医療機器4社・2026年前後の通期決算比較、朝日インテック躍進で利益格差拡大
4社の通期決算は、朝日インテックが売上高21.2%増、営業利益50.3%増と突出した。一方、シスメックスは中国の医療費抑制などで営業利益40.8%減。ナカニシは減損で最終赤字となった。増収の勢いより、稼ぐ力の差が鮮明な期だ。なお決算期は2025年12月期から2026年6月期まで異なる。
今期の総括
増収力より稼ぐ力の差が鮮明
業界全体の動き
- 海外需要の強さと地域差が明暗を分けた。日本光電は海外市場が伸び、売上高は前年比4.3%増。対してシスメックスは中国の医療費抑制が響き、売上高は1.7%減だった。
- 成長投資が利益を押し下げる例も目立つ。日本光電は賃上げや研究開発、新生産拠点の費用が重なり、営業利益は9.5%減。売上増がそのまま利益増につながらなかった。
- 製品力と生産性が利益率の差に直結した。朝日インテックの営業利益率は31.1%。2位のナカニシは17.4%で、朝日インテックの高付加価値製品と生産性改善が際立つ。
- 減損や為替も決算を左右した。ナカニシは減損で最終赤字となった一方、朝日インテックは円安も増収増益に寄与した。各社の決算期が異なるため、平均値は目安として見る必要がある。
売上高ランキング
営業利益ランキング
営業利益率ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
最も勢いがあったのは朝日インテックだ。売上高は前年比21.2%増の1,454億円。4社で最も高い伸びとなった。営業利益も50.3%増の452億円で、増益率はシスメックスの40.8%減と対照的だ。営業利益率も31.1%と、ナカニシの17.4%を上回った。
本業で最も苦戦したのはシスメックスだ。売上高は5,000億円と4社で最大だが、前年比1.7%減。営業利益は40.8%減の518億円で、利益の落ち込みが最も大きい。中国市場の不振に加え、原価率上昇や費用増、減損が響いた。
ただし、最終損益ではナカニシも厳しい。売上高は前年比5.4%増えたが、137.7億円の減損を出し、純損益は24億円の赤字となった。本業の減益と一時損失は分けて見る必要がある。
- 好調
- 朝日インテック
- 苦戦
- シスメックス

注目の動き・戦略比較
- シスメックスは新中期経営計画を始動する。M&A効果も見込み、次期の営業利益予想は580億円。今期の518億円からの回復を目指すが、中国依存の見直しが課題だ。
- 日本光電工業は海外成長と収益改革を並行する。北米を中心に売上を伸ばした一方、営業利益は前年比9.5%減。研究開発や新拠点への投資を、今後の利益につなげられるかが焦点だ。
- 朝日インテックはカテーテル需要の拡大を取り込んだ。売上高は前年比21.2%増、営業利益は50.3%増。南寧工場の立ち上げなど、生産能力の強化と効率改善を進める。
- ナカニシは外科事業が前年比28.1%増と伸びた。全4事業で増収となる一方、DCI事業の減損が最終赤字を招いた。減損後の事業立て直しと、歯科以外の成長が問われる。
業界共通のリスク
- 医療費抑制や償還価格の見直し。シスメックスでは中国の政策が売上を押し下げた。地域ごとの制度変更が需要や販売価格に影響する。
- 為替と地政学リスク。円安は朝日インテックの追い風となった一方、為替や米中摩擦の変化は調達費や販売計画を揺らす。
- 人件費と設備費の上昇。日本光電は賃上げや新拠点の費用が利益を圧迫した。生産能力を増やしても、稼働率が上がらなければ負担が残る。
- 買収後の事業統合と減損。ナカニシはDCI事業で137.7億円の減損を出した。買収先の成長や計画達成が遅れると、利益と資産価値に響く。
- 製品開発競争と投資回収。研究開発やデジタル化は成長に欠かせないが、費用が先行しやすい。投資を販売拡大や利益率改善につなげる力が問われる。
順位変化と構造トレンド
売上高の首位はシスメックスで、前年比1.7%減でも5,000億円を保った。一方、売上成長率と営業利益率では朝日インテックが首位に立つ。規模の大きさと稼ぐ力が、同じ順位にならない構図だ。
日本光電は売上高が前年比4.3%増でも営業利益は9.5%減。ナカニシも売上高が5.4%増えた一方、営業利益は3.5%減だった。増収だけでは収益力を測れない。決算期も各社で異なるため、単純な横並びではなく、利益率や一時損失も合わせて見たい。
就活生・転職希望者へ
医療機器業界では、製品開発だけでなく海外展開や生産効率の改善も成長を左右する。朝日インテックの高い利益率は、製品の強みを世界で売る力を示す。一方、日本光電のように成長投資が先行する会社では、研究開発や新拠点の立ち上げに関わる機会がある。
企業選びでは、売上成長だけでなく地域構成や利益率も確認したい。中国や為替への依存度、買収後の統合、人材投資の方針も、配属先や仕事の変化を考える手掛かりになる。
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