SUMCO、2026年12月期第2四半期決算、売上高4.7%増も営業損失に

SUMCOの2026年12月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比4.7%増の2150億1600万円となった一方、営業損失63億6300万円(前年同期は74億5700万円の黒字)と営業赤字に転落した。AI向け半導体需要が拡大し出荷は増加したものの、製造コストの上昇や減価償却費の増加が利益を圧迫した。
決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,150億円 | +4.7% |
| 営業利益 | -6,363百万円 | -185.3% |
| 純利益 | -12,895百万円 | -518.6% |
| 営業利益率 | -3.0% |
業績のポイント
SUMCO(株式会社SUMCO)が発表した2026年12月期第2四半期(中間期)決算は、売上高が215,016百万円(前年同期比4.7%増)と伸びた一方、営業損益は6,363百万円の損失(前年同期は7,457百万円の利益)へと急転落した。経常損失は12,179百万円(前年同期は4,720百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失は12,895百万円(同3,081百万円の利益)と、全損益段階で赤字に陥った。
売上高の増加は、AI・データセンター向け先端ロジックやメモリー需要を背景に300mmシリコンウェーハの出荷が大きく伸びたことが主因。200mm以下のウェーハも緩やかに回復した。しかし、売上原価が前年同期の168,070百万円から193,083百万円へ14.9%急増。減価償却費の増加や資材・電力コストの上昇が利益を圧迫した。販管費は28,297百万円と前年同期比5.2%減少したが、原価上昇を補えなかった。
営業外損益では、支払利息が1,844百万円(前年同期1,349百万円)に増加し、営業外費用の「その他」に含まれる減価償却費が698百万円から4,116百万円へ大幅増となったことが経常損失の拡大につながった。為替の影響もあり、営業外収益の「その他」が467百万円と前年同期の2,413百万円から急減している。
事業環境とウェーハ出荷動向
半導体市場は数量ベースでAI関連需要が牽引し、回復が遅れていた産業向けも増加に転じた。金額ベースではメモリー価格の上昇もあり大きく成長している。SUMCOの主力製品であるシリコンウェーハの出荷動向を口径別に見ると、300mmウェーハはAI・データセンター用の先端ロジックとDRAM向けの強い需要が継続し、出荷は大きく増加。200mm以下のウェーハも、顧客や製品によって濃淡はあるものの増加した。
SUMCOは高精度化要求や製品差別化に対応した技術開発を進め、先端品での高シェア維持に注力。また、AIを活用した生産性向上によるコスト競争力強化にも取り組んでいる。200mm以下については生産体制の見直しを進めており、効率化と収益改善を継続している。
なお、決算短信にはセグメント別の売上高・利益の開示はなく、口径別の詳細数値は公表されていない。しかし、300mmの伸長が全体の増収をけん引した一方、200mm以下の収益性改善が急務となっている構図がうかがえる。
財務状況と資本政策
当中間期末の総資産は1,136,685百万円と前期末から8,719百万円増加。現金及び預金が89,766百万円(前期末67,296百万円)へ積み上がり、有価証券も22,000百万円(同8,000百万円)と流動性が強化された。一方、固定資産は建設仮勘定の減少などにより623,743百万円(同663,425百万円)へ縮小。設備投資の一巡が示唆される。
負債は495,618百万円(前期末480,181百万円)へ増加。長期借入金が320,836百万円、短期借入金が46,304百万円と、有利子負債は依然高水準にある。純資産は641,067百万円(同647,785百万円)とやや減少し、自己資本比率は50.0%(前期末51.3%)に低下した。利益剰余金の減少が主因だ。
配当は中間配当として1株当たり10円を実施。前年同期と同額を維持した。通期の期末配当は現時点で未定としており、今後の収益動向次第で減配の可能性もある。
第3四半期累計業績予想と見通し
SUMCOは2026年12月期第3四半期累計(1月~9月)の業績予想を新たに公表した。売上高333,000百万円(前年同期比9.4%増)、営業損失6,300百万円、経常損失11,100百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失12,800百万円を見込む。為替前提は1米ドル=160円と、前期実績より円安が想定されている。
第3四半期(7月~9月)単独では、300mmウェーハの需要拡大やNAND向けの回復により、減収幅の縮小と損失の改善が見込まれる。ただし、営業損益は依然赤字圏にとどまる。
| 項目 | 2026年12月期第3Q累計予想 | 前期実績(2025年12月期第3Q累計) | 増減率 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 333,000百万円 | 304,436百万円 | +9.4% | |
| 営業利益(損失) | △6,300百万円 | 5,869百万円 | – | |
| 経常利益(損失) | △11,100百万円 | 2,175百万円 | – | |
| 純利益(損失) | △12,800百万円 | △995百万円 | – |
会社側は翌四半期累計の予想のみ開示する方針で、通期見通しは未発表。しかし、第3四半期までの累計で大幅赤字が見込まれることから、通期でも厳しい着地が予想される。
リスクと課題
SUMCOが直面する主なリスクと課題は以下の通り。
- 地政学的リスク:中東情勢による電力・資材調達コストの上昇懸念。現時点で操業への直接影響はないが、コスト面で圧力となる可能性。
- 半導体市況の変動:半導体業界は事業環境の変化が激しく、最終製品需要の減速や顧客の在庫調整リスクがある。為替変動も業績に影響。
- 収益構造の改善:300mm先端品は好調だが、200mm以下は回復途上。生産体制再編や効率化が急務で、赤字脱却にはコスト圧縮が不可欠。
- 財務体質:有利子負債が多いうえ、利益減少で自己資本比率が低下。持続的な配当維持には利益の早期回復が求められる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
3,544円
最新終値(2026/10/23)
2,347.5円-33.8%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
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コメント
シリコンウェーハ最大手のSUMCOは、AI特需で売上は伸ばしたが、コスト負荷で利益が吹き飛んだ。需要環境は追い風だが、原価低減策の遅れと減価償却費の重さが浮き彫り。200mm以下は構造改革の最中で、収益貢献には時間がかかる。第3四半期累計見通しも営業赤字が続き、通期の黒字化は厳しい。有利子負債が3000億円超と重く、金利上昇や為替変動がさらに利益を圧迫するリスクがある。
AI需要の恩恵よりコスト高の悪影響が勝った決算であり、収益性の早期回復がなければ、配当維持や株価の下支えも難しくなるだろう。
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