サントリー食品インターナショナル株式会社 の会社詳細
サントリー食品インターナショナル株式会社
サントリー食品インターナショナル
2025年12月期

サントリー食品・2025年12月期、営業利益7.2%減の1,487億円——アジア不振とコスト高が重石、26年度は増益回復へ

サントリー食品
増収減益
アジア市場不振
原材料高
価格改定
組織再編
配当維持
飲料業界
IFRS
構造改革
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1.7兆円

+1.1%

通期予想

1.8兆円

進捗率94%

営業利益

1,487億円

-7.2%

通期予想

1,550億円

進捗率96%

純利益

887億円

-5.1%

通期予想

890億円

進捗率100%

営業利益率

8.7%

サントリー食品インターナショナルが12日に発表した2025年12月期連結決算は、売上収益が前年比 1.1%増1兆7,154億円 となった一方、営業利益は同 7.2%減1,487億円 にとどまった。欧州や米州での価格改定が寄与したものの、主力の日本市場での原材料高や、アジアパシフィック地域での消費低迷が響き、全体として「増収減益」の着地となった。2026年12月期は、地域別の組織再編を通じた機動力向上により、営業利益 1,550億円 への反転増勢を見込む。

業績のポイント

当連結会計年度(2025年12月期)の業績は、売上収益が 1兆7,154億3,800万円 (前年比 +1.1% )、営業利益が 1,487億3,900万円 (同 -7.2% )となった。親会社の所有者に帰属する当期利益は 887億2,300万円 (同 -5.1% )となり、利益面で苦戦を強いられた形だ。

増益を阻んだ最大の要因は、アジアパシフィック事業における「市場環境の変化への対応遅れ」だ。ベトナムやタイでの消費低迷や天候不順が響き、この地域の利益が大きく落ち込んだ。加えて、世界的なインフレに伴う原材料価格の維持や物流費の高騰が、売上の伸びを相殺した格好となっている。

一方で、欧州市場ではブランド強化と価格改定が浸透し、増収増益を確保した。日本国内でも「サントリー天然水」や「BOSS」などの主要ブランドが堅調に推移しており、コストマネジメントを徹底することで利益の下支えを図っている。

指標2024年12月期2025年12月期増減率
売上収益1兆6,967億円1兆7,154億円+1.1%
営業利益1,602億円1,487億円△7.2%
親会社所有者帰属当期利益934億円887億円△5.1%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

日本事業は、売上収益が 7,351億8,800万円 (前年比 +0.5% )、セグメント利益は 469億5,000万円 (同 -4.3% )となった。価格改定や商品構成の改善が売上を支えたものの、原材料・物流費の高騰が利益を押し下げた。「サントリー天然水」は1Lサイズが好調だったほか、「特茶」ブランドから新カテゴリー「特水」を投入するなど、新たな需要開拓を加速させている。

アジアパシフィック事業は、売上収益が 3,940億5,700万円 (同 -2.0% )、セグメント利益が 425億1,600万円 (同 -6.4% )と「減収減益」に沈んだ。ベトナムでの競争激化やタイでの天候不順が要因だ。一方、オセアニアではエナジードリンク「V」が伸長し、健康食品事業もタイ国内で堅調な推移を見せるなど、一部地域では成長の兆しも見られた。

欧州事業は、売上収益が 3,902億200万円 (同 +6.0% )、セグメント利益は 615億5,900万円 (同 +2.0% )と好調だった。フランスでの砂糖税増税に伴う販売減を価格改定で補い、イギリスでは「Lucozade」の積極的な販促活動が奏功した。米州事業は、人件費等のコスト高を抱えつつも、炭酸・エナジーカテゴリーの堅調な推移により売上収益 1,959億9,000万円 (同 +0.6% )を維持している。

