
SCREEN、2027年3月期第1四半期決算、営業利益41%減も通期上方修正
売上高
1,218億円
-10.3%
通期予想
7,430億円
営業利益
144億円
-41.1%
通期予想
1,565億円
純利益
105億円
-37.1%
通期予想
1,150億円
営業利益率
11.8%
SCREENが発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比10.3%減の1,217億7,500万円、営業利益が同41.1%減の143億6,800万円と大幅減益だった。しかし、AI(人工知能)向けを中心とした半導体需要の拡大を背景に、通期業績予想を上方修正し、売上高7,430億円(前期比22.7%増)、営業利益1,565億円(同27.7%増)と強気の見通しを示した。
業績のポイント
当第1四半期(2026年4~6月)の連結売上高は1,217億7,500万円(前年同期比10.3%減)となり、前年同期の1,357億8,500万円から140億1,000万円の減少となった。営業利益は143億6,800万円(同41.1%減)と大幅減益。親会社株主に帰属する四半期純利益は104億9,000万円(同37.1%減)だった。営業利益率は18.0%から11.8%へと6.2ポイント低下した。
減益の主因は、半導体製造装置事業(SPE)におけるファウンドリ・ロジック向け販売の減少と固定費の増加だ。地域別では中国・台湾向けの売上が落ち込んだ。一方、生成AI需要の高まりを追い風に、DRAM向け装置やメモリー投資は堅調で、ポストセールス(保守・サービス)も増加した。
これを受け、会社側は5月に公表した通期予想を上方修正。売上高7,430億円、営業利益1,565億円(いずれも前期比増収増益)を見込む。為替前提は1ドル=150円、1ユーロ=175円。年度後半にかけて先端半導体投資の拡大が業績を押し上げるシナリオだ。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主要4セグメントの業績は以下の通り。
| セグメント | 売上高(百万円) | 前年同期比 | 営業利益(百万円) | 前年同期比 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 半導体製造装置 (SPE) | 93,133 | △15.0% | 14,388 | △44.0% | 15.4% |
| グラフィックアーツ (GA) | 13,832 | +7.1% | 1,421 | +150.7% | 10.3% |
| ディスプレー/成膜 (FT) | 10,857 | +8.0% | 1,276 | +54.4% | 11.8% |
| プリント基板 (PE) | 3,132 | +2.0% | △299 | 赤字拡大 | △9.6% |
半導体製造装置事業(SPE)は、全体の売上高の約76%を占める中核事業。前年同期比で売上高が15.0%減、営業利益が44.0%減と大幅に落ち込んだ。DRAM向けやポストセールスは拡大したが、ファウンドリ/ロジック向け装置販売が減少し、固定費も増加。地域別では米国向けが伸びたものの、中国・台湾向けが振るわなかった。
グラフィックアーツ機器事業(GA)は、インクなどのリカーリングビジネスが好調で、売上高7.1%増、営業利益は150.7%増の大幅増益。利益率も大きく改善した。
ディスプレー製造装置および成膜装置事業(FT)は、装置販売が増加し売上高8.0%増。採算性の向上に加え、前四半期から半導体先端パッケージ事業が統合された効果もあり、営業利益は54.4%増。
プリント基板関連機器事業(PE)は、ポストセールスが増えたものの固定費負担が重く、営業損失2億9,900万円と赤字幅が拡大した。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体製造装置事業(SPE) | 931億円 | 77% | 144億円 | 15.4% |
| グラフィックアーツ機器事業(GA) | 138億円 | 11% | 14億円 | 10.3% |
| ディスプレー製造装置および成膜装置事業(FT) | 109億円 | 9% | 13億円 | 11.8% |
| プリント基板関連機器事業(PE) | 31億円 | 3% | -299百万円 | -9.6% |
財務状況と資本政策
