住友鉱、2027年3月期第1四半期決算、純利益220%増で通期予想を上方修正

住友鉱の2027年3月期第1四半期決算は、売上高5,401億円(前年同期比42.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益879億円(同220.5%増)と大幅な増収増益となった。銅・金価格の上昇と円安が業績を押し上げ、2027年3月期通期の業績予想も上方修正した。今回の決算は非鉄金属価格上昇と円安が全面寄与した内容だ。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,401億円 | +42.3% | 2.1兆円 | 26% |
| 営業利益 | - | — | 3,240億円 | — |
| 純利益 | 879億円 | +220.5% | 2,160億円 | 41% |
業績のポイント
住友鉱(住友金属鉱山)は2026年8月10日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結決算を発表した。売上高は5,401億10百万円と前年同期比42.3%増、税引前四半期利益は1,180億40百万円と同211.4%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益は879億35百万円と同220.5%増だった。1株当たり四半期利益は326.62円(前年同期100.27円)と約3.3倍に拡大した。
増収増益の主因は、主要非鉄金属価格の上昇と為替の円安進行。銅の平均価格は前年同期の9,519ドル/トンから13,324ドル/トンへ、金は3,280.3ドル/トロイオンスから4,516.4ドル/トロイオンスへ、ニッケルも6.88ドル/ポンドから8.24ドル/ポンドへ上昇。平均為替レートは1ドル=144.60円から159.50円へと14.90円の円安となった。加えて、主要鉱山の操業が概ね順調だったことも利益を押し上げた。
これを受け、会社は2027年3月期通期の業績予想を上方修正した。売上高は従来予想1兆8,830億円から2兆650億円へ、税引前利益は2,290億円から3,240億円へ、親会社株主帰属当期利益は2,160億円へ引き上げた。
セグメント別動向
報告セグメントは「資源」「製錬」「材料」の3つ。全セグメントが増収増益となった。
資源セグメントは、売上高915億68百万円(前年同期比58.8%増)、セグメント利益712億75百万円(同98.7%増)。銅・金価格の上昇に加え、ケブラダ・ブランカ銅鉱山(チリ)やコテ金鉱山(カナダ)などの安定操業が寄与した。菱刈鉱山の販売金量は1.1トンと順調だった。
製錬セグメントは、売上高4,143億17百万円(同44.1%増)、セグメント利益364億88百万円(前年同期は37億76百万円の損失)。前年同期の損失から一転して大幅黒字化した。円安進行と非鉄金属価格上昇による在庫評価損益の好転が主因。電気銅の生産量は106,560トンと前年同期比2.6%減だったが、ニッケル・フェロニッケルの販売量は前年を上回った。
材料セグメントは、売上高896億19百万円(同28.9%増)、セグメント利益91億70百万円(同263.9%増)。電池材料の販売が底堅く推移したほか、AI向けデータセンター用途の粉体材料・デバイス材料が好調だった。
| セグメント | 売上高(百万円) | 前年同期比 | セグメント利益(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 資源 | 91,568 | +58.8% | 71,275 | +98.7% |
| 製錬 | 414,317 | +44.1% | 36,488 | 黒字転換 |
| 材料 | 89,619 | +28.9% | 9,170 | +263.9% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 資源 | 621億円 | 12% | 713億円 | 114.8% |
| 製錬 | 3,993億円 | 74% | 365億円 | 9.1% |
| 材料 | 776億円 | 14% | 92億円 | 11.8% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は3兆6,272億34百万円と前期末比682億28百万円増加。現金及び現金同等物、持分法投資、有形固定資産などが増えた。負債合計は1兆2,714億4百万円と前期末比43億96百万円増。資本合計は2兆3,558億30百万円と638億32百万円増加し、親会社所有者帰属持分比率は58.7%と前期末の58.3%から上昇した。
キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが629億72百万円の収入(前年同期は6億17百万円の支出)と大幅に改善。税引前利益の増加と棚卸資産の増加幅縮小が寄与した。投資活動は194億39百万円の支出、財務活動は213億7百万円の支出となった。
配当は、2027年3月期の年間配当予想を207円(中間103円、期末104円)としている。前期実績は228円で減配予想だが、これは業績予想の修正と自己株式取得・消却を反映したもの。2026年5月11日に自己株式の取得・消却を決議しており、当第1四半期中に自己株式を200億7百万円取得した。
リスクと課題
会社が認識する主なリスクは以下の通り。
- 非鉄金属価格の変動:銅・ニッケル・金の国際市況は需給バランスや地政学リスクにより大きく変動し、業績に直接影響する。
- 為替相場の変動:円高は輸出採算や海外子会社の円換算利益を悪化させる。
- 資源ナショナリズム:インドネシアなど資源国の政策変更(鉱石採掘量割当制限など)が供給やコストに影響。
- 材料事業の需要変動:車載電池材料はEV政策の見直しにより成長鈍化の可能性。一方、電子部品向けはAI需要の持続性に依存。
- 中東情勢など地政学リスク:原油・硫黄価格の高騰やサプライチェーン混乱を引き起こす可能性。
通期見通し
2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。修正の理由は、足元の非鉄金属価格の高止まりと円安の進行を反映したため。銅の通期想定価格を12,706ドル/トン、ニッケル7.68ドル/ポンド、金4,204.1ドル/トロイオンス、為替159.87円/ドルとした。
| 項目 | 前回予想(5月11日) | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 1,883,000 | 2,065,000 | 1,740,xxx |
| 税引前利益(百万円) | 229,000 | 324,000 | 256,xxx |
| 親会社株主帰属当期利益(百万円) | 176,000 | 216,000 | 177,xxx |
注:前期実績の正確な数値は短信に記載がないため概算。修正率は売上高+9.7%、税引前利益+41.5%、当期利益+22.7%となる。
セグメント別では、資源セグメントの売上高を3,670億円(前回3,340億円)、製錬を1兆5,160億円(同1兆3,870億円)、材料を3,560億円(同3,050億円)に引き上げた。
戦略トピック
2026年5月11日に自己株式の取得・消却を決議した。取得枠は上限300億円、消却は取得後速やかに実施する予定。当第1四半期中に200億7百万円の自己株式を取得し、発行済株式総数に対する自己株式比率は7.7%程度まで上昇した。資本効率の改善と株主還元強化の一環。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/10)
10,065円
最新終値(2026/10/23)
8,001円-20.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#住友鉱#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#銅価格#円安#上方修正#資源#自社株買い
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コメント
住友鉱の第1四半期は非鉄金属価格の追い風と円安がフルに効いた決算だった。資源セグメントの利益率は114%と異常値に見えるが、これは持分法投資損益を含む税引前ベースのため。実質的には銅・金価格の高騰が利益を押し上げた。製錬セグメントの黒字転換も在庫評価益の影響が大きく、持続性には注意が必要。通期予想の上方修正は妥当だが、足元の銅価格はピークアウトの兆しもあり、下期の価格下落リスクは残る。自己株取得と消却は株主還元姿勢の表れとして評価できるが、配当は前期から減配となる点に留意。今後の焦点は、インドネシアのニッケル政策とEV需要の行方、そして資源価格のピークアウト時期だ。
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