タマホーム・2026年5月期Q2、営業赤字11億円に大幅縮小——不動産事業の収益貢献が加速、年間配当は1円増の196円へ
売上高
884億円
-5.7%
通期予想
2,090億円
営業利益
-1,123百万円
通期予想
47億円
純利益
-932百万円
通期予想
14億円
営業利益率
-1.3%
タマホームが発表した2026年5月期第2四半期(2025年6月〜11月)の連結決算は、売上高が前年同期比 5.7%減 の 884億4,300万円 、営業損益は 11億2,300万円の赤字 (前年同期は22億7,900万円の赤字)となった。主力の住宅事業で引渡棟数が減少した一方、不動産事業における戸建分譲やオフィス区分所有権販売が好調に推移し、全体の赤字幅は 前年同期から約半分に縮小 した。通期では増収増益の計画を据え置き、株主還元として 1株当たり196円の年間配当 を維持する方針だ。
業績のポイント
当第2四半期累計期間における業績は、売上高が 884億4,300万円 (前年同期比 5.7%減 )、営業損失が 11億2,300万円 (前年同期は22億7,900万円の損失)となった。売上高の減少は、主力の注文住宅において前期末の受注残高が少なかった影響で、当期間の引渡棟数が伸び悩んだことが主な要因である。一方で、営業赤字が大幅に縮小した背景には、資材価格の高騰に対する価格転嫁や 徹底した原価管理による粗利益率の改善 がある。
中間純損益についても 9億3,200万円の赤字 (前年同期は18億7,600万円の赤字)と、前年同期から大きく改善した。住宅需要そのものは底堅く推移しているものの、顧客の購買意欲が建築コストの上昇や将来的な金利上昇懸念により慎重になっている側面が見受けられる。会社側は、厳しい市場環境下でも 「良質低価格」のブランド力 を武器に、下期に向けた受注・引渡しの加速を目指している。
| 項目 | 前年同期実績 | 当期実績 | 増減額 | 変化率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 93,739 | 88,443 | △5,296 | △5.7% |
| 営業利益 | △2,279 | △1,123 | +1,155 | — |
| 経常利益 | △2,352 | △1,062 | +1,289 | — |
| 中間純利益 | △1,876 | △932 | +943 | — |
※単位:百万円。△は赤字またはマイナス。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力の 住宅事業 は、売上高が 601億5,800万円 (前年同期比 9.9%減 )、セグメント損失は 32億1,900万円 (前年同期は38億1,200万円の損失)となった。注文住宅の引渡棟数が減少したことで減収となったが、リフォーム工事の受注強化や工程管理の効率化により、赤字幅の縮小を実現している。特に 付帯工事の紹介や図面作成の設計支援 など、周辺業務での収益性向上が寄与した。
対照的に、 不動産事業 が強力な成長エンジンとなっている。売上高は 252億500万円 (同 6.4%増 )、セグメント利益は 15億4,300万円 (同 96.1%増 )と大幅な増益を記録した。分譲宅地や戸建分譲の販売が堅調だったことに加え、 オフィスビル区分所有権の販売 が高利益率で推移し、セグメント全体の利益を大きく押し上げた。この「非住宅」領域の強化が、住宅事業の季節性や波を補完する形となっている。
金融事業 および エネルギー事業 は、規模こそ小さいものの安定した利益を創出している。金融事業では住宅購入者向けのつなぎ融資や保険代理店業務を行い、セグメント利益 3,500万円 を確保した。エネルギー事業もメガソーラー発電施設の安定稼働により 1億4,200万円 の利益を計上しており、グループ全体の収益基盤を支えている。
| セグメント | 売上高 | 前年比 | セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅事業 | 60,158 | △9.9% | △3,219 | — |
| 不動産事業 | 25,205 | +6.4% | 1,543 | 6.1% |
| 金融事業 | 410 | △6.6% | 35 | 8.7% |
| エネルギー事業 | 413 | △3.5% | 142 | 34.5% |
