サンドラッグ・2026年3月期第3四半期、営業利益4.9%増の365億円——食品の価格改定が寄与し、ディスカウント事業が大幅増益
売上高
6,357億円
+5.3%
通期予想
8,500億円
営業利益
365億円
+4.9%
通期予想
473億円
純利益
242億円
+1.7%
通期予想
317億円
営業利益率
5.7%
ドラッグストア大手のサンドラッグが12日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 5.3%増 の 6,357億円、営業利益が 4.9%増 の 365億円 と増収増益を確保した。暖冬の影響で主力である風邪薬などの季節商品が苦戦したものの、食品を中心とした単価上昇が売上を押し上げ、利益面でも仕入れ条件の改善が功を奏した。特に連結子会社のダイレックスが手掛けるディスカウントストア事業が、食品需要の取り込みにより営業利益 11.7%増 と全体の成長を牽引している。
業績のポイント
当第3四半期累計期間の業績は、売上高が 635,707百万円(前年同期比 5.3%増)、営業利益が 36,538百万円(同 4.9%増)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益も 24,231百万円(同 1.7%増)と堅調に推移している。消費者の節約志向が長期化するなか、グループ全体で 44店舗 の新規出店と 71店舗 の改装を実施し、利便性と専門性を高めたことが顧客支持に繋がった。
利益面では、原材料価格の高騰を受けた食品の価格改定(単価上昇)がプラスに働いたほか、取引条件の改善によって売上総利益率が向上した。一方で、冬場の気温が高めに推移したことで、高単価な風邪薬や季節家電の需要が伸び悩む局面も見られた。外部環境の逆風を、ディスカウント事業の好調とオペレーションの効率化で跳ね返した形だ。
| 指標 | 2025年3月期Q3 | 2026年3月期Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,035億円 | 6,357億円 | +5.3% |
| EBITDA | 474億円 | 503億円 | +6.0% |
| 営業利益 | 348億円 | 365億円 | +4.9% |
| 四半期純利益 | 238億円 | 242億円 | +1.7% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力のドラッグストア事業は、売上高 4,072億円(前年同期比 4.2%増)、セグメント利益 212億円(同 0.6%増)となった。前年の「第5類」移行後の反動もあり、風邪薬を中心とした冬物季節商材は減少したが、食料品の単価上昇や備蓄米の供給実施が売上を支えた。仕入れ価格の交渉により売上総利益率は 0.2ポイント向上 し、コスト増を吸収して微増益を確保した。
ディスカウントストア事業(ダイレックス)は、売上高 2,746億円(前年同期比 7.1%増)、セグメント利益 152億円(同 11.7%増)と極めて好調であった。食品部門が単価上昇の影響を受けて堅調に推移したことに加え、ドラッグ商材の取引条件改善が寄与し、売上総利益率は 0.3ポイント向上 している。低価格志向の強まりを背景に、食品と医薬品を併売する強みが一段と際立つ結果となった。
| セグメント名 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| ドラッグストア | 4,072億円 | +4.2% | 212億円 | +0.6% |
| ディスカウントストア | 2,746億円 | +7.1% | 152億円 | +11.7% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ドラッグストア事業 | 4,072億円 | 60% | 213億円 | 5.2% |
| ディスカウントストア事業 | 2,746億円 | 40% | 153億円 | 5.6% |
財務状況と資本政策
2025年12月末時点の総資産は、前連結会計年度末比 261億円 増の 4,701億円 となった。新規出店に伴う有形固定資産の取得や、在庫確保による商品の増加が主な要因である。負債についても、買掛金の増加などにより 170億円 増の 1,913億円 となっている。
自己資本比率は 59.3% と、前年度末の 60.7% から微減したものの、依然として業界内で高い水準を維持している。株主還元については、当期の年間配当を前期比1円増の 131円(中間65円・期末予想66円)とする方針を据え置いた。キャッシュの使途として、成長のための店舗投資を優先しつつ、安定的な増配継続を目指す経営姿勢が明確になっている。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年5月に発表した数値を据え置いた。売上高は 8,500億円(前期比 6.0%増)、営業利益は 473億円(同 6.3%増)を見込む。第3四半期時点での進捗率は、営業利益ベースで 77.2% となっており、計画達成に向けて概ね順調なペースで推移している。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想(修正なし) | 前期実績(2025/3) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,500億円 | 8,500億円 | 8,019億円 |
| 営業利益 | 473億円 | 473億円 | 445億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 317億円 | 317億円 | 307億円 |
リスクと課題
今後の経営環境における主な懸念点として、会社側は以下の項目を挙げている。
- 競争の激化: 同業他社との出店競争に加え、大手同士の業界再編による規模の経済を活かした競争環境の変化。
- 外部環境の変化: 物価上昇を背景とした消費者の節約志向の長期化や、米国の通商政策に起因する景気の不透明感。
- 季節変動リスク: 暖冬などの異常気象による季節商品の需要減少。
- 法規制: 医薬品販売に関する法改正や規制強化への対応コスト。
サンドラッグの強みは、伝統的なドラッグストアと、子会社ダイレックスによる「ディスカウントストア(DS)」の二段構えのポートフォリオにあります。
今回の決算では、気温の影響を受けやすいドラッグストア部門の鈍化を、食品構成比の高いDS部門が補う「相互補完」が完璧に機能しました。特にDS事業の営業利益率が単価上昇と条件改善で大きく伸びている点は、物価高局面における同社のレジリエンス(適応力)を示しています。
- 注目すべきは利益率の改善です。両セグメントで売上総利益率が向上しており、これは業界再編が進む中で、同社が仕入れ先に対して強い交渉力を維持している証左と言えます。
- 今後の焦点は、現在進行中の業界再編(ツルハHDとウエルシアHDの経営統合など)に対し、独立路線を維持しつつ、いかに独自の「DS融合モデル」でシェアを拡大し続けるかにあるでしょう。
