コメント
セコムの第1四半期は、売上高こそ過去最高を更新したものの、利益面では投資運用益の減少や保険損害が足を引っ張る形となり、やや冴えない印象だ。しかしながら、本業の稼ぐ力は底堅く、セキュリティと防災の成長は持続的と見る。特に防災事業の営業利益率は前年同期比411%増と急改善しており、今後の収益貢献が期待される。
一方で、BPO・ICTの売上減が示すように、前期の特需反動は想定内としても、デジタル領域の成長シナリオにはやや不透明感が残る。自己株式取得と増配は株主還元姿勢の表れだが、地理空間情報サービスの赤字解消や保険のリスク管理強化など、ポートフォリオ経営の質的向上が今後の焦点となるだろう。通期予想の達成は可能と見るが、為替や自然災害の動向には注意が必要だ。
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