ルネサス、2026年12月期第2四半期決算、営業利益3.1倍に急回復、タイミング事業売却で巨額益も

ルネサス(ルネサスエレクトロニクス)が発表した2026年12月期第2四半期決算は、売上収益が前年同期比25.9%増の798,742百万円、営業利益が同214.3%増の192,680百万円と急回復した。前年同期に計上した巨額の金融費用が剥落し、自動車・産業向け半導体需要が堅調に推移したことが寄与。営業利益が3.1倍に急伸し、通期業績の回復基調が鮮明になった。さらに7月に完了したタイミング事業売却で約4,433億円の譲渡益が見込まれ、財務体質の一段の強化が期待される。
決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,987億円 | +25.9% |
| 営業利益 | 1,927億円 | +214.3% |
| 純利益 | 2,173億円 | — |
| 営業利益率 | 24.1% |
業績のポイント
当中間期(2026年1月~6月)の連結売上収益は798,742百万円(前年同期比25.9%増)と大きく伸長した。前年同期は半導体市場の在庫調整や需要低迷で売上収益が634,311百万円と落ち込んでいたが、当期は自動車向けを中心に幅広い用途で需要が回復し、増収を達成した。売上総利益率は前年同期の55.8%から58.7%へと改善し、販管費の伸びを吸収して営業利益は192,680百万円(同214.3%増)に跳ね上がった。
前年同期は、事実上の為替差損やWolfspeed関連の金融費用計上により税引前損失169,288百万円を計上していたが、当期は金融収支がプラスに転じ、税引前中間利益は254,785百万円に改善。親会社株主に帰属する中間利益は217,333百万円(前年同期は175,342百万円の損失)と大幅な黒字転換を果たした。この結果、基本的1株当たり中間利益は119.51円(前年同期は△97.34円)となった。
販管費には研究開発費124,584百万円(前年同期比4.8%増)が含まれ、コスト増をこなしながら増益を確保した点が経営の効率性向上を示している。また、在外営業活動体の換算差額が円安進行で改善し、その他の資本の構成要素も増加して自己資本は2,855,550百万円にまで積み上がった。
セグメント別動向
ルネサスは事業を「自動車向け」と「産業・インフラ・IoT向け」に区分している。当中間期の外部顧客への売上収益を報告セグメントベースで見ると、自動車向けが358,679百万円(前年同期比13.4%増)、産業・インフラ・IoT向けが412,206百万円(同38.1%増)、その他が27,458百万円(同46.6%増)と、全セグメントで二桁増収となった。
特に産業・インフラ・IoT向けの回復が顕著で、FA(ファクトリーオートメーション)やデータセンター向け半導体の需要拡大が寄与した。セグメント営業利益は自動車が126,061百万円(同50.8%増)、産業・インフラ・IoTが131,827百万円(同96.4%増)と急改善。利益率も自動車が35.1%、産業・インフラ・IoTが32.0%と高水準を維持している。
前年同期と比較したセグメント別業績の概要は次の通り。
| セグメント | 売上収益(百万円) | 前年同期比 | 営業利益(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車向け | 358,679 | +13.4% | 126,061 | +50.8% |
| 産業・インフラ・IoT向け | 412,206 | +38.1% | 131,827 | +96.4% |
| その他 | 27,458 | +46.6% | 14,431 | +102.2% |
なお、当中間期よりタイミング事業が「その他」に区分変更された。同事業はSiTime社への譲渡が7月1日に完了しており、一時的に売却目的資産に分類されている。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車向け | 3,587億円 | 45% | 1,261億円 | 35.1% |
| 産業・インフラ・IoT向け | 4,122億円 | 52% | 1,318億円 | 32.0% |
| その他 | 275億円 | 3% | 144億円 | 52.6% |
財務状況と資本政策
当中間期末の資産合計は4,562,527百万円(前年度末比9.2%増)に膨らんだ。現金及び現金同等物は376,017百万円と大幅増。売却目的で保有する資産315,803百万円(主にタイミング事業ののれん308,021百万円を含む)を計上したことが主因だ。負債合計は1,706,977百万円(同1.3%減)に縮小し、有利子負債(社債及び借入金+借入金)は1,157,910百万円へと減少した。
親会社所有者帰属持分比率は62.4%(前年度末58.5%)に上昇し、財務安全性が高まった。営業キャッシュ・フローは256,948百万円と力強い創出力を維持し、投資CFのマイナス75,680百万円や配当支払い50,802百万円を十分にカバーしている。配当は2025年12月期に年28円を実施。2026年12月期の予想は未定だが、業績急回復を受け増配期待が高まる。自己株式はストックオプション行使等で1,410万株余り減少し、53,168百万円となった。
通期見通し
ルネサスは通期業績予想に代えて、翌四半期累計のNon-GAAP業績予想をレンジ形式で開示している。2026年第3四半期累計(1月~9月)のNon-GAAP売上収益予想は1,200,113~1,215,113百万円(前年同期比24.0%~25.6%増)、Non-GAAP営業利益率は33.0%(同4.1ポイント改善)を見込む。下期も半導体需要の緩やかな拡大を織り込み、高利益率を維持する見通しだ。ただし、7月の熊本地震による工場被災が業績に与える影響は未確定で、今後精査される。
戦略トピック
最大の注目は、当社タイミング事業のSiTime Corporationへの売却である。2026年2月に合意し、7月1日に譲渡が完了。本件に伴い、約4,433億円の譲渡益が発生する見込みで、業績へのインパクトは極めて大きい。この資金を原資に、成長投資や株主還元の拡充に動く可能性が高い。一方、売却するタイミング事業は前年度まで安定的に収益貢献していたため、将来的なトップライン成長には注意が必要だ。
リスクと課題
主なリスクとしては、以下の点が挙げられる。
- 熊本地震の影響:2026年7月28日発生の地震で錦工場および川尻工場が被災。操業停止や修繕費用による業績下振れリスク。
- 為替変動:ドル・ユーロ建て取引が多く、急激な円高は利益を圧迫する。
- 地政学リスク:中国市場への依存度が高く(全体の約30%)、貿易摩擦や景気減速の影響を受けやすい。
- 技術革新と競争:自動運転・電動化の進展は追い風だが、競合他社との開発競争が激化。研究開発費の増大が利益率を圧迫する可能性がある。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/31)
3,442円
最新終値(2026/10/23)
2,886.5円-16.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ルネサス#決算#四半期決算#増収増益#半導体#自動車向け半導体#産業インフラIoT#タイミング事業売却#熊本地震#海外売上高
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コメント
前期の巨額損失から一転、今期は大幅な黒字回復を達成し、構造改革の成果が鮮明に出た決算と言える。自動車・IoT向けの需要回復に加え、為替差損や一時的評価損の剥落が利益を押し上げた。
特筆すべきは、タイミング事業売却による巨額譲渡益の計上だ。この資金を活用した成長投資と株主還元のバランスが今後の焦点となる。一方で、熊本地震による工場被災の影響が未確定な点は懸念材料。操業への支障が長期化すれば、下期の業績下振れリスクが顕在化し得る。
自動車の電動化・ADAS向け半導体需要は中長期的な追い風であり、ルネサスの技術優位性は揺るがない。しかし、中国市場の不透明感や競争の激化には引き続き注意が必要だ。
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