タクマ、2027年3月期第1四半期決算、営業利益3.2倍で通期予想据え置き
タクマの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比32.9%増、営業利益が223.4%増、純利益が146.0%増となる増収増益でした。国内の環境・エネルギー事業で、受注済みプラントの工事が大きく進み、売上高と利益を押し上げました。通期予想は変更せず、工事の引き渡しが年度末に集中する事業特性を踏まえ、今後の進捗を見極めます。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 405億円 | +32.9% | 1,910億円 | 21% |
| 営業利益 | 33億円 | +223.4% | 178億円 | 18% |
| 純利益 | 26億円 | +146.0% | 154億円 | 17% |
| 営業利益率 | 8.1% | |||
この決算のポイント
- 1国内環境・エネルギー事業の増益が寄与し、経常利益は前年同期比175.8%増
- 2国内事業の受注高は前年同期に大型受注があった反動で837億円減
- 3環境・エネルギー事業の受注残高は7,324億円、前年同期比では減少
- 4年間配当予想は108円で、前期実績の93円から15円増配
- 5取締役会決議に基づき自己株式を取得、取得と消却の方針も決議
業績のポイント
タクマ(株式会社タクマ)の2027年3月期第1四半期は、売上高404億円(前年同期比32.9%増)、営業利益32億円(同223.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益26億円(同146.0%増)でした。経常利益も37億円と前年同期比175.8%増となり、利益の伸びが売上高の伸びを上回りました。
- 国内環境・エネルギー事業: 受注済みプラントの進捗で売上高が前年同期比103億円増。営業利益も21億円増となり、全社の増益をけん引しました。
- 受注の反動: 受注高は前年同期比860億円減。前年にごみ処理プラントのDBO事業やバイオマス発電プラントの新設など大型案件を受注した反動が主因です。
- 利益率の改善: 営業利益率は8.1%と、前年同期の3.3%から上昇しました。売上高の増加に対し、販売費及び一般管理費の増加が小幅にとどまったことも利益拡大につながっています。
国内プラント工事の進捗が利益を押し上げた一方、受注高は大型案件の有無によって振れました。第1四半期の受注減だけで需要全体の落ち込みとは判断しにくく、受注残高の推移と新規案件の獲得状況を合わせて見る必要があります。
セグメント別動向
環境・エネルギー(国内)事業は、前年同期に大型のDBO事業などを受注した反動で受注高が838億円減となりました。一方、受注済みプラントの工事が進み、売上高は103億円増、営業利益は21億円増でした。国内事業の受注残高は7,325億円で、引き続き大きな工事案件を抱えています。
環境・エネルギー(海外)事業は、メンテナンス受注が増え、受注高は前年同期比4億円増でした。しかし、新設プラント工事の減少で売上高は4億円減となり、営業損失は前年同期の0.3億円から0.7億円へ拡大しました。保守案件の積み上げに加え、新設案件の進捗が今後の採算改善の焦点です。
民生熱エネルギー事業は、前年同期にIHI汎用ボイラの子会社化に伴う受注計上があったため、受注高は27億円減でした。一方、案件の進捗で売上高は3億円増となり、前年同期の営業損失1億円から営業黒字に転じました。
設備・システム事業は、建築設備事業の受注増などで受注高が1億円増となりました。建築設備事業の売上減少で売上高は2億円減でしたが、案件構成の変化により営業利益は前年同期から0.9億円増となりました。セグメントごとに受注と売上の動きが異なり、国内の大型工事進捗への依存度が高い四半期でした。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 環境・エネルギー(国内)事業 | 335億円 | 83% | 39億円 | 11.8% |
| 環境・エネルギー(海外)事業 | 5億円 | 1% | -69百万円 | -12.6% |
| 民生熱エネルギー事業 | 51億円 | 13% | 1億円 | 2.7% |
| 設備・システム事業 | 13億円 | 3% | 85百万円 | 6.5% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1,801億円で、2026年3月末から104億円減少しました。自己資本比率は61.3%となり、前期末から2.2ポイント上昇しています。
| 項目 | 2026年6月末・第1四半期 | 前期末・前期実績との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,801億円 | 104億円減 |
