TBS、2027年3月期第1四半期決算、増収も営業利益43%減で通期予想を下方修正
TBSの2027年3月期第1四半期決算は、事業収入や有料配信が伸び、売上高は前年同期比4.8%増の1,054億円となりました。一方、広告市況の軟調さや営業費用の増加で営業利益は43.0%減の46億円、純利益は18.2%減の144億円。中東情勢などを背景にスポット広告収入の弱さが続くとみて、通期の売上高・営業利益予想を引き下げました。増収の一方で広告不振が利益を圧迫しています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,054億円 | +4.8% | 4,350億円 | 24% |
| 営業利益 | 46億円 | -43.0% | 230億円 | 20% |
| 純利益 | 145億円 | -18.2% | 485億円 | 30% |
| 営業利益率 | 4.4% | |||
この決算のポイント
- 1有料配信収入は「九条の大罪」の世界配信などで前年同期比29.1%増の37億円
- 2スポット収入は広告市況の軟調を受け11.9%減の196億円、放送収入の重荷に
- 3不動産・その他事業は営業利益が41.5%増の28億円と、全社利益を下支え
- 4通期営業利益予想を260億円から230億円へ修正、修正率は11.5%減
- 5年間配当予想は1株100円で、前期実績の84円から16円増える見通し
業績のポイント
TBS(TBSホールディングス)の第1四半期は、売上高が前年同期比4.8%増の1,054億円となる一方、営業利益は43.0%減の46億円、親会社株主に帰属する純利益は18.2%減の144億円でした。売上高の増加を、営業費用の伸びが上回り、利益は減少しました。
- 売上を押し上げた要因: イベント興行などの事業収入と有料配信収入が伸び、放送収入の減少を補いました。
- 利益を押し下げた要因: 営業費用は前年同期比8.9%増の1,007億円となり、売上高の伸び率を上回りました。
- 広告収入の弱さ: スポット広告や配信広告が減少し、テレビ部門の収入を圧迫しました。
- 営業外収支: 受取配当金の増加などで経常利益の減少率は19.0%にとどまりました。
配信・イベントの成長だけでは広告減を補いきれず、増収減益となった形です。特別利益には投資有価証券売却益111億円が含まれますが、投資有価証券評価損などの特別損失も発生し、純利益は前年同期を下回りました。広告環境の回復と、成長領域の売上を利益につなげられるかが今後の焦点です。
セグメント別動向
メディア・コンテンツ事業は売上高が前年同期比5.5%増えた一方、営業利益は57.3%減りました。イベント興行や有料配信が伸びたものの、テレビの放送収入・配信広告収入の減少や費用増が利益を押し下げました。
- テレビ部門: タイム収入は3.0%減、スポット収入は11.9%減、配信広告収入は11.3%減でした。有料配信収入は「九条の大罪」の世界配信などで29.1%増となりました。
- 事業部門: 「ピクサーの世界展」の好調やアニメ二次利用収入の増加などで、売上高は83.9%増えました。
- ライフスタイル事業: 売上高は2.4%増でしたが、営業損益は前年同期の1億円の黒字から7億円の赤字に転落しました。雑貨小売や化粧品の販売不振、人件費増などが響きました。
- 不動産・その他事業: 売上高は3.3%増、営業利益は41.5%増と増収増益でした。
メディア・コンテンツでは、広告市況の弱さを有料配信やイベントで補う構図が続きます。ライフスタイル事業では「PLAZA」を展開するプラザスタイルカンパニーや、化粧品の「サボリーノ」「乾燥さん」の販売が課題です。なお、今期から全社費用の配賦方法を変更しており、セグメント利益の前年同期比較は変更前の測定方法による数値です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| メディア・コンテンツ事業 | 782億円 | 74% | 26億円 | 3.3% |
| ライフスタイル事業 | 229億円 | 22% | -757百万円 | -3.3% |
| 不動産・その他事業 | 43億円 | 4% | 28億円 | 65.1% |
通期見通し
TBSは2027年3月期の連結業績予想を下方修正しました。中東情勢の緊迫化などで世界経済の先行きが不透明となり、広告主の慎重な出稿姿勢が続くため、TBSテレビのスポット収入が従来予想を下回る見込みです。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,400 | 4,350 | 4,248.5 |
