大和ハウス工業株式会社 の会社詳細
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業
2026年3月期 第3四半期

大和ハウス工業・2026年3月期Q3、売上高4兆302億円で過去最高を更新——米国の戸建・賃貸事業が成長を牽引

大和ハウス工業
増収増益
過去最高売上
米国事業
M&A
記念配当
不動産開発
ゼネコン
ハウスメーカー
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

4.0兆円

+2.0%

通期予想

5.6兆円

進捗率72%

営業利益

3,636億円

+1.8%

通期予想

5,100億円

進捗率71%

純利益

2,254億円

-4.8%

通期予想

2,900億円

進捗率78%

営業利益率

9.0%

大和ハウス工業が13日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 2.0%増4兆302億円 となり、第3四半期として過去最高を更新しました。国内の新設住宅着工が落ち込む厳しい環境下、米国での積極的なM&Aと拠点拡大が奏功したほか、国内外の賃貸住宅事業が利益を大きく押し上げました。純利益は前年同期の退職給付関連の特殊要因により 4.8%減2,253億円 となりましたが、実質的な経営基盤は極めて堅調に推移しています。

大和ハウス工業・2026年3月期Q3、売上高4兆302億円で過去最高を更新——米国の戸建・賃貸事業が成長を牽引

業績のポイント

当第3四半期の業績は、売上高が 4兆302億円(前年同期比 +2.0%)、営業利益が 3,635億円(同 +1.8%)と増収増益を確保しました。国内市場では物価高騰や金利上昇への懸念から住宅着工戸数が減少傾向にありますが、同社は高付加価値な「断熱等級6」の標準化やAIを活用したプラン提案などの差別化戦略により、顧客ニーズを確実に取り込んでいます。

利益面で注目すべきは、親会社株主に帰属する四半期純利益が 2,253億円(同 4.8%減)となった点です。一見すると減益ですが、これは前期に発生した退職給付数理差異の償却(約1,012億円の費用減効果)という特殊な会計要因が剥落したことによるものです。この影響を除いた実質ベースでは、営業利益・純利益ともに前年を大きく上回るペースで成長しており、本業の稼ぐ力は一段と強まっています。

指標2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高3兆9,502億円4兆302億円+2.0%
営業利益3,572億円3,635億円+1.8%
経常利益3,403億円3,353億円△1.4%
四半期純利益2,368億円2,253億円△4.8%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

セグメント別では、賃貸住宅事業が極めて好調でした。売上高は 1兆1,016億円(前年同期比 +13.7%)、営業利益は 1,206億円(同 +29.6%)と大幅な伸びを記録しました。国内での一括借り上げ管理戸数の増加に加え、米国での賃貸住宅開発・運営・売却サイクルが円滑に回っており、グローバルな収益柱としての地位を固めています。

戸建住宅事業も、売上高 8,398億円(同 +9.5%)、営業利益 410億円(同 +10.3%)と堅調でした。特に米国市場において、東部のStanley Martin社など傘下3社を軸にした「スマイルゾーン」でのエリア拡大が奏功しています。2025年9月にはノースカロライナ州などで事業を展開するWindsor Investments社の戸建事業を譲受するなど、継続的なM&Aが成長の原動力となっています。

一方で、事業施設事業は売上高 9,225億円(同 15.1%減)、営業利益 1,116億円(同 19.6%減)となりました。これは物流施設等の開発物件売却が前年同期に比べて減少したことが主因です。ただし、受注そのものは半導体工場や冷凍冷蔵倉庫などで堅調に推移しており、一時的な物件供給のタイミングによる変動とみられます。