| 自己資本比率 | 61.3% | 2.2ポイント上昇 |
| 現金及び預金 | 556億円 | 153億円増 |
| 年間配当予想 | 108円 | 前期実績93円から15円増 |
| 自己株式取得 | 45万9,800株 | 取得などで自己株式が17億円増 |
現金及び預金が増えた一方、売掛金や契約資産が338億円減少し、資産全体は縮小しました。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、現金残高の増加をそのまま営業キャッシュ・フローの改善とみなすことはできません。配当予想は中間54円、期末54円で、会社は自己株式の取得と消却も決議しており、株主還元を進めています。
通期見通し
タクマは2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。第1四半期の業績は堅調に推移したものの、工事の進捗や引き渡しが第4四半期に集中しやすいため、会社は年次で業績を管理しています。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 191,000 | 191,000 | +15.3% |
| 営業利益(百万円) | 17,800 | 17,800 | +15.5% |
| 経常利益(百万円) | 18,500 | 18,500 | +13.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 15,400 | 15,400 | +12.1% |
第1四半期の営業利益は通期予想に対して約18%の進捗ですが、工事の売上計上が年度末に偏る季節性があるため、単純な進捗率だけでは達成可能性を測りにくい点に注意が必要です。通期予想は2026年5月14日に公表した数値から変更しておらず、今後は受注残の消化と工事採算が計画達成のカギとなります。
戦略トピック
タクマは2026年5月の取締役会で自己株式の取得と消却を決議し、第1四半期に自己株式45万9,800株を取得しました。自己株式の取得などにより、貸借対照表上の自己株式は前期末から17億円増加しています。
また、当四半期からカンエイメンテナンスを連結子会社に加えました。一方、IHI汎用ボイラは、連結子会社の日本サーモエナーを存続会社とする吸収合併により連結範囲から外れています。メンテナンス会社の取り込みとボイラ事業の統合は、運営・保守を含む事業基盤の強化につながる可能性があり、今後は連結業績への寄与や統合効果を確認したいところです。
リスクと課題
第1四半期は大幅増益となりましたが、プラント建設の進捗や引き渡し時期によって四半期ごとの業績が変動します。会社自身も、実際の業績はさまざまな要因で予想と異なる可能性があるとしています。
- 工事の進捗・引き渡し時期: 年度末に工事の進捗や引き渡しが集中するため、遅れが生じた場合は売上高や利益の計上時期が後ろ倒しになるおそれがあります。
- 大型案件の受注変動: 前年に大型のDBO事業やバイオマス発電プラントを受注した反動が、今期の受注高減少に表れました。大型案件の獲得状況によって受注高や将来の売上計画が変動します。
- 海外新設案件の低調: 新設プラント工事の減少で海外事業の売上高が落ち、営業損失も拡大しました。メンテナンス受注の増加を、安定した売上や利益につなげられるかが課題です。
- 通期予想の不確実性: 第1四半期の好調を受けても通期予想は据え置かれています。工事採算や進捗などにより、実績が会社予想から大きく異なる可能性があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/3)
3,365円
最新終値(2026/10/23)
2,939円-12.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#タクマ#決算#決算分析#四半期決算#環境プラント#ごみ処理プラント#増収増益#増配#自己株式取得
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コメント
今回の決算は、国内の大型プラント工事が進んだことで利益が大きく伸びた一方、受注高は前年の大型案件の反動で大幅に減りました。四半期の利益成長だけで判断せず、受注残の厚みと新規受注の回復を確認する必要があります。
年間配当の増額と自己株式取得は株主還元面で前向きです。ただし、工事会社の業績は計上時期に左右されやすく、年度末の進捗と海外事業の採算改善が通期予想の確度を見極めるポイントです。
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