テルモ・2026年3月期Q3、売上高7.7%増の **8,316億円** ——海外需要が拡大、英国企業の大型買収で成長加速
売上高
8,316億円
+7.7%
通期予想
1.1兆円
営業利益
1,449億円
+8.5%
通期予想
1,815億円
純利益
1,095億円
+11.1%
通期予想
1,360億円
営業利益率
17.4%
世界的な医療需要の拡大により、売上高は前年比 7.7%増 の 8,316億円 と好調です。特に北米の血液関連事業が大きく伸び、全体の成長を支えています。英国 OrganOx社の買収 により臓器移植分野へ参入したほか、ドイツ工場の取得で製造体制も強化し、攻めの姿勢が鮮明な決算となりました。
業績のポイント
売上・利益ともに前年を上回り、好調な結果となりました。
- 売上収益は前年より 7.7% 増え、 8,316億円 でした。
- 営業利益は前年より 8.5% 増え、 1,449億円 となりました。
- 海外売上が全体の 8割 を占め、 9.2%増 と成長を牽引しています。
- 世界的な医療ニーズの高まりが、追い風となりました。
- 円安の影響を除いても、実質 8.6% の増収を達成しています。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力事業が堅調に推移し、新しい事業も加わりました。
- 心臓血管: 売上 4,968億円 (前年比 7.0%増 )。カテーテル製品が海外で大きく伸びました。
- メディカルケア: 売上 1,632億円 (前年比 2.2%増 )。製薬会社向け事業が成長しました。一方で、日本の一部の病院向け事業は終了し、減収となりました。
- 血液・細胞: 売上 1,685億円 (前年比 13.8%増 )。北米で血漿(けっしょう)関連ビジネスが絶好調でした。
- OrganOx: 売上 29億円 。2025年10月に買収した、臓器保存デバイスの新事業です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 心臓血管カンパニー | 4,968億円 | 60% | — | — |
| メディカルケアソリューションズカンパニー | 1,632億円 | 20% | — | — |
| 血液・細胞テクノロジーカンパニー | 1,685億円 | 20% | — | — |
| OrganOx | 29億円 | 0% | — | — |
財務状況と資本政策
将来の成長に向けた大型投資を積極的に行っています。
- 総資産は 2兆2,569億円 となり、前期末から 4,285億円 増えました。
- 英国OrganOx社の買収に、約 2,256億円 を投じました。
- 自己資本比率は 67.5% と、引き続き高い水準を保っています。
- 年間配当は前期の26円から 4円増配 の 30円 を予定しています。
戦略トピック
事業の幅を広げるための「攻め」の投資が目立ちました。
- 英国 OrganOx社を完全子会社化 しました。臓器移植という新しい成長分野に本格参入します。
- ドイツの薬剤充填シリンジ工場を取得しました。 CDMO(受託製造)事業 の世界展開を加速させます。
- これら買収に伴い「のれん」などの無形資産が大きく増えています。
リスクと課題
成長が続く一方で、以下の点には注意が必要です。
- 欧州の新しい医療機器規制(MDR)への対応費用が、利益を押し下げています。
- 買収した新事業が、計画通りに収益を生むかが今後の焦点です。
- 為替レートの変動や、不透明な世界情勢がリスク要因です。
通期見通し
期初からの好調を受け、通期予想は据え置いています。
- 通期の売上収益は 1兆1,080億円 (前年比 6.9%増 )を見込みます。
- 純利益は 1,360億円 (前年比 16.3%増 )と過去最高を狙う計画です。
- 為替前提は1ドル148円としており、足元の水準と大きな乖離はありません。
今回の決算で最も注目すべきは、英国OrganOx社の大型買収による 「臓器移植分野への本格参入」 です。既存の心臓血管や血液事業で培った高い技術力を、成長性の高い新市場へぶつける明確な戦略が見て取れます。
また、単なる製品販売だけでなく、ドイツ工場の買収を通じて CDMO(医薬品の受託製造) の拠点を確保した点も重要です。これにより、製薬会社とのパートナーシップを深め、より安定した収益基盤を築こうとする姿勢が感じられます。
懸念点としては、買収による負債やのれんの増加、欧州の規制対応コストが挙げられますが、本業の稼ぐ力(キャッシュフロー)は非常に強く、財務の健全性は保たれています。就活生にとっては、日本発のグローバル企業として、最先端の医療領域で果敢に勝負を仕掛けるダイナミックなフェーズにある企業といえるでしょう。
