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株式会社東京精密 の会社詳細
株式会社東京精密
東京精密
2026年3月期 通期

東京精密・2026年3月期通期、営業利益13.6%増の337億円——生成AI需要が牽引、次期は18%増益と増配を計画

東京精密
増収増益
半導体製造装置
生成AI
増配
過去最高売上
プローバ
精密計測
中期経営計画
設備投資
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1,668億円

+10.8%

通期予想

1,815億円

進捗率92%

営業利益

337億円

+13.6%

通期予想

400億円

進捗率84%

純利益

247億円

-3.5%

通期予想

280億円

進捗率88%

営業利益率

20.2%

精密計測機器と半導体製造装置の両輪で成長を続ける東京精密が発表した2026年3月期決算は、売上高が前期比 10.8% 増の 1,668億円 、営業利益が同 13.6% 増の 337億円 となり、過去最高水準を更新した。生成AIやHPC(高性能計算)向けの需要が旺盛で、主力の半導体製造装置部門が業績を大きく牽引した。一方で、品質不具合に伴う対策費用を 特別損失 として計上したことで、純利益は前期比 3.5% 減の 247億円 に留まったが、次期はAI関連需要のさらなる拡大を背景に2ケタ増収増益と増配を計画している。

業績のポイント

2026年3月期の連結業績は、売上高が 1,668億3,900万円(前期比 +10.8%)、営業利益が 337億3,800万円(前期比 +13.6%)と、主要指標で増収増益を達成した。世界経済の回復が緩やかに進む中、生成AIを含むテクノロジー関連の投資が加速し、同社の強みである高精度な製造装置や計測機器への引き合いが期を通じて強く推移したことが主因だ。

一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は 247億3,900万円(前期比 -3.5%)とわずかに減少した。これは、第2四半期に半導体製造装置部門の一部製品で発生した品質不具合への対策費用として、18億3,300万円特別損失 を計上したことが影響している。しかし、本業の稼ぐ力を示す営業利益率は 20.2% と前期の 19.7% から改善しており、収益基盤の強固さが示された決算となった。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力である半導体製造装置部門は、売上高が 1,278億7,800万円(前期比 +12.7%)、営業利益が 284億400万円(前期比 +16.8%)と躍進した。AIパッケージング工程に不可欠なグラインダや、HBM(広帯域メモリ)向けのプローバが韓国・台湾・中国市場で非常に好調に推移した。長期的な需要拡大を見据えた名古屋工場の竣工により、生産キャパシティが増強されたことも受注の取り込みを後押しした。

計測機器部門は、売上高 389億6,000万円(前期比 +5.1%)、営業利益 53億3,300万円(前期比 -1.1%)となった。国内の製造業における更新需要が安定していたほか、航空・宇宙・防衛分野などの新たな成長領域で案件を獲得し、売上高は過去最高を更新した。利益面では、部材費や人件費の高騰に加え、将来に向けたR&D投資やオートメーション化の推進費用が先行したことで、前年同期比でほぼ横ばいの結果となった。

セグメント売上高前年比営業利益前年比
半導体製造装置1,278億円+12.7%284億円+16.8%
計測機器389億円+5.1%53億円-1.1%
連結合計1,668億円+10.8%337億円+13.6%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
半導体製造装置部門1,279億円77%284億円22.2%
計測機器部門390億円23%53億円13.7%

財務状況と資本政策

財務の健全性は極めて高い水準を維持している。自己資本比率は前期末の 73.2% から 76.2% へと上昇し、強固なバランスシートを背景に成長投資を継続する構えだ。総資産は、売掛金や有形固定資産の増加により、前期末比 119億円 増の 2,499億円 となった。

株主還元については、連結配当性向 40% 程度を目安とする方針を堅持している。2026年3月期の年間配当は、普通配当の増額により前期から 9円 増配の 262円 を実施した。さらに、2027年3月期は業績の拡大を見込み、年間 276円(前期比 +14円)への 増配 を計画している。キャッシュ・フロー面では、営業活動により 250億円 のキャッシュを創出しており、これを設備投資や安定的な配当の原資に充てている。

リスクと課題

今後の経営課題として、同社は外部環境の不確実性と品質管理の徹底を挙げている。地政学リスクに伴うサプライチェーンの混乱や、米中通称政策の影響については引き続き注視が必要な状況だ。特に今回の決算で計上した 製品不具合対策費 は、ブランドへの信頼に直結する課題であり、再発防止に向けた品質管理体制の更なる強化が求められている。

  • 地政学リスク: 中東情勢の緊迫化によるエネルギーコスト上昇や物流遅延の懸念
  • 競争激化: 次世代半導体向け装置開発におけるグローバルな技術競争
  • 為替変動: 急激な円高反転による輸出採算の悪化リスク

通期見通し

2027年3月期は、現在進行中の中期経営計画の2年目にあたり、生成AI市場の爆発的な成長を追い風にさらなる飛躍を見込む。半導体デバイスの高精度化に伴い、検査装置(プローバ)を中心とした技術要求が高まっており、高付加価値製品の比率上昇が利益を押し上げる見通しだ。計測機器部門でも、ハイブリッド車関連の投資や自動化ニーズの拡大を確実に取り込む計画だ。

項目2026年3月期(実績)2027年3月期(予想)前期比
売上高1,668億円1,815億円+8.8%
営業利益337億円400億円+18.6%
純利益247億円280億円+13.2%
AIアナリストの視点

今回の決算で特筆すべきは、半導体製造装置部門における圧倒的な勢いです。特に 「生成AI・HPC向け需要」 という明確な成長エンジンを捉え、売上・営業利益ともに力強い伸びを見せました。品質不具合による特損計上はネガティブな要素ですが、それを一過性のものとして吸収できるほど本業の収益性が改善している(営業利益率20%超)点は高く評価できます。

投資家の視点では、次期の営業利益 400億円 という野心的な目標と、それに伴う連続増配の姿勢がポジティブに受け止められるでしょう。就活生の視点では、名古屋工場の新設や八王子での生産拠点設立など、成長に向けた積極的な実物投資を行っている点が、企業の将来性を判断する材料になります。

今後の焦点は、中計の定量目標(売上1,850億円、営業利益450億円)の達成に向けて、計測機器部門がどこまで利益貢献を積み上げられるか、そして高付加価値化した半導体装置のシェアを維持できるかにあります。