大紀アルミ、2027年3月期第1四半期決算は営業利益2.5倍、増配予想を維持
大紀アルミの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比30.6%増、営業利益は146.1%増、純利益は257.6%増となる大幅な増収増益でした。自動車向け販売の伸びに加え、インド・タイで原料価格と製品販売価格の差が広がり、採算が改善しました。通期予想は据え置き、年間配当は前期比35円増の90円を見込みます。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 976億円 | +30.6% | 4,428億円 | 22% |
| 営業利益 | 37億円 | +146.1% | 176億円 | 21% |
| 純利益 | 24億円 | +257.6% | 122億円 | 19% |
| 営業利益率 | 3.8% | |||
この決算のポイント
- 1アルミ二次合金地金の販売は617億円、前年同期比34.0%増となり、売上拡大をけん引
- 2インド・タイで製品価格と原料価格のスプレッドが拡大し、二次合金事業の営業利益は167.5%増
- 3その他事業はダイカスト製品の低調で営業利益が43.3%減、主力事業との業績差が拡大
- 4通期予想は売上高4,428億円、営業利益175億円で据え置き、年間配当90円を計画
- 5総資産は前期末比213億円増えた一方、自己資本比率は42.9%から39.3%に低下
業績のポイント
大紀アルミ(大紀アルミニウム工業所)の2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比30.6%増、営業利益が146.1%増、親会社株主に帰属する純利益が257.6%増でした。営業利益は前年同期から22億20百万円増え、利益の伸びが売上を上回る決算となりました。
- 販売数量・価格: 自動車・二輪向けのダイカスト材、鋳物材の販売が国内外で伸長。アルミ二次合金地金の売上高は前年同期比34.0%増、商品・原料などは25.1%増でした。
- 採算改善: 国内ではLME相場上昇による原料コスト増に対し、製品価格の是正に取り組みました。インド・タイでは製品販売価格と原料価格のスプレッドが拡大しました。
- 市場環境: 自動車・輸送機器の生産は底堅い一方、BEV市場の伸びは鈍化し、HEV需要は堅調でした。アルミ相場とスクラップ価格の上昇も続いています。
増益の中心は海外拠点の採算改善で、営業利益率も前年同期の2.0%から3.8%に上昇しました。アルミ相場の上昇は売上を押し上げる一方、原料コストや運転資金にも影響するため、価格転嫁とスプレッドの維持が今後の焦点です。
セグメント別動向
アルミニウム二次合金事業は、外部顧客向け売上高が前年同期比31.6%増、営業利益が167.5%増でした。自動車・二輪向けの販売増に加え、インド・タイでの価格差拡大が利益を押し上げました。
その他事業は、売上高が前年同期比19.1%減、営業利益が43.3%減でした。ダイカスト製品事業が低調に推移し、主力の二次合金事業とは対照的な結果です。
- 主力事業の売上構成: アルミニウム二次合金事業が連結売上高の大半を占め、同事業の販売と採算がグループ全体の業績を左右します。
- その他事業の内訳: ダイカスト製品事業とアルミニウム溶解炉事業を含みます。短信では、ダイカスト製品事業の低調が減収減益の背景として示されています。
主力事業では販売と利益の両方が伸びましたが、その他事業は利益が縮小しました。自動車市場の構成がBEVからHEVを含む形で変わるなか、顧客や製品ごとの需要変化に対応し、主力事業以外の収益力も保てるかがポイントです。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| アルミニウム二次合金 | 964億円 | 99% | 37億円 | 3.8% |
| その他 | 12億円 | 1% | 85百万円 | 6.9% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比213億32百万円増の1兆9,919億円、自己資本比率は前期末から3.6ポイント低下して39.3%でした。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、営業・投資・財務キャッシュ・フローの数値は開示されていません。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末・予想 | 増減・前期比 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 177,864 | 199,196 | +21,332 |
| 自己資本比率 | 42.9% | 39.3% | -3.6ポイント |
| 現金及び預金(百万円) | 9,082 | 6,920 | -2,162 |
| 年間配当(円) | 55 | 90(予想) | +35円 |
売掛金や商品・製品、原材料の増加に伴い流動資産が膨らみ、短期借入金も前期末から125億76百万円増えました。配当は中間45円、期末45円の計90円を予定し、前期の年間55円から増配となる見込みです。自社株買いの実施は短信に記載がありません。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、売上高4,428億円、営業利益175億50百万円、純利益121億50百万円で、会社は2026年8月5日に公表した予想から変更していません。第2四半期累計の予想も含め、会社公表の前期比を比較します。
| 期間・指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 第2四半期累計 売上高(百万円) | 220,000 | 220,000 | +46.2% |
| 第2四半期累計 営業利益(百万円) | 12,040 | 12,040 | +360.2% |
| 通期 売上高(百万円) | 442,800 | 442,800 | +33.7% |
| 通期 営業利益(百万円) | 17,550 | 17,550 | +141.5% |
| 通期 純利益(百万円) | 12,150 | 12,150 | +230.1% |
第1四半期の営業利益は37億39百万円で、第2四半期累計予想に対する進捗は約31%です。上期予想の達成には第2四半期での利益積み上げが必要で、アルミ価格上昇の販売価格への反映や、海外で改善したスプレッドの持続性が通期のカギになります。
リスクと課題
大幅な増収増益となった一方、アルミ二次合金の事業環境は原料価格や自動車市場の変化に左右されます。会社は中東情勢や通商政策などを挙げ、先行き不透明な状況が続くとしています。
- アルミ・スクラップ価格の上昇: LME価格上昇で原料コストが増え、製品価格への転嫁が遅れれば利益率を圧迫します。
- 地政学・物流リスク: 中東情勢の緊迫化はエネルギー価格や物流、原料供給に影響する可能性があります。
- 自動車市場の構造変化: BEV需要の伸び鈍化とHEV需要の堅調が併存しています。顧客の生産動向や車種構成の変化が販売に影響します。
- 運転資金と借入金: 売掛金や在庫の増加に伴って借入金も増えました。資金需要が続く場合、財務負担の動きを確認する必要があります。
- その他事業の低調: ダイカスト製品事業の減収減益が続けば、主力の二次合金事業に依存する度合いが高まります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
1,797円
最新終値(2026/10/23)
1,570円-12.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#大紀アルミ#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#アルミニウム二次合金#自動車部品#配当増額#アルミ価格
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コメント
利益の大幅増を支えたのは、販売増だけでなく海外拠点のスプレッド改善です。相場上昇を販売価格に反映し、利益につなげられるかが、今後も成長を維持するうえで重要になります。
一方、在庫・売掛金の増加と借入金の拡大には注意が必要です。通期予想は据え置かれましたが、第1四半期の好調をそのまま通期の確度とみなさず、上期の進捗と価格転嫁の状況を見極めたい決算です。
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掲載企業
株式会社大紀アルミニウム工業所
東証 5702
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