ツルハHD・2026年2月期Q3、売上高 8,333億円で着地——ウエルシア統合で国内最大連合へ、通期予想も修正
売上高
8,334億円
通期予想
1.5兆円
営業利益
406億円
通期予想
633億円
純利益
270億円
通期予想
395億円
営業利益率
4.9%
ドラッグストア国内大手のツルハホールディングスは、2026年2月期第3四半期の連結売上高が 833,383百万円、営業利益が 40,595百万円になったと発表しました。決算期変更の影響で前年同期比較はないものの、既存エリアでのドミナント強化や調剤部門の拡充が寄与し、堅調な推移を見せています。また、2025年12月1日付で実施されたウエルシアホールディングスとの経営統合により、日本最大のドラッグストア連合体として「アジアNo.1」を目指す新たなステージに突入しました。
業績のポイント
当第3四半期累計期間(2025年3月〜11月)の業績は、売上高 833,383百万円、営業利益 40,595百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益 26,976百万円となりました。同社は決算期を5月から2月に変更した移行期にあるため、前年同期との単純比較は記載されていませんが、物価上昇に伴う消費の二極化が進むなか、生活必需品への需要を確実に取り込んでいます。
利益面では、賃金上昇による人件費の増加といったコスト増を、効率的な店舗運営と粗利率の高い調剤・プライベートブランド(PB)の強化で吸収しました。経常利益は 40,733百万円となり、1株当たり四半期純利益は 110.73円(株式分割考慮後)を確保しています。市場環境は競合他社との出店競争が激化していますが、既存店の改装やサービス向上により、顧客の支持を維持している状況です。
業績推移(通期)
セグメント別動向と店舗戦略
同社グループはドラッグストア・調剤薬局の運営を行う物販事業の単一セグメントですが、エリア別の店舗展開と機能強化において顕著な動きが見られます。既存エリアのシェアをさらに高める「ドミナント戦略」を推進し、不採算店舗のスクラップ&ビルドを徹底しました。当期間中に78店舗を新設し、46店舗を閉店した結果、国内店舗数は 2,690店舗に達しています。
特に収益の柱として期待される調剤部門の強化が加速しており、調剤薬局を併設する店舗は全店舗の約37%にあたる 1,005店舗まで拡大しました。また、地域別では東北地方(592店舗)や関東甲信越(528店舗)を主力としつつ、九州・沖縄エリアでも14店舗の純増を果たすなど、全国規模でのプレゼンスを高めています。
| 地域 | 期末店舗数 | うち調剤薬局 | 純増減 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 444 | 148 | +7 |
| 東北 | 592 | 170 | △1 |
| 関東甲信越 | 528 | 232 | 0 |
| 中部・関西 | 273 | 174 | +4 |
| 中国 | 381 | 152 | +7 |
| 四国 | 226 | 70 | +1 |
| 九州・沖縄 | 246 | 59 | +14 |
| 国内合計 | 2,690 | 1,005 | +32 |
財務状況と資本政策
2025年11月末時点の総資産は、前連結会計年度末比で 81,088百万円増加し、 664,451百万円となりました。新規出店に伴う有形固定資産の増加(+105億円)に加え、経営統合や年末商戦を見越した商品の積み増し(+106億円)が主な要因です。一方で、買掛金や長期借入金の増加により、自己資本比率は前期末の48.2%から 45.0%へと3.2ポイント低下しましたが、依然として安定した財務基盤を維持しています。
資本政策においては、投資家層の拡大と流動性の向上を目的に、2025年9月1日付で 1株につき5株の株式分割を実施しました。これに伴い、期末配当予想も分割後ベースで 23.00円としています。分割前換算では年間248円50銭となる計算で、積極的な株主還元姿勢を継続しています。潤沢なキャッシュフローを背景に、成長投資と株主還元のバランスを重視する経営判断が示されています。
戦略トピック:ウエルシアHDとの歴史的統合
本決算発表における最大のトピックは、2025年12月1日に完了したウエルシアホールディングスとの経営統合です。これにより、両社を合わせた売上高は2兆円を大きく超え、国内ドラッグストア業界で圧倒的な首位に立ちました。イオン株式会社を含む3社間の資本業務提携の一環として、ツルハHDを完全親会社、ウエルシアHDを完全子会社とする株式交換が行われました。
この統合の狙いは、規模のメリットを活かした商品の共同調達、物流網の効率化、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にあります。今後は「日本最大のドラッグストア連合」として、国内での競争力強化にとどまらず、ASEAN諸国を中心とした海外市場への本格展開を加速させる方針です。アジアNo.1のグローバル・ヘルスケア企業への成長に向けた、名実ともに新たな号砲が鳴らされた形となります。
通期見通し
同社は2026年1月8日に通期連結業績予想の修正を発表しました。決算期変更に伴う9.5ヶ月間の変則決算となる2026年2月期において、売上高 1兆4,530億円、営業利益 633億円を見込んでいます。物価高による消費抑制のリスクはあるものの、ウエルシアとの統合シナジーや、冬場の感染症流行に伴う医薬品需要の動向を注視しながら、着実な目標達成を目指します。
| 項目 | 今回予想(2026/2通期) | 前期実績(参考・変則) |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,453,000百万円 | - |
| 営業利益 | 63,300百万円 | - |
| 経常利益 | 63,600百万円 | - |
| 当期純利益 | 39,500百万円 | - |
| 1株当たり純利益 | 133.66円 | - |
リスクと課題
経営陣が注視する主なリスクとして、以下の要因が挙げられています。
- 労働力不足と人件費の上昇: ドラッグストアおよび調剤現場での専門人材(薬剤師・登録販売者)の確保が困難になっており、賃金改善が利益を圧迫する懸念があります。
- 消費行動の変化: 食品や日用品における価格志向の強まり(低価格志向)と、一方で価値を認めるものには支出を惜しまない「消費の二極化」への柔軟な対応が求められています。
- 統合シナジーの早期発現: ウエルシアHDとの巨大な組織統合において、システム統合や企業文化の融合をスムーズに進め、期待されるコスト削減効果をいかに早く出せるかが焦点となります。
今回の決算は、数字そのものよりも「ウエルシアHDとの統合」という歴史的転換点におけるプロセスの確認としての意味合いが強い内容です。決算期変更や株式分割が重なり、表面的な前年比での評価が難しい時期ですが、店舗純増32店、調剤併設率の向上など、実体としての成長力は維持されています。
アナリストの視点からは、以下の2点が今後の注目点となります。
- PMI(統合後の組織統合)の成否: 業界1位と2位(当時の規模)が組む巨大組織において、現場レベルでの混乱を避けつつ、仕入れコストの削減をどれだけ迅速に利益に反映できるか。
- 対マツキヨココカラ&カンパニー戦略: 高収益なマツキヨ系に対し、ツルハ・ウエルシア連合は「生活密着・調剤」の強みをどうグローバル展開に結びつけるかが長期的な株価の分水嶺になるでしょう。
就活生の視点では、国内首位の安定性と、アジア展開という成長性の両面を併せ持つ企業となった点は非常に魅力的なトピックと言えます。
