フューチャー・2025年12月期通期、営業利益10.3%増の161億円——金融DXが牽引し過去最高更新、10期連続の増配へ
売上高
760億円
+8.8%
通期予想
806億円
営業利益
162億円
+10.3%
通期予想
175億円
純利益
117億円
+13.5%
通期予想
118億円
営業利益率
21.3%
ITコンサルティング大手のフューチャーは5日、2025年12月期の連結決算を発表した。売上高は前年比 8.8%増 の 759億9,300万円、営業利益は同 10.3%増 の 161億7,600万円 となり、すべての利益項目で過去最高を更新した。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要が継続する中、特に金融機関向けの基幹システム刷新が大きく寄与した。好調な業績を背景に、期末配当は前回予想から増額し、年間で1株当たり 46円(前期比 +4円)とすることを決定した。
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、売上高が 759億9,300万円(前年比 +8.8%)、営業利益が 161億7,600万円(同 +10.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益が 117億1,200万円(同 +13.5%)と、力強い増収増益を達成した。世界的な地政学リスクや原材料・人件費の高騰といった不透明な外部環境下においても、国内企業のIT投資意欲は依然として旺盛であり、特に生成AIの活用や業務効率化を目的とした高度なDX案件が業績を押し上げた。
特筆すべきは収益性の高さで、売上高営業利益率は前期の 21.0% から 21.3% へとさらに向上している。同社が強みとする「知財を活用したサービス」の展開が加速しており、自社開発のソフトウェアやプラットフォームをベースにした高付加価値なコンサルティングが利益率の改善に貢献した。また、2024年に連結化したリヴァンプとの共同営業によるグループシナジーの発現も、新規顧客開拓において重要な役割を果たしている。
| 指標 | 2024年12月期実績 | 2025年12月期実績 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 69,878百万円 | 75,993百万円 | +8.8% |
| EBITDA | 17,431百万円 | 19,596百万円 | +12.4% |
| 営業利益 | 14,667百万円 | 16,176百万円 | +10.3% |
| 当期純利益 | 10,322百万円 | 11,712百万円 | +13.5% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力の ITコンサルティング&サービス事業 は、売上高 675億1,500万円(前年比 +10.9%)、営業利益 163億8,100万円(同 +12.7%)と、グループ全体の成長を力強く牽引した。特に金融業界向けのクラウド型基幹系システム「次世代バンキングシステム」の導入が進展した。7月には島根銀行において安定稼働を開始させたほか、新たに地方銀行3行(仙台銀行、きらやか銀行、東和銀行)での導入が決定し、設計フェーズに入っている。さらに2026年1月にはSBI新生銀行への導入も決定するなど、「フューチャーブランド」の金融DXにおける地位が盤石なものとなっている。
また、リヴァンプ社による経営マーケティング支援や、アパレル向けプラットフォーム「FutureApparel」の大型プロジェクトも順調に推移した。一方で、フューチャーインスペース社においては大型案件の終了による反動減があったものの、グループ全体としては新規受注の拡大がそれを十分に補った。生成AIを実装した金融機関向け融資支援システム「FutureBANK」の新機能提供など、最新技術を即座にサービスへ取り込むスピード感も、顧客企業から高く評価されている。
ビジネスイノベーション事業 は、売上高 84億8,600万円(前年比 6.1%減)、営業利益 1億7,800万円(同 53.2%減)と、増収を続けてきた前年から一転して減益となった。メディア事業の東京カレンダーは「東カレデート」などのネットサービスやイベント開催が好調に推移し増収増益を確保した。しかし、スポーツDXを展開するライブリッツにおいて一部案件の品質向上にリソースを集中させたことや、キュリオシティ社で前期にあった大型案件の反動減が響いた。もっとも、eコマースのYOCABITO社ではプライベートブランドの販売好調と固定費削減により営業損失が縮小するなど、構造改革の成果も見え始めている。
