精密機器・医療機器3社・2026年3月期——HOYAが利益率34%で圧勝、テルモは1.1兆円突破で首位交代
今期の総括
全社1兆円規模へ到達も、利益率は34%から9%まで三者三様
国内医療・精密機器大手3社は、全社が売上を伸ばす好調な一年となりました。特に テルモ は売上1.1兆円を突破し、過去最高を更新。利益面では HOYA が営業利益率 34.6% という驚異的な数字で独走しています。一方、 オリンパス は 構造改革費用 が響き大幅減益。成長性と収益性で明暗がはっきりと分かれました。
業界全体の動き
この期間、業界を動かした共通テーマは3つです。
- 世界的な医療需要の回復
欧米市場を中心に、手術件数や検査需要がコロナ前を上回る水準で推移しました。
- 円安による押し上げ効果
海外売上比率の高い3社にとって、為替相場は収益を底上げする強力な追い風となりました。
- 高付加価値製品へのシフト
単なる消耗品ではなく、 AI診断 や 臓器保存 といった最先端技術への投資が加速しました。
営業利益率ランキング
HOYAの34.6%は製造業として驚異的。一方、オリンパスは構造改革費用により1桁台へ低下し、収益性の差が浮き彫りです。
売上高 前年同期比
HOYAとテルモが9%超の成長を維持。オリンパスは事業再編の影響もあり1.3%増に留まり、成長スピードに差が出ています。
純利益 前年同期比
HOYAとテルモは2桁増益と絶好調。オリンパスは一過性の損失で42%減となりましたが、次期以降のV字回復が焦点となります。
勝者と敗者:収益力で独走するHOYA
今期の勝者は、文句なしに HOYA です。売上高は 9,477億円 (前年比+9.4%)と3社中3位。しかし、営業利益は 3,277億円 と、2位 テルモ の約2倍に達しました。 EUV用マスクブランクス という世界唯一の技術が、34.6%という異次元の利益率を生んでいます。
対照的に苦戦したのは オリンパス です。売上は 1兆107億円 で大台に乗せましたが、営業利益は 971億円 (前年比-40.2%)と急落。組織改革に伴う 269億円の特別損失 が重くのしかかり、利益率も9.6%と1桁台に沈みました。
勝者
HOYA
苦戦
オリンパス
売上高ランキング
テルモが初の1.1兆円台に乗せ、規模でトップに。全社が増収を達成し、世界的な医療需要の拡大が鮮明になりました。
営業利益ランキング
売上3位のHOYAが利益で独走。独占的な技術を持つ強みが、2位テルモに約1.5倍の差をつける圧倒的な利益額に現れています。
注目の動き・戦略比較
各社、次なる成長に向けた布石を打っています。
- テルモ:新領域の開拓
英OrganOx社を買収し、 臓器保存 という新市場へ参入。高利益な新事業を育成中です。
- オリンパス:膿出しと株主還元
巨額の改革費用を今期に集中させました。同時に 600億円の自社株買い を発表し、投資家を繋ぎ止めています。
- HOYA:還元方針の明確化
累進配当を宣言。安定した高収益を背景に、投資家への還元をさらに強化する構えです。
業界共通のリスク
- 原材料・物流コストの増大
インフレによる部材価格の高騰は、各社の利益を削る共通の課題です。
- 米国の関税政策
トランプ政権下の関税引き上げリスクは、米国売上が大きい医療機器各社にとっての懸念材料です。
- 中国市場の不透明感
景気減速や現地企業との競争激化が、成長のブレーキになる恐れがあります。
就活生・転職希望者へ
安定を求めるなら、財務体質が鉄壁な HOYA が筆頭です。ただし、実力主義の側面が強い点は覚悟すべきでしょう。グローバルな成長環境で働きたいなら、売上1.1兆円を超え勢いに乗る テルモ が魅力的です。 オリンパス は現在変革の真っ只中にあり、 メドテック企業 への進化を自ら牽引したい挑戦者向きと言えます。
