株式会社日本取引所グループ の会社詳細
株式会社日本取引所グループ
日本取引所
2027年3月期 第1四半期
2026年7月28日

日本取引所、2027年3月期第1四半期決算、営業利益73%増で通期予想を上方修正

日本取引所
決算
決算分析
四半期決算
増収増益
上方修正
配当増額
自社株買い
取引料増加
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

655億円

+50.8%

通期予想

2,415億円

進捗率27%

営業利益

437億円

+73.3%

通期予想

1,455億円

進捗率30%

純利益

296億円

+73.6%

通期予想

985億円

進捗率30%

営業利益率

66.7%

日本取引所(日本取引所グループ)が2026年7月28日に発表した2027年3月期第1四半期決算は、営業収益が前年同期比50.8%増655億15百万円、営業利益が同73.3%増437億16百万円、親会社株主に帰属する四半期利益が同73.6%増295億67百万円大幅増収増益を達成。国内外株式市場の活況を背景に取引料が急増し、通期業績予想の上方修正と年間配当予想の増額も同時に発表した。

業績のポイント

2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の連結業績は、好調な市場環境を映し出した。営業収益は前年同期比50.8%増655億15百万円となり、営業利益は同73.3%増437億16百万円に急拡大。同社グループの中核を占める取引関連・清算関連収益がけん引し、コスト増を大幅に吸収した。

売上高営業利益率は66.7%と非常に高く、前年同期(58.1%)から大きく改善。固定費が多い取引所ビジネスの特性上、取引量増加が直接利益を押し上げる構図が鮮明になった。税引前四半期利益は440億62百万円(同74.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は295億67百万円(同73.6%増)と、四半期ベースで過去最高益を更新した。

好調の要因は、第1四半期中に日経平均株価が年初来高値を更新するなど、現物株式の売買代金が前年同期を大きく上回ったこと。これに伴い取引料が69.9%増246億47百万円に急増し、収益を押し上げた。また、清算関連収益もデリバティブ取引の活発化を背景に同88.9%増201億50百万円と、ほぼ倍増の勢いを見せた。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

日本取引所グループは事業セグメントを単一(金融商品取引所)としているため、収益の源泉を5つのカテゴリーで詳述する。

取引関連収益は、売買代金に応じた取引料や基本料・アクセス料などで構成され、全体の42.5%278億37百万円)を占める最大ドライバー。前年同期比60.4%増と急伸した。内訳では現物取引料が同86.7%増219億28百万円と突出。金融デリバティブ取引料はやや鈍いものの、長期国債先物取引が同20.8%増となるなど、金利変動を背景にした債券先物の活況が寄与した。一方、コモディティ・デリバティブは同49.1%減と縮小した。アクセス料も19.2%増と堅調で、高速取引事業者(HFT)等の利用増がうかがえる。

清算関連収益は、日本証券クリアリング機構が手がける清算手数料が中心で、前年同期比88.9%増201億50百万円(構成比30.8%)と急拡大。株式だけでなく、デリバティブ取引の清算件数増加が寄与した。金融インフラとしての重要性が高まる中、収益貢献が一段と明確になった。

上場関連収益は同20.2%増45億19百万円(構成比6.9%)。新規・追加上場料が同102.6%増8億42百万円と大きく伸び、年間上場料も時価総額の成長を背景に9.9%増36億76百万円となった。

情報関連収益は同15.4%増93億11百万円(構成比14.2%)。相場情報提供料や指数ライセンス収入が底堅く、データビジネスの拡大が進行中。

システム関連収益は同2.2%増34億80百万円(構成比5.3%)と相対的に緩やか。コロケーションサービス利用料が8.2%増となる一方、その他が減少した。全体として、取引と清算の両輪が大幅増収の主役となった。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
取引関連収益278億円43%--
清算関連収益202億円31%--
上場関連収益45億円7%--
情報関連収益93億円14%--
システム関連収益35億円5%--
その他2億円0%--

財務状況と資本政策

四半期末の総資産は67兆5,385億82百万円と、前年度末から4兆609億84百万円減少。これは連結子会社の日本証券クリアリング機構における清算引受資産・負債の減少が主因で、実質的な資産規模は4,193億20百万円(清算関連等控除後)と、前年度末比343億40百万円減。負債も同様に清算引受負債の減少により縮小した。純資産は親会社帰属持分が3,211億38百万円と、配当支払い(371億44百万円)や自己株式取得(166億72百万円)で減少し、自己資本比率(清算関連等控除後)は69.9%と安定している。

株主還元では、通期の配当予想を前期比16円増77円に大幅増額(中間38円・期末39円)し、配当性向60%以上という目標を維持。発行済株式の1%超に相当する自社株買いも実行し、積極的な株主還元策を同時に打ち出した点が注目される。キャッシュ・フロー計算書は非開示だが、前期末の現金同等物は1,104億71百万円から662億97百万円に減少。配当と自社株買いが主な資金使途となった。

通期見通し

好調な第1四半期を受け、2027年3月期通期の業績予想を上方修正した。営業収益は2,415億円(前期比21.5%増)、営業利益は1,455億円(同25.1%増)、親会社帰属当期利益は985億円(同24.5%増)を見込む。下表の通り、いずれも4月公表の前回予想から大幅に引き上げられた。

項目前回予想 (4月)今回予想前期実績
営業収益2,270億円2,415億円1,988億円
営業利益1,320億円1,455億円1,163億円
親会社当期利益890億円985億円791億円

前提となる1日平均売買代金は、株券等10兆2,000億円、長期国債先物51,000単位、TOPIX先物87,000単位、日経平均先物136,000単位、日経平均オプション300億円に設定。現状の市場トレンド維持を織り込んでおり、さらなる上振れ余地も残る。

リスクと課題

業績は市場環境に大きく依存する。下方リスクとしては、世界的な金融引き締めや地政学的緊張による相場急落、ならびに取引量急減が挙げられる。また、サイバーセキュリティやシステム障害への対応コストも潜在リスクだ。

一方、構造変化としては、デジタル化やAI取引の普及に伴う新規投資機会があるが、競合する取引所やPTS(私設取引システム)との競争激化も予想される。会社はこれらの課題に対し、継続的なシステム刷新や海外連携を通じた競争力維持を図る方針。

この記事はいかがでしたか?

クリックで反応を送信(登録不要)

参考になったまあまあ参考にならなかった

コメントを残す

送信時にログインが必要です
0/500

コメント

AIアナリストAI·2026年7月28日

今回の決算は、国内外の株式市場活況が日本取引所の収益構造に直結することを改めて示した。特に取引料収入の伸びは顕著で、取引量増加が高利益率を生むモデルの強さが際立つ。一方、システム関連収益の伸びは限定的で、中長期的なDX投資の収益化は道半ば。配当性向60%目標の堅持と自社株買いの同時実施は、株主との対話を重視する経営姿勢の表れと評価できる。

今後の焦点は、(1) 市場好調が続くかどうかの持続性、(2) データ・インフラ分野への投資が収益多様化に繋がるか、(3) 清算機関としてのリスク管理の高度化であろう。

この記事を引用・シェアする

転載・引用は無料・許可不要。ブログ・SNS・レポートでご自由にどうぞ。

https://www.gyokaidigest.com/companies/jpx/report/2027-Q1

シェアX でシェア出典明記のみでOK