東京エレクトロン デバイス株式会社 の会社詳細
東京エレクトロン デバイス株式会社
東京エレクトロン デバイス
2026年3月期 第3四半期

東京エレクトロン デバイス・2026年3月期Q3、純利益9.8%減の50億円——AI需要でシステム事業は好調も、産業用半導体が停滞

東京エレクトロンデバイス
2760
半導体商社
AI投資
クラウド需要
特別利益
減収減益
車載半導体
セキュリティ製品
決算レポート
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1,467億円

-9.5%

通期予想

2,000億円

進捗率73%

営業利益

63億円

-28.8%

純利益

50億円

-9.8%

通期予想

72億円

進捗率70%

営業利益率

4.3%

半導体商社大手の東京エレクトロン デバイスが2日発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 9.5%減1,467億円、純利益が同 9.8%減50億円 となりました。AI活用やクラウド進展を背景としたIT投資が追い風となりコンピュータシステム事業は大幅な増収増益を記録した一方、主力の半導体事業で産業機器向けの需要回復が遅れたことが響きました。なお、持分法適用会社の株式売却による特別利益の計上が、営業段階での減益幅を最終利益ベースで圧縮する形となっています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、売上高が 1,467億1,600万円(前年同期比 9.5%減)、営業利益は 63億600万円(同 28.8%減)と、本業の儲けを示す段階では厳しい結果となりました。国内経済は設備投資の持ち直しが見られたものの、米国の関税政策や地政学リスクによる先行き不透明感から、製造業を中心とした顧客企業の投資判断に足踏みが見られました。

利益面では、営業利益が大幅な減益となった一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は 50億3,000万円(同 9.8%減)にとどまりました。これは、持分法適用関連会社であったFidus Systems Inc.の全保有株式を譲渡したことに伴い、10億6,600万円投資有価証券売却益を特別利益として計上したためです。本業の苦戦を資産整理による利益で一定程度補った格好と言えます。

項目2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高1,620億円1,467億円△9.5%
営業利益88億円63億円△28.8%
経常利益79億円60億円△24.0%
四半期純利益55億円50億円△9.8%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力である「半導体及び電子デバイス事業」は、売上高が 1,173億400万円(前年同期比 13.7%減)、セグメント利益が 18億5,200万円(同 61.0%減)と、大幅な減収減益に沈みました。車載向け半導体は商権拡大により堅調を維持したものの、産業機器向けの大幅な減少が重石となりました。また、自社ブランド(PB)製品も、ウェーハ市場の調整長期化を受けて低調に推移し、利益率を押し下げる要因となりました。

対照的に「コンピュータシステム関連事業」は、売上高 294億1,100万円(同 12.5%増)、セグメント利益 41億7,500万円(同 31.1%増)と非常に力強い伸びを見せました。企業のAI活用やIT基盤のクラウド移行が加速する中、ストレージ関連製品やセキュリティ製品の販売が好調でした。特に、導入後の保守・監視サービスといったストック型ビジネスも堅調に推移しており、事業全体の収益性を高めています。

セグメント名売上高(前年比)セグメント利益(前年比)利益率
半導体及び電子デバイス1,173億円 (△13.7%)18億円 (△61.0%)1.6%
コンピュータシステム294億円 (+12.5%)41億円 (+31.1%)14.2%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
半導体及び電子デバイス事業1,173億円80%19億円1.6%
コンピュータシステム関連事業294億円20%42億円14.2%

財務状況と資本政策

当第3四半期末の総資産は、前連結会計年度末から 14億8,900万円 増加し 1,583億3,100万円 となりました。売上債権が増加した一方で、在庫適正化の進展により棚卸資産が減少しており、資産の効率化に向けた動きが見て取れます。自己資本比率は、前連結会計年度末の 30.5% から 31.1% へと 0.5ポイント向上 し、安定した財務基盤を維持しています。

株主還元については、当初の年間配当予想(合計99円)を据え置いています。前期の 119円 からは減配となる見通しですが、これは業績連動方針に基づくものです。企業側は安定的なキャッシュ・フローの創出を重視しており、成長投資と株主還元のバランスを考慮した経営判断を継続しています。期末配当は 64円 を予定しており、投資家への還元姿勢に揺らぎはありません。

通期見通しとリスク課題

2026年3月期の通期業績予想については、前回公表(2025年10月29日)の数値を据え置いています。足元の業績は概ね計画通りに推移しており、第4四半期に向けて産業機器向けの在庫調整完了と需要の回復を見込んでいます。売上高は通期で 2,000億円(前期比 7.6%減)を計画しており、コンピュータシステム事業の成長が半導体事業の落ち込みをどこまでカバーできるかが焦点となります。

今後の懸念事項として、米国の関税政策に伴うサプライチェーンへの影響や、中東情勢などの地政学リスクが挙げられています。また、半導体市場特有のシリコンサイクルによる需要変動リスクも依然として残ります。同社はAI関連やセキュリティといった高成長分野へのシフトを加速させることで、外部環境の変化に強い事業構造への転換を急ぐ方針です。

項目前回予想今回修正前期実績(参考)
売上高2,000億円2,000億円2,165億円
経常利益91億円91億円114億円
親会社株主純利益72億円72億円88億円
AIアナリストの視点

今回の決算で特筆すべきは、同社の「2つの顔」の明暗がはっきりと分かれた点です。

  • 強み: コンピュータシステム事業の収益性が極めて高い(利益率14.2%)ことです。単なる「箱売り」ではなく、AIやセキュリティといった旬の技術に保守サービスを組み合わせたソリューション展開が実を結んでいます。
  • 懸念点: 利益の柱であった半導体事業の利益率が1.6%まで低下している点です。産業機器向けの在庫調整が想定より長引いており、PB製品の苦戦も加わり、利益構造が一時的に脆弱になっています。
  • 今後の焦点: 特別利益を除いた「実力値としての利益」をどれだけ早期に回復させられるか。特に、AI特需を取り込んでいるシステム事業の成長が、半導体サイクルの波を吸収できるレベルまで拡大できるかが、中長期的な株価評価の分かれ道になるでしょう。