| セグメント名 | 売上高 (前年比) | 営業利益 (前年比) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| ITコンサルティング | 67,515百万円 (+10.9%) | 16,381百万円 (+12.7%) | 24.3% |
| ビジネスイノベーション | 8,486百万円 (△6.1%) | 178百万円 (△53.2%) | 2.1% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ITコンサルティング&サービス事業 | 675億円 | 89% | 164億円 | 24.3% |
| ビジネスイノベーション事業 | 85億円 | 11% | 2億円 | 2.1% |
財務状況と資本政策
2025年12月期末の総資産は、前期末比 54億4,200万円 増加し、974億9,100万円 となった。売掛金や契約資産の増加に加え、本社ビルの増床・改修に伴う建物資産の増加が主な要因である。負債合計は 347億3,600万円(前期末比 5.0%減)となり、長期借入金の返済が進んだことで財務体質はさらに健全化している。自己資本比率は前期の 60.3% から 64.4% へと上昇し、高い財務安定性を維持している。
資本政策においては、積極的な株主還元を継続している。2025年12月期の年間配当は、中間23円・期末23円の計 46円 とし、前期実績(42円)から4円の増配となった。これは配当性向 34.8% に相当し、同社が目安とする「35%以上」の方針に沿った内容である。また、次期(2026年12月期)についても年間 48円 と、10期連続の増配を予定しており、中長期的な成長を通じた利益還元に対する経営陣の強い意志が示されている。
通期見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高 806億円(前期比 +6.1%)、営業利益 175億円(同 +8.2%)と、過去最高の連続更新を見込んでいる。ITコンサルティング事業において、金融DX案件のさらなる積み上げと、生成AIを活用した生産性向上の取り組みを全社的に加速させる方針だ。また、人材獲得競争が激化する中、新卒初任給の大幅な引き上げや、博士号取得を支援する独自の教育制度を導入し、高度IT人材の確保を最優先課題として掲げている。
| 項目 | 2025年12月期実績 | 2026年12月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 75,993百万円 | 80,600百万円 | +6.1% |
| 営業利益 | 16,176百万円 | 17,500百万円 | +8.2% |
| 当期純利益 | 11,712百万円 | 11,800百万円 | +0.7% |
リスクと課題
同社は今後の経営上の課題として、以下の要因を挙げている。
- IT人材の確保と育成: 競争力の源泉である高度IT人材の採用難と人件費の上昇。これに対し、報酬体系の刷新や教育投資の拡大で対応する方針。
- 地政学リスクと物価上昇: 米国の保護主義政策や為替変動、金利上昇による顧客企業の投資動向への影響。
- 技術革新への対応: 生成AIやロボティクスの急速な普及に対し、自社の設計・開発プロセスをAI駆動型へ刷新できるかどうかが焦点となる。
今回の決算で最も注目すべきは、金融機関向けの基幹システム刷新(次世代バンキングシステム)が、単なる一過性の案件ではなく、地銀や大手銀行へと横展開されるフェーズに入ったことです。SBI新生銀行という大手への導入決定は、同社の技術力と信頼性が業界標準になりつつあることを示唆しています。
一方で、ビジネスイノベーション事業の利益率低下は課題ですが、同セグメントはもともと新規事業の育成枠としての側面が強く、連結利益の9割以上を稼ぐITコンサルティング事業がこれだけ高成長・高収益(営業利益率24%超)であれば、投資家からの評価は揺るがないでしょう。
就活生への視点では、新卒年収の引き上げや博士号取得支援など、「人材への投資」を具体的な金額と制度で示している点が非常にユニークです。これは単なる福利厚生ではなく、高難易度のDX案件を遂行するための「プロフェッショナル集団」を維持するための純粋な経営戦略といえます。自己資本比率の高さも相まって、成長性と安定性を高次元で両立している稀有なIT企業と言えるでしょう。