当四半期末の総資産は7,692億300万円と前期末比6.5%増加。現預金や棚卸資産(前受金の増加に伴う仕掛品の積み上がり)が増えた。純資産は4,973億3,900万円で自己資本比率は64.6%と健全な水準を維持している。
キャッシュ・フローは、営業CFが90億2,300万円の収入(前年同期は69億9,900万円の収入)と改善。契約負債(前受金)が406億8,900万円増加し、資金創出力の強さがうかがえる。一方、設備投資の拡大により投資CFは100億円の支出、配当金支払い等で財務CFは162億5,600万円の支出となり、現金及び現金同等物は前期末比145億500万円減の2,112億2,800万円となった。
配当予想も上方修正され、2027年3月期は中間60円、期末123円の年間183円(株式分割後ベース)を予定。前期の分割後実績146円50銭から実質24.9%の増配となる。業績への自信と株主還元姿勢の表れと言える。
通期見通し
2027年3月期通期の業績予想は、2026年5月13日公表の前回予想から 上方修正 された。半導体製造装置の旺盛な需要を背景に、第2四半期以降の出荷加速を見込んでいる。
| 項目 | 今回修正予想 | 前期実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,430億円 | 6,057億4,800万円 | +22.7% |
| 営業利益 | 1,565億円 | 1,225億2,200万円 | +27.7% |
| 経常利益 | 1,565億円 | 1,243億2,300万円 | +25.9% |
| 純利益 | 1,150億円 | 920億300万円 | +25.0% |
セグメント別では、SPEの通期売上高を6,200億円(前期比+27.6%)、GAを600億円(+4.4%)、FTを430億円(△4.7%)、PEを165億円(+13.4%)と予想。SPEへの依存度は更に高まる見通しだ。為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=175円を前提としており、円高が進んだ場合には下振れリスクがある。
研究開発・成長投資
当第1四半期の研究開発費は101億4,000万円(前年同期比18.8%増)、設備投資額は178億7,000万円(同299.9%増)と、将来に向けた投資を急速に拡大している。これはAI需要に対応した先端半導体製造装置の開発・生産能力増強を急いでいるためだ。通期では研究開発費430億円、設備投資430億円を計画しており、前期比で研究開発費は約14%増、設備投資は約55%増となる。SCREENが中長期的な成長のため、積極的な投資フェーズにあることが鮮明だ。
リスクと課題
- 地政学リスク:中東情勢の緊迫化や米中対立の深刻化が、顧客の設備投資計画に悪影響を及ぼす可能性がある。
- 半導体市況の変調:AI需要に依存する半導体市場が予想外に減速した場合、大幅な受注キャンセルや在庫調整に直面するリスク。特に中国・台湾市場の動向に注意が必要。
- 為替変動:想定レートを円高方向に大きく振れた場合、海外売上比率が85%を超えるSCREENの業績には直接的なマイナスとなる。
- 技術競争:エッチングや洗浄装置など、先端分野での競争激化。研究開発投資の効率性が問われる。
- 新規事業の育成:ライフサイエンスや水素関連など「その他」セグメントの収益化が遅れており、事業ポートフォリオの多様化が課題。
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SCREENの第1四半期は、主力の半導体製造装置がファウンドリ/ロジック需要の一服で減収減益となったが、決算短信の注目点は通期予想の大幅上方修正だ。生成AIを背景とした先端パッケージやDRAM投資が年度後半に集中することが想定されており、受注残高の積み上がりがそれを裏付ける。
特に目を引くのは、設備投資額が前年同期比300%増の178億円に急拡大した点。これは将来の需要増を見越した生産能力増強であり、中長期の成長期待を強く示唆する。営業CFも堅調で、財務基盤は磐石だ。
一方、懸念材料としては、為替前提(1ドル=150円)が実勢より円安に振れている可能性があること、中国市場の地政学リスク、そして利益の大部分をSPEに依存する事業構造だ。投資家としては、受注動向と為替の推移を注視する必要がある。
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