ヤマハ発動機株式会社 の会社詳細
ヤマハ発動機株式会社
ヤマハ発動機
2025年12月期 通期

ヤマハ発動機・2025年12月期通期、営業利益30%減の1,263億円――米国関税や減損響く、次期はV字回復を予想

ヤマハ発動機
決算
減益
二輪車
マリン事業
米国関税
減損損失
配当予想
IFRS
製造業
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2.5兆円

-1.6%

通期予想

2.7兆円

進捗率94%

営業利益

1,264億円

-30.4%

通期予想

1,800億円

進捗率70%

純利益

161億円

-85.1%

通期予想

1,000億円

進捗率16%

営業利益率

5.0%

ヤマハ発動機が13日に発表した2025年12月期連結決算は、売上収益が前期比1.6%減2兆5,342億円、営業利益が同30.4%減1,263億円となった。MC(二輪)事業が堅調だった一方で、マリン事業の需要減退や米国関税、アウトドアランドビークル(OLV)事業での有形固定資産の減損損失が重荷となった。親会社の所有者に帰属する当期利益は、繰延税金資産の取り崩しも重なり、同85.1%減161億円に沈んだが、2026年12月期は一転して大幅な増収増益を見込んでいる。

業績のポイント

当期の業績は、主力事業の明暗が分かれる格好となった。売上収益は2兆5,342億円(前期比1.6%減)、営業利益は1,263億円(同30.4%減)と、増収増益を続けてきた近年のトレンドから一転して厳しい着地となった。

利益面を圧迫したのは、外部環境の急激な変化と一時的な損失計上である。具体的には、米国関税の影響や調達コストの上昇に加え、アウトドアランドビークル事業で減損損失を計上したことが響いた。また、親会社株主に帰属する当期利益は161億円(同85.1%減)と大幅に減少したが、これは営業利益の減少に加えて繰延税金資産の取り崩しを行ったためである。

項目2024年12月期(前期)2025年12月期(当期)前年比
売上収益2兆5,761億円2兆5,342億円△1.6%
営業利益1,815億円1,263億円△30.4%
税引前利益1,831億円1,331億円△27.3%
当期利益1,080億円161億円△85.1%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力のランドモビリティ事業は、売上収益が1兆6,151億円(前期比0.3%増)、営業利益が1,087億円(同4.7%増)と底堅く推移した。二輪車(MC)はベトナムで生産・出荷停止が発生したものの、インドネシアやフィリピン、タイといった新興国での販売台数が伸長し、全体を支えた。一方、電動アシスト自転車(SPV)事業は海外完成車事業の見直しにより減収となったが、経費抑制により営業損失は縮小している。

マリン事業は、売上収益5,276億円(前期比1.9%減)、営業利益536億円(同39.0%減)と苦戦した。主要市場である米国において船外機の需要が軟調に推移し、ウォータービークルの販売台数も前年を下回った。米国関税の影響もダイレクトに受け、利益率が大きく低下する要因となった。

アウトドアランドビークル(OLV)事業は、売上収益1,485億円(前期比17.2%減)、営業損失は398億円(前期は174億円の損失)と赤字幅が拡大した。RV事業での需要低迷に加え、将来の収益性を見直したことに伴う有形固定資産の減損損失を計上したことが主因である。ロボティクス事業は半導体製造装置が好調だったものの、マウンターの不振により6億円の営業損失となった。

セグメント売上収益(億円)前年比営業利益(億円)前年比
ランドモビリティ16,151+0.3%1,087+4.7%
マリン5,276△1.9%536△39.0%
アウトドアランドビークル1,485△17.2%△398
ロボティクス1,115△1.6%△6
金融サービス1,140+1.7%211△7.3%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ランドモビリティ1.6兆円64%1,087億円6.7%
マリン5,276億円21%536億円10.2%
アウトドアランドビークル1,485億円6%-39,757百万円-26.8%
ロボティクス1,115億円4%-565百万円-0.5%
金融サービス1,140億円5%211億円18.5%

財務状況と資本政策

総資産は、販売金融債権の増加や「のれん」の増加により前期末から1,191億円増加し、2兆9,026億円となった。負債面では社債や長期借入金の増加により、有利子負債(リース負債除く)は1兆443億円まで拡大している。親会社所有者帰属持分比率は39.0%(前期末41.7%)へ低下したが、これは利益の減少と配当支払い、支配継続子会社に対する持分変動などが影響している。

株主還元については、当期の利益水準を鑑み、期末配当を前回予想から引き下げて10円とした。これにより年間配当は35円(前期は50円)となり、配当性向は連結ベースで211.0%に達した。経営側はこれを一時的な業績悪化に伴うものとし、次期については再び50円の年間配当を予定している。

通期見通し

2026年12月期の連結業績予想は、売上・利益ともに大幅な反転を見込む。売上収益は前期比6.5%増2兆7,000億円、営業利益は同42.4%増1,800億円を計画している。新興国における二輪車の伸長に加え、マリン事業の回復、さらに今期計上した減損損失がなくなることによる損益改善が寄与する見通しだ。

項目2024年12月実績2025年12月実績2026年12月予想
売上収益2兆5,761億円2兆5,342億円2兆7,000億円
営業利益1,815億円1,263億円1,800億円
親会社帰属純利益1,080億円161億円1,000億円
年間配当金50.00円35.00円50.00円

リスクと課題

同社が直面する最大の不透明要因は、米国の関税政策と経済動向である。特にマリンやOLV事業は北米市場への依存度が高く、関税率の変動が直接的に採算を悪化させるリスクを抱えている。また、以下の要因も経営上の重要課題として挙げられている。

  • 主要市場における需要変動と競争の激化
  • 為替レートの変動(2026年度は1ドル155円、1ユーロ175円を前提)
  • 原材料価格や物流費の高騰によるコストアップ
  • 構造改革の進捗と新中期経営計画の実行力
AIアナリストの視点

2025年12月期の決算は、数字上は非常に厳しい「踊り場」の結果となりました。特に純利益が85%減となった点はインパクトがありますが、その中身を紐解くと、OLV事業での減損や繰延税金資産の取り崩しといった会計上の処理が主因であり、キャッシュフローの観点からは致命的な悪化とは言えません。

注目すべきは2026年度の強気な見通しです。営業利益を1,800億円まで戻すという計画は、二輪車の新興国需要(インドネシア等)が依然として強いことを背景にしています。マリン事業の北米在庫調整がどのタイミングで完了し、回復に向かうかが2026年度の達成に向けた最大の焦点となるでしょう。就活生にとっては、現在の不調が「一時的な構造改革期」なのか、あるいは「マリン事業のピークアウト」なのかを見極めるためのIR資料の読み込みが推奨されます。