イオン株式会社 の会社詳細
イオン株式会社
イオン
2026年2月期 第3四半期

イオン・2026年2月期Q3、営業収益・営業利益が過去最高を更新——ドラッグストアとモール事業が利益を牽引

イオン
過去最高益
ドラッグストア
ツルハHD
株式分割
トップバリュ
小売業界
M&A
ウエルシア
イオンモール
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

7.7兆円

+3.7%

通期予想

10.7兆円

進捗率72%

営業利益

1,447億円

+23.1%

通期予想

2,750億円

進捗率53%

純利益

-10,928百万円

通期予想

700億円

進捗率-16%

営業利益率

1.9%

イオンが14日に発表した2026年2月期第3四半期(2025年3月〜11月)決算は、営業収益が前年同期比 3.7%増7兆7,494億円、営業利益が同 23.1%増1,447億円 となり、いずれも過去最高を更新しました。物価高の影響で消費者の節約志向が続く中、プライベートブランド「トップバリュ」の拡販や大規模セールが奏功し、全セグメントで増収を確保しています。純損益は 109億円の赤字(前年同期は174億円の赤字)となりましたが、本業の稼ぐ力は着実に高まっており、通期での黒字化に向けて改善が進んでいます。

業績のポイント

主力である小売事業において、物価上昇による「消費の二極化」に対応した戦略が功を奏しました。食品や衣料品での買い控えが見られる中、増量企画や値下げを実施したプライベートブランド(PB)「トップバリュ」が支持を集め、客数の維持に貢献しています。

利益面では、光熱費や人件費といったコスト増を、高収益なディベロッパー事業や金融事業の成長で補う「マルチフォーマット」の強みが発揮されました。特にドラッグストアを展開するヘルス&ウエルネス事業が大幅な増益を記録し、グループ全体の利益水準を押し上げています。純利益については、法人税等の計上により赤字となりましたが、前年同期比で 65億円の損益改善 となっており、構造改革の成果が現れています。

項目2025年2月期 Q32026年2月期 Q3前年同期比
営業収益7兆4,705億円7兆7,494億円+3.7%
営業利益1,175億円1,447億円+23.1%
経常利益1,020億円1,271億円+24.5%
親会社株主に帰属する四半期純利益△174億円△109億円

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

全セグメントで増収を達成しましたが、利益面では事業ごとに明暗が分かれる結果となりました。

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益が 1兆152億円(前年同期比 +2.7%)、営業利益が 273億円(同 +20.7%)と好調でした。ウエルシアホールディングスにおける調剤部門の伸長やPB商品の拡販が寄与したほか、将来的なツルハホールディングスとの経営統合を見据えた効率化が進んでいます。

ディベロッパー事業(イオンモール等)は、営業利益が前年同期から 106億円増加493億円(同 +27.5%)と、過去最高を更新しました。国内外での来店客数の回復に加え、ブラックフライデーなどのイベント集客が専門店売上を押し上げ、賃料収入の増加に直結しました。

GMS(総合スーパー)事業は、営業収益 2兆7,226億円(同 +4.1%)を確保し、営業損失は前年の192億円から 116億円 へと大幅に縮小しました。衣料品や住居余暇関連で苦戦したものの、食品でのPB比率上昇による利益率改善が赤字幅の圧縮に貢献しています。

DS(ディスカウントストア)事業は、営業収益 3,227億円(同 +5.8%)と増収でしたが、営業利益は 44億円(同 -5.2%)の減益となりました。店舗の屋号統一に伴う一時的な費用や、物流・人件費の上昇が利益を圧迫した形です。

セグメント営業収益前年同期比営業利益前年同期比
GMS2兆7,226億円+4.1%△116億円
SM (スーパー)2兆3,016億円+2.8%132億円+13.6%
ヘルス&ウエルネス1兆152億円+2.7%273億円+20.7%
総合金融4,188億円+8.3%404億円+5.5%
ディベロッパー3,868億円+5.2%493億円+27.5%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
GMS事業2.7兆円35%-11,645百万円-0.4%
SM事業2.3兆円30%132億円0.6%
ヘルス&ウエルネス事業1.0兆円13%273億円2.7%
総合金融事業4,188億円5%405億円9.7%
ディベロッパー事業3,868億円5%493億円12.7%

財務状況と資本政策

総資産は、前連結会計年度末から 8,594億円増加 し、14兆6,927億円 となりました。有価証券の取得や銀行業における貸出金の増加が主な要因です。一方、純資産は 1,980億円 となり、自己資本比率は金融事業を除いたベースで 14.8%(前期末比+0.6ポイント)と、一定の財務健全性を維持しています。

資本政策では、2025年9月1日付で実施した1株につき3株の株式分割が大きなトピックです。これにより投資家層の拡大を図るとともに、配当についても実質的な増配を維持する方針を示しました。また、2026年1月にはツルハホールディングスの連結子会社化に向けた公開買付け(TOB)が完了しており、今後は国内最大のドラッグストア連合としてのシナジー創出を加速させる経営判断を下しています。

リスクと課題

今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられています。

  • エネルギーコストと人件費の動向: 電気料金の上昇や賃上げに伴うコスト増が、特に利益率の低いSMやDS事業の重石となっています。
  • 消費者のさらなる節約志向: 実質賃金の伸び悩みにより、生活必需品以外での買い控えが長期化するリスクがあります。
  • 中国・アセアン経済の不透明感: 海外ディベロッパー事業が成長の柱となっている一方、中国経済の減速や地政学リスクがテナント収入に影響を及ぼす可能性があります。

通期見通し

2026年2月期の通期連結業績予想については、前回発表の数値を据え置いています。売上高にあたる営業収益は 10兆7,000億円 と、国内小売業として初の10兆円台突破を見込みます。下期はツルハHDの連結化による上乗せ効果も期待されますが、現時点では価格競争の激化を考慮し、慎重な見通しを維持しています。

項目前回予想今回予想(据置)前期実績前期比
営業収益10兆7,000億円10兆7,000億円9兆5,535億円+5.6%
営業利益2,750億円2,750億円2,508億円+15.7%
純利益600〜700億円600〜700億円446億円+34.3%〜
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、「マルチフォーマット戦略」の結実です。原材料高や人件費高騰で小売単体(GMS/SM)の利益が出にくい中、営業利益の多くをショッピングモール(ディベロッパー)とドラッグストア、金融で稼ぎ出す構造がより鮮明になりました。

特にツルハHDの連結子会社化は、国内小売勢力図を塗り替える巨大な一手です。調剤やPB「トップバリュ」の供給を通じて、マージンの高いヘルスケア領域をグループの新たな成長エンジンに据える意図が明確に読み取れます。

懸念点は、首都圏でのネットスーパー事業「グリーンビーンズ」をはじめとするデジタル投資の回収時期です。これら先行投資を、好調なディベロッパー事業のキャッシュでどこまで支え、早期に利益貢献させられるかが、次の中期経営計画に向けた焦点となるでしょう。