セグメント売上収益前年同期比営業利益前年同期比
日本7,352億円+0.5%470億円△4.3%
アジアパシフィック3,941億円△2.0%425億円△6.4%
欧州3,902億円+6.0%616億円+2.0%
米州1,960億円+0.6%235億円△0.7%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
日本事業7,352億円43%470億円6.4%
アジアパシフィック事業3,941億円23%425億円10.8%
欧州事業3,902億円23%616億円15.8%
米州事業1,960億円11%235億円12.0%

財務状況と資本政策

当期末の資産合計は、前年末比1,600億円増の 2兆2,180億円 となった。主要通貨の円安進行に伴う為替影響に加え、有形固定資産や売上債権が増加した。親会社所有者帰属持分比率は 59.3% (前年末は58.8%)と、引き続き「極めて健全な財務水準」を維持している。

キャッシュ・フロー面では、営業活動により 1,593億円 のキャッシュを創出したが、前期の1,937億円からは減少した。これは法人所得税の支払いや、売上債権の増加に伴う運転資本の変動によるものだ。投資活動では有形固定資産の取得等で 887億円 を支出した一方、財務活動では配当金の支払いや借入金の返済に 840億円 を充てている。

配当については、1株当たり年間 120円 (中間60円、期末60円)を維持した。連結配当性向は 41.8% となり、同社が目安とする「40%以上」の目標をクリアした形だ。2026年12月期も年間 120円 の配当を維持する方針を示しており、安定的な株主還元を継続する姿勢を鮮明にしている。

通期見通しと今後の戦略

2026年12月期の連結業績予想は、売上収益が前期比 6.4%増1兆8,260億円 、営業利益は同 4.2%増1,550億円 と、「増益への転換」を見込む。インフレによるコスト増は続くものの、機動的な価格戦略と、2026年1月1日付で実施した組織再編による地域経営の深化で乗り切る構えだ。

注目の戦略トピックとして、2026年度より報告セグメントを「日本」「欧州」「アジア」「オセアニア」「米州」の5区分に細分化した。従来のアジアパシフィックを「アジア」と「オセアニア」に分けることで、各地域の特性に合わせた迅速な意思決定を可能にする狙いがある。特にアジア地域では「Sting」や「TEA+」といったコアブランドのテコ入れを急ぐ方針だ。

項目2024年12月期実績2025年12月期実績2026年12月期予想
売上収益1兆6,968億円1兆7,154億円1兆8,260億円
営業利益1,602億円1,487億円1,550億円
当期利益935億円887億円890億円

リスクと課題

同社が直面する主なリスクとして、以下の3点が挙げられる。

  • 原材料・物流コストの変動: インフレ継続によるアルミ缶やPET樹脂、エネルギー価格の高騰が利益率を圧迫する懸念がある。
  • 消費行動の多様化と競争激化: 特にベトナムなどの成長市場において、競合他社とのシェア争いや節約志向による需要減がリスクとなる。
  • 為替変動の影響: 海外売上高比率が高いため、想定レート(1ドル150円、1ユーロ180円)から大幅に円高へ振れた場合、業績を押し下げる要因となる。

これらの課題に対し、同社は「オーガニック成長」「構造改革の加速」を掲げている。日本国内の自販機事業の効率化や、サプライチェーンの抜本的な見直しを通じて、収益構造の強靭化を図る計画だ。

AIアナリストの視点

サントリー食品の今回の決算は、世界的なインフレとアジア市場の変調という「外風」の厳しさを、欧州や日本の「内実」で補いきれなかった印象を受けます。

特に注目すべきは、2026年度からのセグメント再編です。不振のアジアパシフィックを切り分けることで、成長余力の大きいアジアと安定収益のオセアニアを明確に峻別し、戦略の精度を高める狙いが見て取れます。

投資家の視点では、利益が減少した局面でも配当性向40%以上を維持し、120円配当を守り抜いた点は評価材料でしょう。今後は「特茶」のような高付加価値商品によるマージン改善と、アジア事業のV字回復が達成できるかが焦点となります。就活生にとっては、日本国内の安定感だけでなく、海外の課題に対して組織を組み替えて立ち向かう「グローバル企業としての変革スピード」に注目すべき決算です。