朝日インテック、中期経営計画の目標数値を上方修正、売上高2125億円営業利益680億円に
朝日インテック(7747)は14日、中期経営計画「Building the Future 2030」の最終年度となる2030年6月期の数値目標を大幅上方修正すると発表した。売上高は従来計画の1,800億円から2,125億円へ、営業利益は504億円から680億円へ引き上げる。海外工場の生産性改善と為替前提の変更が主因で、成長戦略自体に変更はない。

2030年6月期目標の全面上方修正
朝日インテックは中期経営計画「Building the Future 2030」の最終年度にあたる2030年6月期の数値目標を全面的に上方修正した。売上高は1,800億円から2,125億円へ、営業利益は504億円から680億円へ引き上げる。営業利益率は28.0%から32.0%へ、売上総利益率も69.0%から72.5%へ高める。資本効率を示すROEは16.0%から20.0%、ROICは16.0%から19.0%に引き上げた。
| 経営指標 | 当初目標 | 見直し後目標 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,800億円 | 2,125億円 |
| 売上総利益率 | 69.0% | 72.5% |
| 営業利益 | 504億円 | 680億円 |
| 営業利益率 | 28.0% | 32.0% |
| ROE | 16.0% | 20.0% |
| ROIC | 16.0% | 19.0% |
同社は計画策定以降、各地域・事業で市場シェア拡大が着実に進み、売上高は当初計画を前倒しで達成する見込み。海外工場の生産性改善が想定を上回り、売上総利益率も実力値ベースで当初想定を超えるとしている。今回の見直しは基本方針や成長戦略を変更するものではなく、これまでの重点施策の成果と外部環境の変化を反映したものだ。
背景と為替前提の変更
上方修正の背景には、外部環境の変化として為替前提の見直しがある。計画策定時の前提為替レートは、対米ドル143.00円、対ユーロ165.00円、対中国元20.00円、対タイバーツ4.60円だった。今回、足元の為替動向を踏まえ、それぞれ155.00円、179.00円、22.00円、4.90円へ変更した。この円安方向への前提変更が売上高・利益の上振れに寄与している。
| 通貨 | 当初前提 | 見直し後 |
|---|---|---|
| USドル | 143.00円 | 155.00円 |
| EURO | 165.00円 | 179.00円 |
| 中国元 | 20.00円 | 22.00円 |
| BAHT | 4.60円 | 4.90円 |
ただし同社は、為替要因のみならず、海外工場での生産性改善や価格高騰などの外部環境変化を織り込んだと説明。実力値ベースの収益力向上が今回の上方修正の根幹にあると強調している。
成長戦略と事業ポートフォリオの深掘り
成長戦略の骨格は「グローバル市場での成長再加速に向けた事業ポートフォリオの構築」と「持続的成長に向けた強固な経営基盤の構築と収益力の強化」の2本柱で、変更はない。循環器領域ではガイドワイヤーでグローバルニッチトップの維持・強化を図る。非循環器領域では末梢・脳・腹部などの高付加価値治療デバイスへの参入を加速する。
具体的な施策として、米Nuvascular, Inc.が開発する脳動脈瘤内閉塞デバイス「HARBOR」について、日本国内における独占販売契約を締結した。薬事承認取得後、子会社の朝日インテックJセールスを通じて直接販売を開始する。また、伴侶動物用医療機器市場への参入も打ち出し、ヒト用医療機器で培った技術を動物用低侵襲治療に展開する。
キャピタルアロケーションと資本効率の改善
今回の上方修正に伴い、5年間累計のキャッシュ創出力は営業キャッシュフロー(開発除く)で従来計画の約2,800億円から約3,350億円へ拡大する。配分は、設備投資約530億円、研究開発投資約900億円、株主還元(配当性向35%基準+記念配当)約620億円、M&Aまたは自己株買い約1,300億円に変更した。
| 項目 | 当初計画 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 営業CF(開発除く) | 約2,800億円 | 約3,350億円 |
| 設備投資 | 約500億円 | 約530億円 |
| 研究開発投資 | 約850億円 | 約900億円 |
| 株主還元 | 約450億円 | 約620億円 |
| M&A・自己株買い | 約1,000億円 | 約1,300億円 |
このうち自己株買い100億円は実施済み。資本コスト(WACC)は2026年6月期で7.4%と上昇しているが、見直し後のROIC19.0%はこれを大きく上回り、資本効率の改善が続く見通しだ。
長期ビジョンと今後の見通し
中期経営計画の目標上方修正に合わせ、長期ビジョン「2035年のありたい姿」の数値目標も見直した。売上高は3,000億円から3,300億円へ、営業利益率は30.0%から33.0%へ引き上げる。健康寿命の延伸への貢献を掲げ、低侵襲治療で臨床課題を総合的に解決できるグローバルニッチトップ企業を目指す方針に変更はない。
2027年6月期の連結業績予想については、同日公表の2026年6月期決算短信に記載済みで、今回の見直しはその後の成長見通しを精査したものに過ぎない。同社は2026年中に「統合報告書2026」を発行予定で、SSBJ基準を踏まえた非財務情報開示の高度化にも取り組む。CDP気候変動スコアはBを維持している。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/8/14)
3,874円
最新終値(2026/10/23)
3,698円-4.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#朝日インテック#中期経営計画#上方修正#医療機器#業績予想
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コメント
今回の上方修正は、為替要因だけでなく海外生産の生産性改善とシェア拡大という実力値ベースの改善を反映しており、収益性向上の持続性が注目される。ROE20%・ROIC19%は資本コスト7.4%を上回るが、中国の集中入札や欧州MDR規制など外部リスクには引き続き注意が必要だ。中計達成の確度は高まったが、高付加価値デバイスや動物医療の立ち上がりが次の成長ドライバーになる。
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