| 営業利益 | 260 | 230 | 247.5 |
| 経常利益 | 390 | 380 | 373.73 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 485 | 485 | 522.28 |
今回予想は前回から売上高を50億円、営業利益を30億円、経常利益を10億円引き下げました。純利益予想は特別損益の規模差を織り込んで据え置き、前期実績との比較では7.1%減を見込みます。広告収入の下振れを前提に営業利益予想を引き下げており、下期に広告市況が持ち直すかが達成度を左右します。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比6,951億円増の2兆3,233億円、自己資本比率は69.2%でした。資産の増加は主に保有株式の含み益によるもので、営業活動による現金創出の増加を示すものではありません。
| 項目 | 2026年3月末・前期実績 | 2026年6月末・今回 | 変化・前年差 |
|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 69.3% | 69.2% | -0.1ポイント |
| 現金及び預金(億円) | 1,242.3 | 828.5 | -413.8 |
| 年間配当(円/株) | 84 | 100(予想) | +16 |
| 中間・期末配当(円/株) | 35・49 | 50・50(予想) | 年間予想で増配 |
投資有価証券は前期末から7,342億円増え、その他有価証券評価差額金も4,893億円増加しました。配当や税金の支払いなどを受け、現金及び預金は減少しています。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュフローの内訳は短信から確認できません。年間配当予想は前期比で増額となっており、自社株買いの発表はこの短信には記載されていません。
リスクと課題
通期予想の修正理由にもなった広告市場の弱さに加え、事業ごとの収益力の差や費用増が業績の変動要因です。会社が挙げた外部環境と今回のセグメント動向から、特に注視したい点は次の通りです。
- 広告市況の低迷: 中東情勢などによる世界経済の不透明感から広告主が出稿に慎重となり、スポット収入や配信広告収入が減少しています。長引けばテレビ事業の売上・利益をさらに圧迫する可能性があります。
- 放送収入の減少: 有料配信やイベントが伸びても、放送収入の減少を十分に埋められない場合、メディア・コンテンツ事業の利益回復が遅れるおそれがあります。
- ライフスタイル事業の採算: 雑貨・化粧品の販売が弱く、人件費も増加しています。売上の回復とコスト管理が進まなければ、赤字が続くリスクがあります。
- 市場・金融資本の変動: TBSは中東情勢や金融資本市場の変動への注意を挙げています。保有株式の評価額が大きく変動すれば、純資産や包括利益にも影響します。
広告収入の回復時期は外部環境に左右されるため、配信やイベントなど広告以外の収入を伸ばしながら、営業費用の増加を抑えられるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
5,871円
最新終値(2026/10/23)
6,109円+4.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#TBS#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#広告収入#有料配信#通期予想下方修正#増配
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
TBSの今回の決算は、放送局の収益構造が変わる過程を示しています。有料配信やイベント、アニメの二次利用は伸びていますが、広告収入の落ち込みと費用増が利益を押し下げました。売上高の増加だけでなく、新しい収入源が利益率の改善にもつながるかを見極めたいところです。
通期予想の下方修正は、広告市場の先行きに対する慎重さを反映しています。一方、株式の含み益による資産増加は事業の稼ぐ力とは分けて見る必要があり、今後は広告市況の回復度合いと、ライフスタイル事業の赤字縮小が重要な判断材料になります。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/tbs-holdings/report/2027-Q1
関連記事
民放テレビ局の最新記事
掲載企業
株式会社TBSホールディングス
東証 9401
これが最新の決算解説です









