半導体材料・部材4社、2026年決算比較で際立つAI特需の勝者とSUMCOの苦戦
4社の決算では、AI・データセンター需要が売上と利益を押し上げました。一方、利益率はイビデンの21.8%からSUMCOのマイナス3%まで開きました。追い風は共通、利益は明暗。なお、イビデンは第1四半期、他社は中間期で、単純比較には期間の違いに注意が必要です。
今期の総括
AI特需の利益化に大差
業界全体の動き
- AI・データセンター需要が共通の追い風です。イビデンは半導体パッケージ基板、東京応化はフォトレジストが伸びました。SUMCOも先端ロジックやメモリー向け出荷が増えました。
- ただし、需要増が利益に直結するとは限りません。SUMCOは増収でも営業赤字となり、製造コストや減価償却費が重荷でした。
- 円安も収益を押し上げました。イビデンは前年より円安の為替が利益拡大を後押ししました。
- 半導体以外の需要も差を生みました。三井ハイテックはEV・HEV向け電機部品が伸び、利益を大きく増やしました。
- 売上高の単純平均は1,521億円、営業利益の単純平均は153億円です。ただし決算期間が異なり、業界全体の実勢を示す数値ではありません。
売上高ランキング
営業利益ランキング
勝者と敗者
イビデンは売上高が前年同期比26.4%増、営業利益は52.4%増でした。4社で最も高い営業利益率21.8%も記録しました。ただし今回は第1四半期の数字です。
中間期同士で見ると、東京応化の営業利益は289億円で首位です。売上高は25.1%増、営業利益は45.4%増。利益率も20.7%と高く、材料需要を利益に変える力が目立ちます。
最も苦戦したのはSUMCOです。売上高は4.7%増の2,150億円でしたが、営業損益は前年の75億円の黒字から64億円の赤字へ転落しました。AI向け出荷が増えても、製造コストと減価償却費が利益を押し下げました。
三井ハイテックは営業利益が86.2%増と伸びました。最高の増益率ですが、営業利益率は9%で、イビデンや東京応化とは収益性に差があります。
- 好調
- イビデン
- 苦戦
- SUMCO


営業利益率ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
注目の動き・戦略比較
- SUMCOは200ミリ以下の事業で構造改革を進めています。一方、製造コストと減価償却費が重く、収益改善には時間がかかりそうです。
- イビデンはパッケージ基板を軸に、AI半導体需要を取り込みました。通期の営業利益予想は1,270億円で、前期比104.7%増を見込みます。設備投資に伴う減価償却負担には注意が必要です。
- 東京応化はフォトレジストなどの機能材料が好調です。熊本や台湾で生産能力を増やす動きもあり、需要拡大を見据えた供給体制づくりが焦点です。通期営業利益予想は606億円です。
- 三井ハイテックはEV・HEV向け電機部品の成長が柱です。中間期の営業利益は118億円と86.2%増。通期予想は195億円で、下期も利益成長を続けられるかが問われます。
各社の動きは異なります。材料・基板の増産だけでなく、コスト管理や製品構成が利益を左右しています。
業界共通のリスク
- AI投資の反動:需要が一部のデータセンター投資に集中しています。投資が鈍れば、先端品の受注や稼働率に影響します。
- 設備投資と減価償却:能力増強は将来の受注に備える一方、稼働率が上がらないと固定費が利益を圧迫します。SUMCOの赤字はその重さを示します。
- 原材料・製造コスト:コスト上昇を販売価格へ転嫁できるかが、利益率を左右します。
- 為替変動:円安は追い風になり得ますが、円高に振れれば収益を押し下げる可能性があります。
- 顧客や用途の偏り:先端半導体やEVなど特定分野への依存が高いほど、需要変化の影響を受けやすくなります。
順位変化と構造トレンド
売上高だけならSUMCOが2,150億円で首位ですが、営業利益は赤字です。売上規模と稼ぐ力の順位は一致しません。営業利益では東京応化が289億円、イビデンが269億円と上位に並びます。
ただし、イビデンの数字は第1四半期で、他社の中間期とは対象期間が異なります。売上高や利益のランキングは参考値として捉え、成長率や利益率も併せて見る必要があります。
今回目立つのは、AI需要の恩恵が一律ではない点です。製品の付加価値、供給能力、固定費の重さが、同じ追い風の下で差を生んでいます。
就活生・転職希望者へ
半導体関連企業では、需要の強さだけでなく、製造現場の改善や設備の安定稼働も重要です。SUMCOの結果は、出荷が増えてもコスト次第で赤字になり得ることを示しています。
材料開発やプロセス技術に加え、品質保証、設備保全、調達、海外拠点との連携にも活躍の場があります。AI向けの成長分野だけでなく、EVや既存製品の構造改革にも目を向けると、企業ごとの仕事やキャリアの違いが見えます。
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