※単位:売上高・利益は百万円。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅事業 | 602億円 | 68% | -3,219百万円 | — |
| 不動産事業 | 252億円 | 29% | 15億円 | 6.1% |
| 金融事業 | 4億円 | 1% | 35百万円 | 8.7% |
| エネルギー事業 | 4億円 | 1% | 1億円 | 34.5% |
財務状況と資本政策
2025年11月末時点の総資産は 927億5,100万円 となり、前期末から 4億4,800万円増加 した。流動資産において「仕掛販売用不動産」が 157億3,800万円 (前期末比54億4,800万円増)に増加しており、これは将来の不動産事業の収益源となる分譲物件の開発が積極的に進んでいることを示している。一方で、現金及び預金は配当金の支払いなどにより 269億2,700万円 (同40億7,300万円減)となった。
負債合計は 651億8,900万円 (同71億6,200万円増)に拡大した。これは、今後の引渡し待ち物件にかかる 「未成工事受入金(前受金)」が163億6,100万円 と、前期末から 74億7,400万円増加 したことによるもので、将来の売上計上に向けた「貯金」が増えているというポジティブな側面がある。自己資本比率は 29.7% となり、配当支払いに伴う利益剰余金の減少により前期末の37.1%から低下した。
株主還元については、 年間配当予想を1株当たり196円 とし、前期実績(195円)から1円の増配を予定している。中間期が赤字であっても、通期の業績目標達成に自信を見せており、 配当性向100%程度を意識した高い還元姿勢 を維持している。これは、安定したキャッシュフローを生み出すビジネスモデルへの自信の表れと言える。
通期見通しとリスク要因
2026年5月期の通期連結業績予想は、期初計画を据え置いた。売上高は前期比 4.1%増 の 2,090億円 、営業利益は 14.3%増 の 47億円 を見込む。下期に引渡しが集中する住宅業界特有の季節性があるため、中間期の赤字は想定の範囲内としている。今後は、期末にかけて 「タマホーム・ブランド」の訴求力 を高め、受注残の着実な消化と追加受注の獲得に注力する構えだ。
一方で、経営上の課題やリスクも指摘されている。第一に、国内の 人件費および物流費の上昇 が継続しており、これが工事原価を圧迫する懸念がある。第二に、住宅ローン金利の先高観が顧客の購入判断を遅らせるリスクだ。同社はこれらに対し、工期の短縮や資材の共同調達によるコストダウンを徹底し、価格競争力を維持する方針を示している。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 | 変化率(対前期) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 209,000 | 209,000 | 200,817 | +4.1% |
| 営業利益 | 4,700 | 4,700 | 4,113 | +14.3% |
| 経常利益 | 4,300 | 4,300 | 3,789 | +13.5% |
| 当期純利益 | 1,350 | 1,350 | 1,478 | △8.7% |
※単位:百万円。
タマホームの決算は、表面上の赤字という数字以上に「中身の改善」が目立つ内容でした。特に住宅事業の赤字幅が縮小し、不動産事業が第2の柱として利益を倍増させている点は、多角化戦略が結実しつつあることを示唆しています。
- 主力事業の課題:注文住宅の受注から引渡しまでのリードタイムがあるため、前期の受注減が上期の売上を押し下げましたが、足元の受入金(前受金)が大幅に増えている点は、下期以降の業績回復に向けた強力な先行指標となります。
- 資本政策の注目点:純利益を上回る配当を出す「配当性向100%超」の姿勢は、短期的な利益変動に左右されず、株主へ現金を還元するという強い意志を感じさせます。ただし、自己資本比率が30%を下回っており、今後この還元水準を維持し続けられるか、下期の利益回収が極めて重要になります。
- 就活生への視点:同社は「非住宅」領域(オフィス区分販売など)を新たな成長軸として明確に打ち出しています。住宅一辺倒ではない事業ポートフォリオへの転換期にある点は、同社を志望する上で重要な理解のポイントになるでしょう。
