朝日インテック、2026年6月期通期決算、営業利益50%増で過去最高益
朝日インテックの2026年6月期通期決算は、売上高1,454億19百万円(前年比21.2%増)、営業利益452億18百万円(同50.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益320億75百万円(同151.8%増)となり、全利益段階で過去最高を更新した。国内外でのカテーテル需要拡大や円安効果、生産性改善が寄与した。
決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 今期予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,454億円 | +21.2% | 1,618億円 |
| 営業利益 | 452億円 | +50.3% | 521億円 |
| 純利益 | 321億円 | +151.8% | 378億円 |
| 営業利益率 | 31.1% | ||
業績のポイント
朝日インテック株式会社(以下、朝日インテック)の2026年6月期連結業績は、売上高1,454億19百万円(前年比21.2%増)、営業利益452億18百万円(同50.3%増)、経常利益451億85百万円(同52.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益320億75百万円(同151.8%増)と大幅な増収増益となった。売上総利益率は70.4%(前年同期67.7%)に改善し、営業利益率は営業利益率31%台へ上昇した。
増収要因は、メディカル事業のPCIガイドワイヤーや貫通カテーテルを中心とした海外販売の拡大、デバイス事業の医療部材・産業部材の好調、ニッタモールド社の連結子会社化に加え、米ドル154.45円・ユーロ180.11円と円安が進んだ為替効果が寄与した。一方、米国関税の増加や販売費・研究開発費の増加はあったが、生産性改善と増収効果が吸収した。
親会社株主に帰属する当期純利益が前年比151.8%増と急伸したのは、経常利益の増加に加え、前期に計上した大規模な減損損失(92億44百万円)が当期は10億61百万円に大幅減少したためである。
セグメント別動向
メディカル事業の売上高は1,267億98百万円(前年比17.6%増)、セグメント利益は461億90百万円(同38.1%増)となった。国内では非循環器領域の末梢血管用仕入製品が好調で、海外は全地域で拡大した。特に中国市場は売上高379億82百万円と地域別最大で、症例数拡大とシェアアップが寄与した。循環器領域ではPCIガイドワイヤーと貫通カテーテルが牽引し、非循環器では腹部・末梢血管系製品、脳血管系製品が伸びた。
デバイス事業の売上高は186億20百万円(前年比52.1%増)、セグメント利益は84億85百万円(同83.5%増)と急拡大した。医療部材は米国企業向け循環器系検査用カテーテル部材やアジア向け超音波カテーテル部材が増加し、産業部材は海外レジャー関連取引が好調だった。当期よりニッタモールド社を連結子会社化したことで、同社の損益が上乗せされた。
| セグメント | 売上高 | 前年比 | セグメント利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| メディカル事業 | 126,798百万円 | +17.6% | 46,190百万円 | 36.4% |
| デバイス事業 | 18,620百万円 | +52.1% | 8,485百万円 | 45.6% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| メディカル事業 | 1,268億円 | 87% | 462億円 | 36.4% |
| デバイス事業 | 186億円 | 13% | 85億円 | 45.6% |
財務状況と資本政策
総資産は2,182億85百万円と前期末比250億98百万円増加した。現金及び預金が642億64百万円、売掛金が189億23百万円に増えたことが主因だ。純資産は1,743億58百万円、自己資本比率は79.4%に上昇し、財務の健全性は極めて高い。
営業キャッシュ・フローは400億95百万円と高水準を維持した。投資CFは投資有価証券の取得や有形固定資産取得により117億39百万円の支出、財務CFは自己株式取得105億53百万円や配当65億34百万円などで199億71百万円の支出となり、現金同等物は642億64百万円に積み上がった。
配当は普通配当42円21銭に50周年記念配当6円3銭を加え年間48円24銭(前期比99.1%増)と大幅増配した。配当性向は40.0%。次期は年間49円91銭(配当性向35.0%)を予定し、株主還元を強化している。
リスクと課題
主なリスクとして、①米国関税や材料費高騰などのコスト増、②為替相場の変動(想定レートを上回る円高は減益要因)、③中国市場への依存(売上高の約26%が中国、主要顧客の北京嘉事唯衆医療器械有限公司向け売上高は177億93百万円)、④新製品開発・承認の遅延、⑤競争激化によるシェア低下、が挙げられる。
同社は生産性改善と高付加価値製品の拡販でコストを吸収し、中国以外の地域でもバランスよく成長させる方針だ。一方、南寧工場の立ち上げ費用が2027年6月期に増加するため、短期的な利益圧迫要因となる可能性がある。
通期見通し
2027年6月期の連結業績予想は、売上高1,617億94百万円(前期比11.3%増)、営業利益521億27百万円(同15.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益378億32百万円(同17.9%増)と、2桁成長を継続する。売上総利益率は70.9%へ改善し、営業利益率も32.2%に上昇する計画だ。為替前提は1米ドル155円、1ユーロ179円と足元並み。メディカル事業では中国など海外市場でのシェア拡大、OEM向けアテレクトミーカテーテルの増加、デバイス事業では米国大手医療機器メーカー向け部材の需要拡大が牽引する。
| 項目 | 2026年6月期実績 | 2027年6月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 145,419百万円 | 161,794百万円 | +11.3% |
| 営業利益 | 45,218百万円 | 52,127百万円 | +15.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 32,075百万円 | 37,832百万円 | +17.9% |
研究開発費は売上高比9.4%まで増額し、南寧工場の立ち上げ費用も増加するため、販管費は増える見通しだ。
戦略トピック
朝日インテックは中期経営計画「Building the Future 2030」の数値目標を上方修正すると発表しており、中期経営計画を上方修正した。当期よりニッタモールド社を連結子会社化し、デバイス事業の製造基盤を強化した。また、自己株式の取得と消却を実施し、1株当たり利益の向上を図るとともに、50周年記念配当を通じて株主還元を強化した。2030年の稼働開始を予定する朝日英達医療器械(南寧)有限公司では、操業準備が本格化しており、将来の生産能力拡大に向けた布石となる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/14)
3,874円
最新終値(2026/10/23)
3,698円-4.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#朝日インテック#決算#決算分析#通期決算#増収増益#医療機器#カテーテル#自社株買い#配当増額#中期経営計画
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コメント
朝日インテックの決算は、売上高21%増、営業利益50%増と極めて好調で、特に利益率の改善が目立つ。為替だけでなく、高付加価値のカテーテル製品の拡販と生産性改善が寄与しており、質の高い成長と言える。
一方で中国市場への依存度は引き続き高く、地政学リスクや大口顧客の動向には注意が必要。今期の設備投資や南寧工場立ち上げ費用の増加は短期的な圧迫要因だが、2030年に向けた成長投資と捉えたい。
財務基盤は堅固で自己資本比率79%とほぼ無借金に近い中、自社株買いと増配による株主還元も積極的。長期的な競争力を高める戦略投資とバランスが取れている。
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