不動産準大手・アセット4社、2026年決算比較で賃貸・再生が伸び野村は苦戦
不動産準大手・アセット4社は、成長の源泉で明暗が分かれた。ヒューリックは売上高が38.8%増、トーセイも30.1%増。カチタスは販売件数を伸ばす一方、野村不動産は減収減益となった。賃貸・再生の追い風と引き渡し時期の差が数字に表れた。ただし、各社の決算期間は中間期と第1四半期が混在する。単純な規模比較には注意したい。
今期の総括
賃貸・再生が伸び、引き渡し減は苦戦
業界全体の動き
今回の4社は、物件売却や住宅販売の進み方が業績を左右した。共通テーマは次の4点だ。
- 物件売却が増収をけん引。ヒューリックは売上高が38.8%増、トーセイは30.1%増。賃貸収入に加え、物件の売却が伸びを支えた。
- 再生物件への投資需要が底堅い。トーセイはバリューアップ物件の販売が好調で、中間期として過去最高の業績となった。
- 中古住宅に価格面の追い風。カチタスは販売件数が20.5%増。新築住宅の価格高騰を受け、割安な中古住宅に需要が向かった。
- 引き渡し時期が四半期業績を左右。野村不動産は住宅の引き渡し減少などで売上高が13.7%減。物件の引き渡しや売却時期の違いが、各社の数字に表れている。
なお、ヒューリックとトーセイは中間期、野村不動産とカチタスは第1四半期だ。比較は方向感をつかむ材料として読みたい。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
規模と増収率では、ヒューリックが首位だ。売上高は4,166億円、38.8%増。営業利益も803億円、7.0%増で、4社中最大だった。賃貸の安定収入に、販売用不動産の売却が加わった。
利益率ではトーセイが際立つ。営業利益率は24.7%で、ヒューリックの19.3%を上回った。売上高は30.1%増、営業利益は20.5%増。再生物件の価値を高めて売る力が強みだ。
最も苦戦したのは野村不動産。売上高は1,911億円、13.7%減、営業利益は255億円、30.6%減だった。住宅の引き渡し減に加え、都市開発の売却時期のずれや海外事業の損失が重なった。通期予想は据え置いており、四半期の弱さだけで通期を判断するのは早い。
決算期間が異なるため、単純な優劣ではなく、各社の事業構成と進捗を合わせて見る必要がある。
- 好調
- ヒューリック
- 苦戦
- 野村不動産

営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
4社の違いは、物件をどう収益に変えるかにある。
- ヒューリックは賃貸収入を土台に、販売用不動産の売却を拡大した。売上高の伸びに対し営業利益の伸びは7.0%で、売却増が利益率にどう影響するかが焦点だ。通期営業利益予想は2,100億円。
- 野村不動産は住宅分譲や都市開発を幅広く展開する。第1四半期は引き渡しの減少が響いたが、通期予想は売上高1兆800億円、営業利益1,400億円を維持した。
- トーセイは不動産再生を軸に、物件を改修して価値を高めて販売する。営業利益率24.7%は4社で最高。通期営業利益予想246億円に対し、中間期で212億円に達した。
- カチタスは中古住宅を買い取り、再生して販売する。第1四半期の販売は2,381件、20.5%増。仕入れも25.8%増とし、将来の販売在庫を積み上げた。通期営業利益予想は210億円。
業界共通のリスク
追い風が続く一方、各社は資金調達と物件価格の変化に備える必要がある。
- 金利上昇で借入負担が増えれば、物件取得や開発の採算が悪化する。
- 不動産価格の調整は、売却益や保有資産の評価に響く。仕入れ価格が高いほど、販売時の利益を確保しにくい。
- 建築・改修費や人件費の上昇は、再生物件や住宅の利益を圧迫する。カチタスは仕入れ拡大に伴う粗利の確保が課題となる。
- 売却や引き渡しの時期のずれで、四半期ごとの業績が振れやすい。野村不動産の減益も、こうした時期要因を含む。
- 需要の偏りにも注意したい。インバウンドや投資マネーが弱まれば、都心物件や再生物件の販売環境が変わる。
- 海外事業の損益変動もリスクだ。野村不動産では海外事業が損失となり、地域分散だけでは業績安定につながらない面が見えた。
順位変化と構造トレンド
売上高と営業利益の首位は、今回ともにヒューリックだった。一方、利益率ではトーセイが首位となり、売上規模だけでは見えない収益力の差を示した。カチタスも営業利益の伸びが28.4%増と、ヒューリックの7.0%増を上回った。
成長の形は一つではない。賃貸収入を持つ会社は安定性を、再生・販売型の会社は物件の仕入れと売却力を生かす。今後は金利や仕入れ価格の変化に、どの事業モデルが強いかが問われる。
就活生・転職希望者へ
不動産業界の仕事は、物件を開発するだけではない。賃貸運営、物件再生、住宅販売、投資家向けの売却など、収益を生む役割が分かれている。
ヒューリックは賃貸と売却の両面、トーセイは再生と販売、カチタスは中古住宅の仕入れから販売までを学べる。野村不動産は住宅や都市開発など、幅広い事業に関わる機会がある。会社選びでは、会社の規模だけでなく、どの段階の仕事に携わりたいかを考えたい。
タグ#不動産業界#準大手不動産#アセット#ヒューリック#野村不動産#トーセイ#カチタス#不動産再生#中古住宅#インバウンド需要
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