セグメント売上高 (前年比)営業利益 (前年比)備考
戸建住宅8,398億円 (+9.5%)410億円 (+10.3%)米国でのM&A・拠点拡大が寄与
賃貸住宅1兆1,016億円 (+13.7%)1,206億円 (+29.6%)日米ともに高稼働・開発好調
商業施設9,467億円 (+5.3%)1,283億円 (+12.0%)ホテル稼働率・単価上昇が寄与
事業施設9,225億円 (△15.1%)1,116億円 (△19.6%)物件売却の減少による反動減
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
戸建住宅事業8,348億円21%411億円4.9%
賃貸住宅事業1.1兆円27%1,206億円11.0%
商業施設事業9,415億円24%1,284億円13.6%
事業施設事業8,892億円22%1,116億円12.6%

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の総資産は、前連結会計年度末比で 8,289億円増7兆8,782億円 に拡大しました。これは「商業施設事業」や「戸建住宅事業」における販売用不動産の積極的な仕入れが主な要因です。成長投資を加速させる一方で、有利子負債は 3兆1,307億円 へと増加しましたが、D/Eレシオ(資本性考慮後)は 1.05倍 と、健全な財務水準を維持しています。

株主還元については、創業70周年の記念配当を含め、年間配当予想を前期比25円増の 175円(普通配当165円、記念配当10円)とする方針を据え置きました。安定的な配当維持と業績連動を基本としつつ、節目の年として積極的な還元姿勢を示しています。自己資本比率は 34.6% と、大規模な不動産投資を継続しながらも、バランスの取れた財務構成を保っています。

リスクと課題

今後の懸念材料として、会社側は以下のリスクを挙げています。第一に、米国の金融政策の動向です。金利の高止まりが住宅ローン金利に波及し、個人消費や住宅購入意欲を冷え込ませるリスクがあります。第二に、国内における建設コストの上昇と労働力不足です。資材価格の高騰に加え、物流や建設現場での「2024年問題」に伴うコスト増加が利益率を圧迫する可能性があります。

また、世界的な地政学リスクの継続による通商政策の不透明感も注視すべき点です。同社は米国の「スマイルゾーン」への集中投資を進めていますが、現地の景気後退が鮮明になれば、開発物件の売却価格や賃貸需要に影響を及ぼす恐れがあります。これらの不確実性に対し、同社はDXによる生産性向上や、ストック型ビジネス(管理・運営)の比率向上により、耐性の強い事業構造への転換を急いでいます。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、前回発表の数値を据え置きました。売上高は 5兆6,000億円(前期比 +3.0%)と、3期連続の過去最高更新を目指します。営業利益は 5,100億円(同 6.6%減)を見込みますが、これは前述の退職給付数理差異の影響を除いた実質ベースでは 14.6%増 となる計画です。国内外での旺盛な建設需要を背景に、期末に向けてさらなる上積みが期待されます。

項目前回予想2026年3月期 予想2025年3月期 実績
売上高5兆6,000億円5兆6,000億円5兆4,348億円
営業利益5,100億円5,100億円5,459億円
純利益2,900億円2,900億円3,252億円
1株当たり配当175.00円175.00円150.00円
AIアナリストの視点

大和ハウス工業の決算で最も注目すべきは、「国内から海外へ」の成長エンジンのシフトが極めてスムーズに進んでいる点です。国内の新設住宅市場が頭打ちとなる中で、米国の戸建住宅メーカーを次々と買収し、現地の旺盛な需要を確実に取り込んでいる点は、同業他社と比較しても一歩抜きん出た戦略と言えます。

  • 表向きの減益(純利益 △4.8%)は、あくまで前期の特殊な利益計上の反動であり、実質的には2桁の増益基調にあることに注意が必要です。
  • 特に賃貸住宅事業の利益率改善が著しく、フロー(建設)だけでなくストック(管理)での稼ぎが厚くなっている点は、投資家にとって長期的な安心材料となります。
  • 今後の焦点は、トランプ政権下の米国における金利動向や住宅政策が、同社の「スマイルゾーン戦略」にどう影響するかという点に尽きるでしょう。現状では、買収した各社が独立性を保ちつつ相乗効果を出しており、経営の規律は保たれていると評価できます。